第4-6話・ノース2号の巻

 この作品は話の設定をいろいろ肉付けしたり再構築したりしていますが、基本的な話の流れは「原作」に沿っています。したがって、二番目に殺されるのはこのノース2号となります。
 「原作」において、標的となった7人のロボットのうち6人までは、何らかの形で互いに会話をしています。その中での唯一の例外はこのノース2号です。彼だけは、他のロボットとも、話全体の流れとも何ら関わらずに、住んでいるスコットランドでプルートウを迎え撃って殺されます。
 この作品でも、その設定を最大限に活用しました。他のロボットとは関わらせる事なく、ノース2号と同居している音楽家(「原作」ではロボット工学の博士ですが)だけの、ある意味独立した一つの物語を描いています。

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第1-3話 「主役」ゲジヒトと基本設定

 単行本1巻の前半部分です。最初に出てくるのは「原作」と同じ、スイスのロボット・モンブランです。そしてこれまた「原作」同様、あっさり死にます。
 「原作」では、「感じのいい人柄」「トルコのブランドと友人」というだけの設定があっただけのモンブランでした。しかし、本作ではその設定に忠実に、残された人々の回想を通して、モンブランの人となりを描いています。
 さて、モンブランの容姿は「原作」とほぼ同じですが、ゲジヒトは人間に近い形に描きなおされています。ただ、原作の「頭の数本の筋」を「やや禿げ上がった髪型」にするなど、さりげなく「原作」を踏襲しています。
 そして、話の流れにあわせて、本作品の設定である、「標的となる7人のロボットは、いずれも『第39次中央アジア紛争』に関わっている」や「ロボットたちは『メモリーチップ』を交換する事により、互いの記憶を共有できる」などが紹介されています。
 また、ゲジヒトの特徴としての「愛妻家」「メンテナンスを担当する科学者・ホフマン」なども紹介されています。

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「PLUTO」-の前に「地上最強のロボット」

 ビッグコミックオリジナルに月イチ連載されている「PLUTO」にハマっています。最初は通常版の単行本を買ったのですが、豪華版に「原作」の「地上最強のロボット」が同梱されている事を知って買いなおしたほどです。
 まず、「PLUTO」そのものを取り上げる前に、「地上最強のロボット」について書いてみようかと思います。
 私が「鉄腕アトム」を読んだのは今から25年前にあたる小学5年の時でした。当時、単行本20巻と「別巻」が1冊売られていたのを全部立ち読みしたものでした。ご存知の方も多いと思いますが、「鉄腕アトム」というのは一つの完成した筋立てがあるわけではありません。特にすごいのは「アトムの今昔物語」というやつで、「地球を守るために太陽に突っ込んだアトム」という一つの最終回(ちなみにこの話は私が読んだ「全20巻」には収録されていませんでした)の後、偶然宇宙人に拾われて復活したアトムが、改造された上に過去の地球にもどってくる、というわけのわかならい話でした。

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