蒼の騎士の存在意義

「東京ミュウミュウ」のメインキャラの一人に「蒼の騎士」という存在があります。
この作品の「ラスボス」は、ディープブルーという存在です。彼は、かつて地球に住んでいたもの、気候変動などで宇宙に移住せざるを得なくなった一族の絶対君主です。
ひょんな事で、現在の地球環境が良くなった事を知り、故郷奪還を画策し、部下たちに地球を襲わせる、という役回りです。
「蒼の騎士」はそのディープブルーのもう一つの姿です。

ただ、ディープブルーには実体がありません。地球奪還作戦に従事している部下たち(※以下、作中の呼称にあわせて「エイリアン」と表現します)に思念体として命令をくだす存在です。
その肉体は、主人公・桃宮いちご(=ミュウイチゴ)のクラスメートであり、後に彼氏になる、「青山雅也」という少年の姿を借りています。
青山雅也自体には、自分がディープブルーという認識はなく、普通の地球人だと自覚しています。もっとも、幼少期の記憶はなく、今の両親は里親で、出生不明、という設定になっていました。

ただ、作中では、なぜディープブルーが青山雅也になったか、という事は漫画・アニメとも語られていませんでした。
ちなみに、この「地球先住民が人類から地球を奪還する」という設定は、「デビルマン」と同じです。
その、デビルマンでは、地球先住民(デーモン一族)の神であるサタンが、記憶を捨てて人間・飛鳥了に変身します。そして、人間としてデーモン一族の存在を知って恐怖し、「デーモン一族がどのような攻撃を行えば、人間がもっとも困るか」と考えます。
その思考をデーモン一族が受信して攻撃作戦を立て、人類は危機に追いやられます。そして、最後にはサタンである事を思い出した飛鳥了が人類を扇動し、その結果、人類が滅び、デーモン一族が地球を奪還する、という筋立てでした。
もしかしたら、この「成功事例」をどこかで知ったディープブルーが、サタンの真似をしたのでは、などと筆者は勝手に想像しています。

それはともかく、青山雅也という少年は、顔も頭もいい上に、剣道の達人という、完全無欠で学校のアイドルです。
結局、二人は彼氏彼女になるわけですが、そうなる前も後も、青山雅也は一貫して、桃宮いちごの事を見下しています。
特に、アニメ13話で行われた「いちごは僕のネコなんだから」はその象徴でしょう。ペット扱いです。
他にも、エイリアンの襲撃を受けてはぐれ、再会した時に桃宮いちごを怒鳴りつけたり、生半可な知識で環境問題を語った桃宮いちごを穏やかな表現ながらボロクソに論破するなど、枚挙にいとまがありません。
懸命に闘っている部下たちを、戦いのコマとしか認識していないディープブルーと根が一緒である事がよく伝わってきます。

そのような展開のなか、エイリアンの一人で、桃宮いちごに想いを寄せているキッシュは、ディープブルーの独裁的な態度に何度も反発し、その見返りとして、左遷させられたりしていました。またその一方で彼は、正体を知らずに青山雅也を襲撃するようになります。
そのタイミングで登場したのが、第三の形態である「蒼の騎士」でした。エイリアンと同じ耳の形をした彼は、「いちご、お前を守る」としか言わずに、キッシュと戦闘を繰り広げます。
このキャラがなぜ存在するのか、「東京ミュウミュウ」を知ってからの16年間、ずっと謎でした。
もちろん、大本はディープブルーです。一方、青山雅也の人格も確立しており、最終回では青山雅也の人格がディープブルーの人格を乗っ取ってしまうという設定になっています。
とはいえ、自分の正体を知らない青山雅也が、「蒼の騎士」を創り上げるのは無理ですから、やはり、「蒼の騎士」を生み出したのはディープブルーと考えるのが自然でしょう。
しかし、なぜ、ディープブルーが、自らの地球奪還活動を妨害する存在である「蒼の騎士」をわざわざ作り出したのか、何度考えても理解できませんでした。

しかし、今日、ツイッターを見ていたところ、ディープブルーに関する興味深い考察がありました。それを読んだ時、霧が晴れたように、一つの仮説が浮かびました。
ディープブルーにとってのキッシュは反抗する生意気な部下です。最後では「役立たず」呼ばわりまでしていたほどでした。一方で、青山雅也にとっては、自分を襲撃してくる謎の男です。ついでに言えば、青山雅也にとっては、「僕のネコ」である桃宮いちごを奪おうとする存在でもあるわけです。
その結果、二人(?)にとって、キッシュが「共通の敵」となりました。とはいえ、「エイリアン」の首領であるディープブルーとしては、仕事のミスの範疇を越えてキッシュに制裁を加えられません。一方、人間の力しか持てていない青山雅也も、キッシュとは戦えません。
その結果、生み出されたのが「蒼の騎士」なわけです。彼にとって最大の目的は、口で言う「いちごを守る」ではなく、「キッシュをしばく」だったわけです。
これならば、蒼の騎士の行動の必然性も、ディープブルーがなぜ彼を作り出したのかも納得できます。

というわけで、正月早々、なんかえらくすっきりした気分になれました。
また、理解のきっかけとなったツイートをして下さった方には感謝しています。
それにしても、16年経っても、いろいろ考える事ができ、また新たな理解ができるわけです。「東京ミュウミュウ」というのは、本当にすごい作品だと改めて思いました。

「蒼の騎士の存在意義」への2件のフィードバック

  1. 青山くんの深層心理に少しだけ存在していた『いちごを守りたい』というピュアな想いと、ディープブルー側の『キッシュをしばく』という目的と利害関係の一致がミックス、融合して具現化した姿だという気がしますけどね( ^_^ 😉

  2. コメント有難うございます。いろいろな解釈がありますね。
    確かに、「ボクのネコ」という所有物を守りたい、という意図もあったのかとは思います。「りたーん」の山手線での顎クイ描写なども、それに通じるものがあったと自分は思っております。

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