第4-6話・ノース2号の巻

 この作品は話の設定をいろいろ肉付けしたり再構築したりしていますが、基本的な話の流れは「原作」に沿っています。したがって、二番目に殺されるのはこのノース2号となります。
 「原作」において、標的となった7人のロボットのうち6人までは、何らかの形で互いに会話をしています。その中での唯一の例外はこのノース2号です。彼だけは、他のロボットとも、話全体の流れとも何ら関わらずに、住んでいるスコットランドでプルートウを迎え撃って殺されます。
 この作品でも、その設定を最大限に活用しました。他のロボットとは関わらせる事なく、ノース2号と同居している音楽家(「原作」ではロボット工学の博士ですが)だけの、ある意味独立した一つの物語を描いています。

 ノース2号が他の6人と異なるもう一つの特徴に、その容姿があります。他のロボットが敵役も含め、四肢を持つ「人型」であるのに対し、このノース2号のみは、足がなくて腕が六本という、昆虫をほうふつさせるような外見です。
 「原作」ではそれについては、「この六本の腕」などと自慢(?)するだけですが、本作では、そのロボットの中でも明らかに異様な姿を嫌い、人前ではケープをはおり、普段は顔しか見せません。
 そして、その世界最高峰の戦闘能力すら忌み嫌い、その戦闘能力と全く関係のない「年老いた音楽家の執事」を仕事としています。現時点で出場している、イプシロンを除いた他の5人が、いずれもその戦闘能力を生かした仕事をしているのと比べても、ノース2号の「戦嫌い」は際立っています。
 そして、嫌味を言われたり怒鳴られたりしながらも、音楽を学ぼうとします。さらにその一方で、創作能力が枯渇したと他人に思われ、自らもそう思い始めている老音楽家の創作意欲を復活させるために、老音楽家の故郷を訪ね、彼の母親に対する誤解を解きます。
 それにより、老音楽家は創作を再開し、ノース2号にも音楽を教えます。これで、プルートウの来襲さえなければ、「めでたしめでたし」だったのですが・・・。

 あと、余談ですが、老音楽家の回想に、ブラックジャックが出ていたりします。基本的な話の流れとはもちろん関係ありません。おそらくは、これも浦沢氏の手塚氏に対する想いを具現化したものなのでしょう。

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