今年は、どちらかと言うと、「ちょ~短編 プリキュアオールスターズGOGOドリームライブ」目当てで映画館に行きました。
その「ちょ~短編」ですが、歴代プリキュアが勢揃いして、ジャアクキング風の巨大な敵を倒し、その後は、ドリームライブをやる、という内容でした。
シリーズの中で特に「スプラッシュスター」が好きな身としては、短い作品とはいえ、久々に咲と舞の新作を見れることに、大いに期待していました。
その視点で見ると、まず敵が出てきて全員が変身すると同時に、咲と舞がまずその敵の動きを食い止めて、そこから他の九人が攻撃する、という展開はかなり嬉しいものでした。
さらに、「SS」本編でもなかった、「ブルーム・イーグレットからブライト・ウインディに変身」という貴重な場面もありました。
あと、冒頭でアカネさんがタコヤキを売るなど、メインキャラ以外もちゃんと出ており、文字通り「オールスターズ」だったようです。
来年春には、この「オールスターズ」で長編映画を作るとのことです。キャラが多くて大変でしょうが、是非とも、それぞれのキャラの良さが描かれる作品にしてほしいものです。
一方、「お菓子の国」のほうですが、あらすじは、のぞみの誕生パーティーをやろうとしている所に、なぜかブンビーと、デザート王国の王女「ショコラ」が出現。ブンビーの操るホシイナーから救ったお礼にとショコラ王女にデザート王国に案内されるが、じつはこれは、デザート女王の精神を操っている「ムシバーン」のワナだった、という筋立てです。
ムシバーンの目的は満足できるお菓子を食べることで、そのために、プリキュアをお菓子にして食べるために連れ込んだわけです。そして、手下の「ビター」と「ドライ」さらには捕らえた小々田までも操って目的を達しようとするも、あと一歩のところでプリキュアが甦り、最後は「シャイニングドリーム」となった、のぞみがムシバーンを倒す、という話でした。
このムシバーンは、名前だけ見るとバイキンマンの一種みたいですが、映画版シリーズに出てきた敵ボスの中で、もっともまともな外見を持ちます。しかも、前回のシャドウのように、一度倒されて最終決戦になった時も、巨大化などせずに、そのダンディな外見および声を維持し続けます。
その外見で、「美味しいお菓子が食べたいから」というのは少々冴えませんが、まあ、スイーツ限定の海原雄山と言えなくもありません。というわけで、今回、一番印象に残ったキャラはこのムシバーンでした。
さらに興味深いのは、そのムシバーンとデザート女王の関係です。確かに、ムシバーンは精神支配能力を用いて女王を操ってはいます。しかし、正気に戻った女王が最初にムシバーンに言ったのは、「私は、貴方にあらゆるお菓子を提供しました。しかし、満足してくれませんでした」という台詞でした。その後も、操られた事に対する恨み言みたいな事は言いません。
そのあたりの女王の心理が気になりました。一瞬、実はムシバーンは別れた夫か、とまで思ったほどでした。このあたりの両者の感情や心理をもっと描き込めば、とも思いました。もっとも、そんなことしたら、子供向けアニメではなくなるかもしれませんが・・・。
そして、最終決戦では、ムシバーンがデザート王国の菓子に満足できなかった事について、のぞみが「皆と楽しく食べれば美味しさがわかったのでは?」と言い、最後に敗れたムシバーンも、それを肯定して散っていきます。その立ったまま往生する様は、ラオウの「我が生涯に一片の悔いなし」に通じるものがありました。
その一方で、「死ぬまぎわにいいヤツになるんじゃねえ」というツッコミも入れたくなりましたが・・・。
とりあえず、このムシバーンというキャラは、名前を除けばかなり良くできていると思いました。
他に、印象に残ったのは、なぜかアルバイトでムシバーンの野望を手伝ったブンビーでした。「ホシイナー」などの取り憑きキャラを別にすれば、テレビ版の敵キャラが映画に出たのは初めてだと思います。これもひとえに人気ゆえでしょう。
ほどんど顔見せだけでしたが、そんな中で「現物支給」などと、らしい台詞を言っていました。
このように、おっさんキャラに関しては非常によくできた映画だと思いました。ただ、それ以外の部分では、残念に感じた点が多々ありました。実際、終わった直後に近くの席にいた子供が、「え?もう終わりなの?」と声を上げていました。
その子供の気持ちはよく分かります。なにしろ、話の見せ場というべき所が「操られた小々田が、のぞみのキスで洗脳が解ける」と「お客さんにミラクルライト2の使用を促す」くらいしかありません。後は前半ではお菓子の食べまくりが、後半では闘いが、話のはりもなく進んでいくだけです。
キャラについての「らしさ」を感じたのは、皆がお菓子をパクついている中で、肥満についての指摘をした、かれんと、闘いのなか、一度敗れた時に、うららをかばう形で固まっていた、こまちくらいでした。まだ、うららは、細かいところで、「らしい」動きをしてはいましたが、りんに至っては、印象に残るような言動は一切ありませんでした。
あと、冒頭に皆で作った、のぞみの誕生日ケーキをブンビーに奪われたまま、デザート王国のケーキで何事もなくパーティーをやっている、というオチもどうかと思いました。
せっかく、TVより長い時間枠があるわけです。お菓子を食べ続ける描写をするくらいなら、何か主題を定め、それに基づいた各キャラの良さを描いた方が良かったのではないでしょうか。
ムシバーンというキャラがある程度良く描かれていただけに、余計に勿体なさを感じた作品になってしまいました。
次回は、今回の六人に加え、「歴代」で五人を出すわけです。それだけのキャラを動かすのは大変だと思いますが、「ただ、出しただけ」で終わらないよう、じっくり練り込んで作って欲しいものです。