「ふたりはプリキュア」1~8話

 自分がプリキュアを初めて見たのは「ふたりはプリキュア」第3話でした。
 お世話になっている方に勧められたのが理由です。その方には本当に感謝しています。
 初めて見たとき、まず衝撃を受けたのがオープニングでした。
 いきなりの「プリキュア」六連呼からはじまり、さらに「プリティでキュアキュア ふたりはプリキュア」と「プリキュア」の意味を解説しているわけです。
 この単純明快さが、プリキュアを日本のアニメを代表するシリーズにした原点なのかも、などと思っています。

 第3話の本編にも驚きました。
 プリキュアに変身する二人が、「美墨さん」「雪城さん」とお互いを「苗字+さん」で呼びあっていたからです。
 第1話ならともかく、既に二回も二人で一緒に変身して闘っているわけです。自分がこれまで見てきた作品でしたら、間違いなく、「名前呼び」になっていました。
 このOPと苗字呼びだけで、衝撃に近いものを受け、勧めてくださった方に感謝したものでした。

 その後、DVDで第1・2話を見ました。
 第1話の冒頭は、部活で頑張る二人が、終了後の校内ですれ違うも、お互いにまったく気づかない、という所から始まっていました。
 この春、2年になって同じクラスになったが、1年のときはほとんど接触がなかった、という設定によるものです。
 そこで偶然にも二人はプリキュアとなり、一緒に闘うようになります。
 闘うときは、当然ながら二人で力を合わせます。また、一緒に社会科見学の栞を作るなど、日常での接触も増えます。
 しかし、二人は相変わらず、「美墨さん」「雪城さん」と呼び合います。その結果、初代敵幹部であるピーサードは、第5話で「美墨さんと雪城さん」に倒されてしまいました。

 もちろん、二人とも、同じ部活の仲間などには、普通に名前で呼び合っています。
 それもあって、この第5話前後では、お互い、なんか引っ込みがつかなくなって苗字呼びを続けている、という感じでもありました。
 同時に、その苗字呼びも含めた、どうしても埋められない距離感みたいなものが描かれており、興味深いものがあります。
 その距離感を埋めにいったのは、雪城ほのかでした。
 美墨なぎさが淡い恋心を抱いているのが、自分の幼馴染の藤村省吾である事を知ります。
 そこで、第7話では、ラクロスの試合に、彼を誘って二人で応援に行きました。
 雪城ほのかとしては、美墨なぎさの恋を応援し、それをきっかけに、彼女に近づこう、という意図なわけです。
 しかし、美墨なぎさにとっては、全くの逆効果で、「もしや、憧れの藤村省吾は、雪城ほのかの事が好きなのか、と不安になってしまいます。

 そして、第8話を迎えます。朝、登校で一緒になった雪城ほのかは、美墨なぎさに藤村省吾を紹介します。
 もちろん本人は、美墨なぎさが二人の関係がどうなのか心配しているなど、夢にも思っていません。
 「紹介できてよかった」と笑顔で語る雪城ほのかに対し、美墨なぎさは激怒し、走ってその場を去ります。
 そして、追いかけてきた雪城ほのかに対し、思わず「あなたなんてプリキュアなだけで、友達でもなんでもないんだから!」と言ってしまいます。
 それにショックを受けた雪城ほのかは、プリキュアを辞めると美墨なぎさに告げます。
 その後、学校での気まずい二人を描いたあと、戦闘になります。
 変身の際に、美墨なぎさが「モタモタしなーい!」というのですが、それを聞いた雪城ほのかが激怒します。
 そして、戦闘中、二人はずっと言い合いを続けます。そこに割り込んできた敵幹部・ゲキドラーゴに対し、口を揃えて「うるさい!いま大事なお話し中!」と言い、そのまま必殺技・プリキュアマーブルスクリューを放って完勝してしまいました。
 戦闘時に、持っていた手帳を交換する形になり、帰宅後、その結果お互いの考えをじっくり知る機会を得ます。
 その結果、お互いが何を考え、何を悩んでいるか理解し合うことができました。
 翌朝、前の日に喧嘩をした場所に美墨なぎさはいました。
 そこに歩み寄った雪城ほのかは、意を決して「これ…なぎさの…なぎさの手帳でしょ」と名前呼びで語りかけます。
 昨日の喧嘩をきっかけとして、距離を埋めようとするわけですが、もちろん、逆にさらに悪化する危険性もあるわけです。
 その不安もありながら、踏み込んでいった雪城ほのかですが、すぐに美墨なぎさが返事をしないので、不安そうな表情を見せます。
 それに対し、美墨なぎさが笑顔で「行こ、ほのか」と名前呼びで返事をして手をつなぎ、雪城ほのかも笑顔になる、という形で完結しました。
 この会話における、二人の表情の描き方は本当に秀逸で、何度見返しても感心させられます。

 当然ながら、この第8話を前提に、1話から話を作っていたのでしょう。
 その逆算とも言える含みが、各話で描かれており、後から見返すと、その旨さに感心させられます。
 よく「第8話」が名作と言われますが、自分的には、この「1~8話のセット」が名作なのでは、と思っています。