ビッグコミックオリジナルに月イチ連載されている「PLUTO」にハマっています。最初は通常版の単行本を買ったのですが、豪華版に「原作」の「地上最強のロボット」が同梱されている事を知って買いなおしたほどです。
まず、「PLUTO」そのものを取り上げる前に、「地上最強のロボット」について書いてみようかと思います。
私が「鉄腕アトム」を読んだのは今から25年前にあたる小学5年の時でした。当時、単行本20巻と「別巻」が1冊売られていたのを全部立ち読みしたものでした。ご存知の方も多いと思いますが、「鉄腕アトム」というのは一つの完成した筋立てがあるわけではありません。特にすごいのは「アトムの今昔物語」というやつで、「地球を守るために太陽に突っ込んだアトム」という一つの最終回(ちなみにこの話は私が読んだ「全20巻」には収録されていませんでした)の後、偶然宇宙人に拾われて復活したアトムが、改造された上に過去の地球にもどってくる、というわけのわかならい話でした。
それらの中で記憶に残ったシリーズの一つに「地上最強のロボット」というのがありました。当時は、その「最強ロボット・プルートウ」相手にアトムがどう戦うのかかなりハラハラしながら読んでしました。
ただ、今読むと、子供の頃に気づかなかったいろいろな点に当然ながら気づきます。それらを含め、まずこの「原作」について書いてみようと思います。
話の筋は、中東で国を追われた元国王が、「地上最強のロボット・プルートウ」を造らせた、という所から始まります。そして、アトムを含む、世界トップクラスの7体のロボットの破壊を命令し、それに従ってプルートウはロボットを殺してまわります。
しかし、アトムの妹ウランとの出会いなどで、「戦い」以外の心がだんだんと芽生えていきます。一方、アトムはプルートウに勝つために生みの親・天馬博士に10万馬力から100万馬力に改造してもらいます。
そし最終決戦。アトム・プルートウに加え、「プルートウを倒して真の地上最強になる」と宣言して現れたボラーの三人が阿蘇山に集います。そしてアトムとプルートウが戦いますが、戦いの際に発生した阿蘇山の噴火を協力して止める事により、プルートウはアトムとの戦いを拒否します。しかし、ボラーには完敗し、角と腕をもがれます。その時、見かねたアトムが乱入。あっさりボラーをやっつけ、ボラーはプルートウもろとも、爆発しました。
話の前半は、「殺し合いをして地上最強のロボットなどを決めるのは愚かな事だ」という論調で描かれています。自らの意思で百万馬力に改造されたアトムに対しても批判的な描写があります。その一方、プルートウは徐々に「戦い」以外の感情が芽生え、ウランに淡い恋(?)をしたり、百万馬力が暴走して海に沈んだアトムを、「標的」の一人であるエプシロンと協力して助けたりします。
ところが話の収束になるとそれまでの「戦いの虚しさ」に関する描写は消滅。阿蘇山の戦いでは、アトムが持ち前のスピードに百万馬力を加えた強さでボラーを圧倒。まだ生きていたプルートウも一緒に吹っ飛ばして「やった」などと言う始末です。これではまるで「やはり最強は百万馬力にパワーアップした我らがアトムでした。めでたしめでたし」です。
確かに魅力のある話ですが、全体的に見て???、という作品。まあ、手塚作品では他にもあるパターンではありますが・・・。
この作品を「原作」とした浦沢氏は独自の解釈を元に新たな世界を描きます。しかも「主役」はアトムではなく、「地上最大のロボット」において全7ページの登場しかなかった「ロボット刑事・ゲジヒト」です。それがどのような作品になったかは、次回以降で書いてみようと思います。