一番印象に残ったのは、携帯サイトとのタイアップ企画で、人気携帯作家の「SINKA」さんがストーリー原案を担当した「地獄少女 番外編」でした。こう言ってはなんですが、あの永遠さんの絵で、まさかここまでプラスの意味で心に残る作品を読める日が来るとは思いませんでした。
通常の「漫画・地獄少女」でしたら、せいぜい、相田さんが安藤さんへの「地獄送り」を思いとどまったものの、別の人が安藤さんを「地獄送り」にする、といったオチになるところでしょう。
それに対し、今回の「黒幕」は冒頭から「説明役」的な存在で出ていた佐藤さんでした。彼女が相田さんおよびその学力の高さに対して強い憧れを抱いており、倒してくれるはずだった安藤さんと仲良くなった事に絶望して、相田さんを消去した、というオチには驚くと同時に、彼女の歪んでしまいながらも一途だった気持ちを感じ、何とも言えない空しさを感じました。
一方、理不尽に命を奪われながら、自分の死よりも、安藤さんに夢を語らせてくれなかった事に抗議する相田さんの描写の哀しさも印象に残りました。
携帯小説を読んだ事はありませんでしたが、いつかこの「SINKA」さんの作品を読んでみたい、と思ったほどの話でした。
表紙・巻頭カラーの「妖界ナビ・ルナ」番外編は、本編と関係のない「病弱少女励まし話」でした。ありがちな筋立てですが、本編の妖怪大戦争に比べれば、主人公の良さがうまく描かれており、楽しめました。
「夢見るエンジェルブルー」は、途中でオチが読めはしましたが、普通に主人公の可愛さを描いていました。
「夢水清志郎事件ノート」は、ハワイ日本人移民編でした。毎度の事ながら、さりげなく、現在の社会状況への風刺が込められていて、自分的にはそちらの部分ばかり印象に残りました。
ホラー読み切りを描いていた秋本葉子さんがセンターカラーでシリーズ連載を初めた「蜘蛛女」ですが、これまでの読み切りであった「ただ悲惨になるだけではない」という独特の味がなくなり、ありがちな筋立てになっており、かなり残念に思いました。商業的にはこちらのほうが無難なのでしょうが、これまでの読み切りで描いていた作者の個性を活かしてほしかったものです。
若手の読み切りでは、入れ替わりものの「チェンジ」が面白く読めました。日頃つきあいのない二人を入れ替わらせる、というのはなかなか斬新だと思いました。主人公二人のキャラが描き切れていないので、また続編を描いてほしいものだと思いました。