Suite第30話

 登校風景から始まります。奏が響の頬を突っつきながら「今日も健康的で良いですなあ」と珍しくふざけた口調で語りかけます。しかし、響の反応は鈍いものでした。今日行われるテストに自信がなく、それで頭がいっぱいなのです。
 そして、奏とエレンに見込みを尋ねますが、奏はもちろん、エレンも勉強が出来ることが分かります。
 それを知り、自分の立場が下がる事を危惧した響は、ヒーリングチェストに頼ろうと言い出しました。

 奏とエレンに、「ヒーリングチェストはそのようなものではない」と言われますが、響が「じゃあそれ一体何に使うのさ?」と尋ねられると、二人とも返答できません。
 そして、ボケ気味に奏は貯金箱説を、エレンは宝石箱説を言いましたが、いずれもハミィの突っ込みを受けていました。
 その隙を突いて(?)響はクレッシェンドトーンに「テスト対策」という「お願い」をしましたが、当然ながら、クレッシェンドトーンにあっさり却下されていました。その様子をうちわで仰ぎながら物陰でファルセットが一人で見ていました。
 一方、何の対策もできなかった響ですが、教室で席につくと、「そうだ!」と言い、指笛を吹きます。
 すると、数秒後に教室の扉が開き、「響、呼んだ?」と言って和音が入ってきました。エレンはもちろん、奏も驚きます。そして、隣に座った和音に対し、響は「いつも言ってたよね。私が困ったら助けてくれるって」と言います。
 それを聞いた和音は嬉しそうに「ついに私の助けが必要な時が来たの?」と言い、響は「うん、来た、来た」と帰します。すると、和音は喜ぶと同時に、響の隣の席の持ち主であり、久々の登場である無戸に、席を借りることの断りを入れていました。
 そして、響が試験対策の話をすると、和音は昨晩の不思議な経験を話しました。ジョギング中に一休みをして、水分補給していると、犬の遠吠えが音楽のように聞こえてきた、という話です。
 和音が聞いた犬の「ワオーン」という遠吠えが「和音」になっていた、というギャグなのでしょうか。今回のサブタイトルに冠せられた擬音は、「ワオーン」でしたが、本編にはそれに通じる言葉は出てきませんでした。もしかしたら、この逸話をタイトルにしたのだろうか、などと思いました。
 その話をノートにまで取って聞いていた響ですが、それと試験との関係が分かりません。それを尋ねたところ、和音は自分のテストを取り出し、「私、勉強のほうも響に負けない自信があるんだよ、悪い意味で」と言います。
 さらに、「もう、響ったらおっちょこちょいv」「ごめんちゃいv」と「二人の世界」を作ったあと、教室から出て行きました。
 一方、灯台ではファルセットが先ほど見たことをメフィストに報告していました。しかし、メフィストはプリキュア達が魔境の森から戻ってきた事を驚くばかりでした。そして、自分が魔境の森での記憶をなくした事に気づき、驚いています。その後、耳についている「ハマグリ」がアップになっていました。
 それはともかく、結局試験で響は惨敗。落ち込んだ響を二人がなぐさめようとしますが、エレンが「さらに続く試験の一覧」を言ってしまい、響はさらに落ち込みます。ところが、響が落ち込んだまま、階段を降りると、なぜか音が出てきました。フェアリートーンの気遣いかと思った響は喜び、礼を言います。しかし、後から奏が尋ねたところ、トーン達は「自分ではない」と言っていました。
 続いて、体育の時間になります。奏は「体育は響の唯一特異な授業だしね」と言います。しかし、まだ落ち込み状態の響は、それを聞いて「体育以外はダメ」と解釈し、再び涙目になりました。
 そして授業になりますが、なぜか教師の笛がチャルメラ風になり、またもや響の機は晴れました。
 その後、昼休みになり、相変わらず落ち込んで弁当を食べている響に、奏は卵焼きをおすそわけします。最初は、その気遣いに遠慮していた響ですが、結局、食べました。「プリキュア」シリーズにはこの「弁当で作った卵焼きを仲間にあげる」というのが随所に出てきます。そのシリーズ伝統の設定を巧く描いていると思いました。
 さらに、三人で下校しますが、そこで奏太と出会います。響は奏太にテストの結果をバカにされ、さらにアコにも「ま、自業自得よね」と毎度の上から目線突っ込みを入れられます。
 ところが、直後にアコが歩み去ろうとすると、またもや足音が音楽になってしまいました。意外な事にアコは恥ずかしそうな顔をしますが、響たちに笑われると、意地になって顔を赤らめながら、音を出しつつ、がに股で歩み去って行きました。
 不思議な事が続くのに驚いた三人は、音吉に尋ねようと調べの館に行きます。外からパイプオルガン聞こえてきたので、音吉が演奏していると思って入りますが、彼の姿は見えず、オルガンは自動演奏状態になっていました。
 三人、特に怖いものが苦手なエレンは驚きます。驚きの描写として、口の中に猫のセイレーンが描かれていました。そして、傍らに佇んでいた音吉に駆け寄りますが、彼は平然としています。
 そして、唐突にクレッシェンドトーンに声をかけ、会話を始めました。以前から伏線らしきものが描かれていましたが、ついに「メイジャーランドの存在を知り、人間関係もある」という事を明らかにしたわけです。
 その後、クレッシェンドトーンは和音が聞いた犬の「和音」も、響を応援するためだった事を明かします。ただし、響は既に寝ていて、それを聞いてはいなかった、というオチでした。さらにその後も、クレッシェンドトーンは、泣いている赤子をあやしたり、キャッチボールをして喧嘩になりそうだった少年の機嫌を取ったりしていました。
 これらの「実績」を聞いたときは、「確かにすごいが、たいして役に立っていない。普通にやれ」と思いました。
 その直後、響の答案に音符がくっついている事が発見されます。そして同時にトリオ・ザ・マイナーが登場し、その答案をネガトーン化しました。それに対し、「やめてよ、恥ずかしい」と点数がバレることを阻止しようとする響の描写が印象に残りました。
 ネガトーンが現れたので、三人も変身します。一瞬、奏とエレンが「あれほど隠そうとしていた響の点数を晒すなんて、絶対に許せない!」というのかと期待しました。しかし、そこは「ヒーリングチェストは絶対に渡さない」でした。
 そして闘い、かと思いましたが、今回のネガトーンは、三人をクイズ番組に出てくるような席に座らせます。そして、彼女たちのイメージカラーを英訳せよ、という「テスト」を出しました。
 成績優秀な奏とエレンは正解しますが、響は「ピンクを日本語で言うと?」という問題に「ピンク・・・?」と答えてしまい、攻撃を受けてしまいます。
 それを見た、トリオ・ザ・マイナーは、「響にだけ問題を出せ」とネガトーンに命令し、響だけが一方的にダメージを受けてしまいます。
 すると、クレッシェンドトーンの力が発動し、響と一体化(?)します。このまま、科学忍法火の鳥でもやるのか、と思ったのですが、特に何も起きず、響のダメージを解消しただけで、クレッシェンドトーンは去って行きました。
 そして闘いの続き、となりますが、ここで奏が「ちょっと待ったー!」と言い、今度はこちらに問題を出させろ、と髪に「#(怒りマーク)」をつけて要求します。それに圧されて、ネガトーンとトリオ・ザ・マイナーが要求を飲むと、「今から出てくる必殺技は何か?」という問題を出しました。ついでに、視聴者にも回答を要求していました。
 トリオ・ザ・マイナーとネガトーンもわざわざ眼鏡をかけて回答します。しかし、その答えは技そのものでなく、「技を出すアイテム」の名前でした。というわけで三人は「ラブキターロッド」「ミュージックロンド」×2、と正解を伝えつつ、必殺技を放ちます。それを受けたネガトーンは撃退されました。
 そして、奏は「ざーんねん、それは技じゃなくてアイテムの名前」と解説を加えます。それを聞いたトリオ・ザ・マイナーは「覚えてろー」と合唱し、走りさりました。
 勝利はしましたが、響は「せっかくクレッシェンドトーンが力を貸してくれたのに答えられなかった・・・」と落ち込みます。しかし、二人は「次こそは頑張るんでしょ」と励まします。それを聞いた響が「次こそ絶対クレッシェンドトーンの力に応えてみせる!と宣言し、三人で「オー!」と唱和する、という所で話は終わりました。

 今回引っかかった点としては、奏太が響をからかう際に、実姉である奏が何一つ声をかけなかった事と、何の脈絡もなく獲得した音符の数が元に戻っていた事くらいでした。それくらい、出来のいい話でした。
 話としては、前回出てきた「ヒーリングチェスト」「クレッシェンドトーン」に加え、音吉の設定紹介まで描く必要がある、という「決まり」がありました。それらを処理しつつ、響と奏とエレン、さらには和音の良さを最大限に描いていました。
 まずOP後の、響と和音の関係を描く一連の描写も印象に残りました。指笛を聞いて即座に参上し、さらに響の頼みが自分の能力では解決できないと即座に判断して、「次善の策」を取った和音の言動には感心させらました。さらに、さりげなく、ここのところご無沙汰だった王子隊の珍名キャラ・無戸を出したのにも旨さを感じました。
 一方、久々に脇にまわったエレンですが、さりげなく勉強をさらには、日本の試験制度を習得したのを披露するところや、「自動演奏」に驚いて、口の中にセイレーンを出して驚く場面など、随所に個性を出していました。
 戦闘についても、トリオ・ザ・マイナーを無駄にに出さなかった事や、ネガトーン登場および回収時点での響の描写、さらには異例の「テスト対決」など、各所で面白さを感じました。
 そして何よりも、響と奏の良さが満載、という感じで描かれていました。二人のかけあいやギャグ、そして感謝の場面など、作り手の二人に対する愛情を随所に感じました。
 冒頭の、奏による冗談めかした響への会話には、仲直りした後の少なからずあったぎこちなさが、完全になくなった事がよく伝わりました。
 さらに、弁当で卵焼きを響きにおすそ分けした場面は、先述したように「プリキュアの伝統」とも言えます。それを、このような場面で使ってくれた事にも嬉しさを感じました。
 というわけで、脚本・演出・作画のあらゆる点において、本シリーズの最高傑作だったと思いました。こんないい話を描けるのなら、もっと早くからやっていれば、とまで思ったほどでした。
 次回は、三人が響の別荘でプリキュア強化合宿をする、という話です。是非とも、今回の良さを引き継ぐいい話になってくれる事を願っています。

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