卒業式の前の日に、なぎさ・ほのか・ひかり・志穂・莉奈の五人で海に行きます。アカネ・藤村・木俣・忠太郎もいます。現実の季節は真冬ですが、作中はやわらかい陽光が水面に映える早春。雑誌の中から春の海風が吹いてくるような錯覚をおぼえる、自然な描写がなされています。
浜辺の砂を掴みながら、この砂粒ほど多くの人が住む世界で出会うことができた不思議さを感じるなぎさ。それを受けてほのかが、なぎさとの思い出を語りだします。流れ星がきっかけで初めて会話した事にはじまり、遊びに行ったこと、けんかしたこと、日常のこと・・・。お互いがお互いを大切な存在として過ごしてきた事が伝わってきます。
後半部は、五人で「最後に何か一言大会」に。ここで、志穂に続いて二番目となった莉奈が、藤村への憧れを「告白」します。この莉奈というキャラ、これまで、あまり目立った個性を発揮する事はありませんでした。コンビを組んでいる志穂が、口癖・映画監督の夢などで個性を主張していたのと対照的な、目立たないキャラでした。アニメで唯一の「主役話」も、たまたま狸を拾った、という感じで、「彼女ならでは」という話ではありませんでした。
それが、ここでいきなりの衝撃的発言です。そして、なぎさをはじめとする皆が驚く中、「たんなる一時期のあこがれ。なぎさのライバルなんてまっぴらごめん」と、あっさり場を収めます。そのまま、ひかりへと話は振られ、この件については一切描かれません。しかし、描かれずとも、彼女が藤村への憧れを自覚し、それとなぎさとの友情に一人悩んだという葛藤があった事はおのずと分かります。さりげない数コマの描写ながら、これまで、漫画・アニメで具体的には描かれなかったものの、実はずっと存在しつづけていた彼女の内面が伝わってきました。
その後、ひかりが皆の幸せを願い、なぎさが詩を読みます。その詩をめぐって戯れのドタバタが起きた後、最後にうっすら涙を浮かべたほのかの一言が。それは、「ずっといっしょにいられたらいいな・・・みんなと」でした。
知識豊富で、その気になればいくらでも気の利いた事を言えるほのかゆえに、この単純な一言に重みを感じました。同時に、読んでいるほうとしても、「ずっと、見ることができたらいいな・・・みんなを」と思いました。
これからも、作品世界の中では、彼女たちはこれからも喜んだり悲しんだり悩んだり笑ったりしながら、暮らしつづけるのだろう、という気分になる最終回でした。
この2年間、毎月、この漫画版「プリキュア」を見るのを楽しみにしていました。その期待にたがわない、自然かつ爽やかな最終回でした。来月からの「スプラッシュスター」も楽しみにしています。また、講談社さんにはぜひこの「戦いのないプリキュア」を全話収録した単行本を出してほしいものです。
※他の作品の感想は、明日書きます。(←その予定だったのですが、実際に掲載した時は日付が変わっていました。すみません)