映画「ハートキャッチプリキュア」

 つぼみを軸としたプリキュア四人をの良さを出しつつ、映画のゲストキャラである、オリヴィエとサラマンダー男爵の二人を深く描いており、非常に心に強く残った作品でした。
 本シリーズは、ほぼ毎回ゲストキャラが登場し、その心を描いているわけですが、それによって培われたものが映画版において最高の形で花開いた、とも言える、と思いました。

 作中、最も印象に残ったのは、オリヴィエをかばうために、自らの体でマリンシュートを受けた、つぼみの描写でした。その衝撃で、髪の結びが解け、「ブロッサム」から「つぼみ」に戻ったように見えます。それによってオリヴィエが正気を取り戻すのですが、この、斬新な描き方は凄いと思いました。
 次に印象に残ったのは、サラマンダーとオリヴィエが出会った場面でした。400年間封印され、地球滅亡の思いを持つはずの存在です。しかしながら、せっかく封印が解けたにも関わらず、妙に淡々としています。そして、顎には無精髭が伸びていました。
 この場面を見たとき、作り手が彼のことを、これまで映画に出てきた「敵ボス」とは全く違う描き方をしようとしている事が伝わりました。その予想通り、彼のオリヴィエに対する一連の心の動きは、非常に巧く描かれていました。
 また、石の破片探しに日本に行き、一人になって捨て猫とたたずむオリヴィエおよび、それを迎えに来たサラマンダーの描写も印象に残るものでした。
 そのため、最後にハートキャッチオーケストラによって倒され、元の姿に戻った彼が動いた時は、一安心させられました。
 他の部分についても、あらゆる場面において、濃密な描写がされていると思いました。変身場面ですら、既存の映像を使いつつ、初の「えりか・いつきの二人で変身」を描くなど、新鮮な表現をしていました。
 その象徴として、映画版恒例の「ライト」の扱いがありました。ここ数年、映画の導入はこの「ライト」の使用説明から始まっていました。しかし、今回はそれをせず、サラマンダーとその後ろを歩くオリヴィエ、という所から初めていました。
 さらに、「子供たちにライトを振らせる場面」についても、これまでの映画に比べるとかなり簡略化されていました。「プリキュア映画の目玉」とも言える部分をそのような扱いにするほど、濃密に話を描き込んだゆえなのでしょう。
 他にも何度拒絶されながらもオリヴィエを気遣う、つぼみや、そこで困ったり泣いたりする、つぼみをフォローする、えりかの描写なども、良く描かれていました。
 もともと、期待はしていましたが、まさかここまで凄い話を創りだしてくるとは思っていませんでした。それほどまでに、質の高い作品でした。

追記・別途、DVD版を観た感想も書きました。あわせてお読みいただければ幸いです。

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