「プリキュアアラモード」全体の感想

 漫画の単行本2巻も無事発売され、プリキュアアラモード」が完結しました。
 プリキュア史のなかでも、かなり異色であり、かつ心に残るシリーズだったと思っています。
 シリーズの主題である「スイーツ」「まぜまぜ」「大好き」を、それぞれきっちり描ききった、楽しい作品でした。

 もったいなかった点と言えば、プリキュアが多すぎた事と、エリシオにおける無理な設定でした。
 多さといえば、史上最多タイの六人です。さらに、最終盤では「キュアペコリン」まで登場したため、「七人体制」にまでなりました。
 これだけ多すぎると、見せ場作りに苦労します。基本的には毎回、一人ないし二人のキャラをピックアップする展開が多く、十分楽しめたのでした。とはいえ、もう少しキャラを絞っても良かったのでは、と思わざるを得ませんでした。
 また、エリシオについても、出てきたときは、「ノワールの忠実な部下で、プリキュアを闇に染めようとする存在」でした。ところが、年明けになっていきなり「ノワールに反逆し、全てを空にする事を目指す存在」に180度変わってしまいました。
 しかも、12月までの描写で、伏線らしきものは特にありませんでした。
 それもあって1月の最終決戦はかなり盛り下がり、残念でした。普通に、ノワールが闘っていたほうがスッキリしていたと思います。

 逆に言えば、この二点以外は、本当にいいシリーズだったと思います。
 とにかく、いろいろとこれまでにない事をしながら、「プリキュア」ならではの面白さを描いていました。
 今シリーズの最大の特徴は、「高校生組」の存在でした。かつて、月影ゆりという高校生プリキュアもいましたが、一年通してレギュラーかつ、複数というのは初めてです。
 そして、プリキュア全体でのチームを維持しつつ、この「ふたりは高校生プリキュア」として、抜きん出たコンビになっていました。
 特に、琴爪ゆかりの強烈さは際立っていました。歴代シリーズにも、一般人を装ってプリキュアに近づく的幹部、という存在はありました。
 しかし、その正体を一人で見破り、しかも、こちらからワナを仕掛けたわけです。
 さらに、ジュリオの次に出てきたビブリーに至っては、初登場の話で、彼女が陰謀の犯人であることをあぶり出し、プリキュアに変身することもなく、ひっ捕らえています。
 ここまで、絶対的な強さを見せつけたプリキュアは空前と言っていいでしょう。
 あまりに強すぎたせいか、後半は「弱さもあわせもつ」という設定が加わりました。
 しかし、その設定も活かして、さらなる「強さ」を自ら描いていました。さらには「弱さ」設定を利用して、剣城あきらとのコンビ設定がさらに鮮やかに描かれるようになりました。
 実は、シリーズが始まる際に、「気まぐれ」という設定を見た時、「それを口実に整合性のない言動が描かれるのでは」と密かに危惧していました。しかし、それは全くもって見当違いの杞憂でした。これだけ凄いプリキュアを創り出したスタッフには恐れ入ります。

 その琴爪ゆかりとコンビを組んだ剣城あきらも、同じくらい個性的なキャラでした。
 妹の剣城みくへの想いの強さをはじめ、誰かの幸せのために全力を尽くす、という性格は、琴爪ゆかりと対象的です。そして、だからこそ、このコンビが強く輝いたのだと思っています。
 剣城あきら一人を描いたもので、特に印象に残ったものに、妹をネタに執拗な心理攻撃を仕掛け続けたエリシオに、「エリシオ、君は間違っている!」と一喝した描写でした。
 日頃は誰にでも気を使う優しい人柄なだけに、敵相手とはいえ、このように毅然とした態度を見せた事がより印象に残りました。また、「君」という呼び方も、剣城あきらにしかできない言い方だと思っています。

 中学生四人では、宇佐美いちかと有栖川ひまりのコンビ描写が印象に残っています。
 奔放さと独特の発想力で皆を引っ張る宇佐美いちかと、「お菓子作り」に強いこだわりを見せ続けた有栖川ひまりという二人によって、個性的なプリキュアが多い仲、基本の「お菓子作り」を主題にしたシリーズがブレる事なく、描かれ続けられたと思っています。
 特に、このコンビが活躍した、商店街宣伝話と、有栖川ひまりのこだわりが結実したオーディション話は強く印象に残りました。

 それに立神あおいとキラ星シエルを加えた六人のうち、二人ないし三人を「まぜまぜ」する事によって、さらならる面白さを描いていました。
 先述したように、6人は多すぎたと思います。とはいえ、そこからピックアップしてコンビならではの新たな良さを表現した、というのは印象に残っています。

 敵キャラについても、味方になった後も対立し続けたジュリオとビブリーの確執や、序盤の「週替りで悪の妖精が襲ってくる」という奇抜な設定など、いろいろ楽しめました。
 さらに、青果店のおっさんとか、三ツ星ニャンコなど、個性的な脇役たちも忘れられません。
 映画も含め、本当に個性的で楽しめた一年間でした。作った方々には強く敬意を表します。