「魔法つかい」第50話

 前回で「最終回」的な事を一通りやった事もあり、番外編みたいな話になるのだろうか、などと事前には思っていました。
 しかし、予想に反して、完璧とも言える最終回となっていました。
 一見、「実質的な最終回」と思われた前回は、この最終回に結びつけるためにしっかりと構想された「ラス前」だった事が分かり、自らの不明を恥じる結果になりました。
 おそらく、来期以降は、これが最終回の基本となるのではないでしょうか。
 そういうわけで、歴史に残る「プリキュア最終回」だと思いました。

 冒頭、第1話や後期OPで活躍していた猫が子供と一緒にいる、という形で時の流れを描いた場面を見た時から、えらく丁寧に描きこんでいるな、と思いました。
 実際、全編を通して、非常に細かくしっかりと作られていました。
 プリキュアの基本フォーマットである「女子中学生が変身して敵と闘う」を入れなければならないため、花海ことはの魔法で姿は中二の時に戻っていますが、そこでの会話は、当時を懐かしみつつ、離れ離れの間に、しっかり成長を遂げた二人がよく伝わってくるものでした。
 バッティが生徒にした事を褒められた時の十六夜リコの返答や、その後に見せた、朝日奈みらいの英語力など、細かい所でその成長した二人を描いていました。
 しかも、あの十六夜の日に桜の下での「出会いと繫がり」が、その原点にあった、というのも印象深いものでした。
 また、最後の場面で、馬車に乗った三人が見た、各キャラのその後の描き方も、短いながら丁寧かつ、過去の逸話をよく活かしていると思いました。
 なお、並木ゆうとが大学に行かずに造園業界に就職したのにはかなり驚かされました。そこまで造園への思い入れた強いとは思いませんでした。
 また、勝木かなと長瀬まゆみの後日談で、「空から降る、いちごメロンパン」を再現したのにも感心させられました。

 話の途中で、来週から始まる「キラキラプリキュアアラモード」の主人公である宇佐美いちかが登場し、また戦闘にも参加します。
 これは、新シリーズのCMを流すなどの営業上の都合もあるのでしょう。
 ただ、このような「バトンタッチ」自体は、あってもいいと思いました。
 そして、漫画版「マックスハート」の最終回に咲舞が出てきた事を思い出したりもしました。

 そして最後に、三人が自分の将来像について語ります。
 これも、中身がすでに大人という事もあり、これまでにない説得力と具体性が伝わってきました。
 シリーズの主題の一つだった、十六夜リコの「立派な魔法つかいになって、それから自分は何をしたいのか」の答えとして、「校長先生になる」を導き出した事にも感心させられました。
 中学の時に持った疑問について、色々悩み、考え、そして実際に教師としての経験を積んだ上での結論なのでしょう。
 また、これは、十六夜リコが産まれた時にあった特別な現象とも繋がっています。
 そういう意味でも本当によく練られた最終回だと思いました。
 また、「十六夜リコの目標」を知って一瞬驚くものの、後には「よき後継者を得た」という感じで未来を祝福するという校長の描写にも感心しました。

 一方、朝日奈みらいの目標は、世界中を回って多くの人と繫がり、繋げたい、というものでした。
 具体的な職業については言及されていませんが、自分は、世界平和を実現させる事、と解釈しました。
 十六夜リコが魔法界のトップである校長を目指すわけです。それに対し、朝日奈みらいは「ナシマホウカイ」のトップに立って、それを実現させる、という事なのだろうな、と思いました。
 それならば、二つの世界も含めた全時空の概念となった花海ことはとのバランスもちょうどよくなるわけです。
 朝日奈みらいがその考えに至った理由は色々あるでしょうが、その原点は、異世界からきた十六夜リコと出会い、繋がった事だと思います。
 そういう点においても、第一話からの筋がぴったり通っている最終回だと感心させられました。

 繰り返しになりますが、これまでの「プリキュアの最終回」のパターンと完全に違う、プリキュア史上に残る最終回だったと言えるでしょう。
 長年持っていた、「1月のプリキュア並びに最終回」に対して持っていた疑問を完全に解決した名作でした。
 このような素晴らしい最終回を見せてくれたスタッフに心より感謝しています。