魔法界の設定は色々と独特なものがあります。
その中でも、一番特異なのは、「世界のトップが学校の校長」という事でしょう。
これまで、色々な作品で「異世界」が描かれましたが、このような設定の世界は自分の知る限り、他にありません。
その理由について考えてみました。
原始時代には人間社会にも身分はなかったと言われます。
ところが、農耕や狩猟などが進歩するにつれ、個人個人の能力の違いによって収穫量に差ができるようになりました。
すると、たくさん収穫できる人は、そうでない人を支配して働かせ、自分の生産をさらに増やすようになります。
そして、より生産力が高く、より多くの人を従えるようになり、そのトップが王や皇帝になってトップに立ちました。
その後、多くの国は君主制から民主政治に移行しました。しかし、基本的には生産力がある人が国を動かす、という点においては、当時も今も同じです。
かなり大雑把ではありますが、これが我々の社会(ナシマホウカイ)の歴史と現状です。
一方、魔法界は、そのような歴史をたどらなかったようです。
誰もが魔法を使える事により、そのような個人個人の生産力に差が生じず、強者がそうでない人々を支配する、という現象がおきなかった、という事なのでしょう。
37話における、みかんの収穫並びに、それを冷凍みかんにする過程などは、それを象徴している感じです。
日常生活における様々なものが魔法で成り立つわけですから、工業をはじめとする産業もほとんど発展しなかったようです。
自動車や飛行機がなくても、ホウキやジュウタンで事足りるわけだから、そうなるのも当然でしょう。
したがって、大量生産・大量消費がおきません。そのため、商店街はあっても、ショッピングモールは存在しないわけです。
そういうわけで、身分とか貧富の差などがない魔法界ですが、いざという時のためのリーダーはどうしても必要です。
普段はともかく、大きなお祭りを取り仕切ったり、デウスマストの襲撃のような深刻な事態が生じた時には「まとめ役」がいないと皆がバラバラに行動してしまい、収集がつかなくなってしまうからです。
そこでリーダーになったのが魔法学校の校長なわけです。
理由は、魔法の力が最も強く、かつ学問に秀でて知識が深いからでしょう。
そのようなリーダーにとっての日常業務が「学校の校長」である事も興味深いところです。
要は、魔法界トップの能力を、自分の利益でなく、後進の育成のために使っているわけです。
これは、魔法界にとってもっとも重要なのが「人々の魔法力並びに教養を高める」という意味だと思います。
個人個人の魔法力によって支えられている世界ゆえ、という事なのでしょう。
制服も授業で使うホウキも学食も全て無料なのも、その考えにもとづいての事だと思われます。
そのような「理想郷」である魔法界をわかりやすく表現する手段が、この「魔法界のトップは魔法学校の校長」という設定だったのでは、と思っています。