夏祭り話でした。亜久里の強さと弱さ、さらには、これまで見せなかった、同世代に対する接し方などが、興味深く描かれていました。
また、各所におけるキャラの描写が秀逸で、大変楽しめました。
昨年同様、大変、素晴らしい「夏祭り話」でした。
冒頭、いきなりプリキュア5人でランニングをしています。先頭は亜久里で、最後尾は六花です。そして、六花だけバテバテでした。
ありすは四葉マークのついたジャージを、他の四人は学校の体操着を来ています。マナはオーソドックスな着方をしているのに対し、真琴はジャージの上を腰に巻き、六花は袖を肩までまくる、という形で描き分けされていました。
先月、成長を遂げたプリキュアですが、さらなる上のステージを目指すという亜久里の主張により、10日間の強化トレーニングを始めた、との事でした。今日は10日続けたトレーニングの最終日だそうです。
そして、ゴールである亜久里の小学校に着きます。六花も半ば歩いていましたが、皆と同じペースでゴールインしていました。
ゴールした時、六花は座り込んでいました。また、亜久里もかなり疲れた感じです。一方、マナは笑顔で汗を拭き、真琴は腰に手を当てて六花を案じるなど余裕が感じられます。また、ありすは一人深呼吸をしてクールダウンと、運動理論に則った行動をとっています。このあたりの描き分けも上手いと思いました。
そして、マナが「お腹すいた」と言い、それを受けて、ありすが朝食を取ることを提案します。
しかし、亜久里は自ら作ったスケジュール表を提示して反対します。このスケジュール表、「ン」の書き方がおかしかったり、鉄棒の内容が「けんすい・逆あがり」となっているなど、「小学生が作ったスケジュール表」になっています。
このあたりからも、亜久里が無理して背伸びしている様子が伝わって来ました。今回、このような一瞬だけ映るところまで、丁寧に作られていました。
そのハードスケジュールぶりに、四人は反対しますが、亜久里は主張を曲げません。ところが、話をしているうちに、立ちくらみして倒れてしまいました。
中学生、しかもスポーツ万能のマナなどと同じペースで運動していたのですから、かなり無理をしていたのでしょう。このあたり、「キュアエース」と「円亜久里」の体力差のギャップを自覚しきれていない、という事が興味深く描かれていると思いました。
亜久里が倒れると、このトレーニングの様子をずっと隠れて見ていた、亜久里のクラスメート「森本エル」が駆け寄ります。ちょっと奇妙な名前です。「森本レオ(Leo)」さんと何か関係でもあるのだろうか、などと思いました。
気を失った亜久里を日陰に寝かせ、六花はハンカチを冷やして額に乗せます。そして、看病が一段落すると、皆は、エルに学校での亜久里について尋ねました。
すると、皆より精神年齢が高いため、リーダー格で、人間関係もソツなくこなすが、友達は作らない、という予想通りの答えでした。
それを聞いたマナは、「エルちゃんは亜久里ちゃんと仲良くなりたいんだね」と笑顔でいいます。マナの隣にいる六花も笑顔でそれを聞いています。
続けてマナが胸をドンと叩き「そういう事なら、お姉さんに任せなさい」と言います。この、マナが胸を叩いた瞬間に六花から笑顔が消えます。そして、マナが言い終わると、頭を抑えて「出た、幸せの王子」とつぶやきます。
ここでの、六花の表情の変化の描き方も、絶妙だと思いました。
そして、目を覚まし、特訓の継続を主張する亜久里を皆で説得し、トレーニングは終了となりました。そして、エルも誘って、夜のお祭りに行くことになります。
一連の事で、亜久里の事が段々わかってきた事もあり、説得する四人の言い方がこれまでと違って「お姉さん」的な立ち位置に変わっていました。こうやって五人の人間関係が構築されていくのでしょう。
さて、約束の夜7時となり、皆で浴衣を着て集合となります。ところが、亜久里は屋台で売られているスイーツにうっとりしてしまい、集合場所に来ません。
エルを含めた五人に発見されると、亜久里は「皆さん、遅いですわ」と言います。このあたりも、彼女の「背伸び」ぶりが上手く描かれていると思いました。
また、それに対し、六花がツッコミを入れようとしますが、マナが抑えます。このあたりにも、「年上」を自覚した余裕みたいなものが感じられました。
そして、マナとエルは亜久里の浴衣を褒めます。亜久里は照れて「ありがとう、森本さん」とお礼を言いますが、それを聞いたエルは寂しそうな顔をします。それに気づいたマナは、エルの浴衣を褒める事により、亜久里に「エルちゃん」と呼ばせました。
続いて、皆で金魚すくいにいきます。自称「金魚すくい荒らし」のマナは大失敗し、六花に突っ込まれていました。
また、ありすは熟練の腕を見せますが、頭の上に載せていたランスが水槽に落ちてしまい、リタイヤとなりました。これを見た時は、四葉家の英才教育には金魚すくいも含まれているのだろうか、と思いました。
続いて、金魚すくいを初めて見た亜久里が挑戦します。六花の「いい、水面に対し45度でえぐるように掬うのよ」という丹下段平ばりのアドバイスを受けます。しかし、肝心の「金魚を狙う」を失念して大失敗してエルともども水をかぶってしまい、二人で笑いあっていました。
この六花のアドバイスなども、朝の件で、四人と亜久里の距離が近づいた事を上手く表現していると思いました。
さらに六人は射的に行きます。真琴は自分のキャラクターグッズを狙いますが、弾道がそれ、隣の人形にあたってしまい、不服そうに膨れていました。
続いて、六花が理論を語りながら挑みます。ところが、狙いを慎重に定めている所でマナに肩を叩かれ、間違えて発射してしまい、目当てのカエルを取れませんでした。
その結果に、六花は、涙を流して悔しがります。よほどカエルを取れなかったのが悔しかったようです。
これまで、具体的な会話になった事はないのですが、この「六花のカエル好き」という設定は、ブレる事なく、随所に描かれています。このあたりも、巧いと思いました。
そして最後に亜久里が、エルが取りそこねた賞品に挑みます。そして、「エースショット、ばきゅーん」と言いながら、見事成功しました。
この、「日常生活にプリキュアの技を持ち込む」という意外かつ新鮮な描写も大いに楽しめました。
ゲームが終わった後は、皆で、かき氷を食べます。
マナに「スペシャル美味しいスイーツ」がある、と言われていた亜久里ですが、そのかき氷は、美味しいものの「スペシャル」ではなく、いぶかります。
すると、そこにエルが声をかけ、自分の、かき氷を食べさせます。すると、それが非常に美味しく、亜久里は得意の(?)トリップをしました。なお、今回は、美味しさの表現に「ブラボー」を使うなど、味皇様が入っていました。
とはいえ、エルのかき氷が特別製なわけではありません。不思議がる亜久里に対し、マナは、「皆で食べるから美味しいんだよ。わたしの友達もそう言ってた」と答えます。
そう言いながら、レジーナとアイスを食べた事を思い出していました。ここでレジーナの回想を出したことおよび、「レジーナとの想い出を、亜久里に伝える」という形にした事も、強く印象に残りました。
そして、皆で「食べあいっこ」となり、六人でかき氷を楽しんでいました。
その後、戦闘に入ります。今回のジコチューは、祭りのグッズを集めたものでした。そして、なぜか、「八時だよ、全員集合」ネタを連発していました。自分的には懐かしさをおぼえましたが、子供はもちろん、若い親御さんにもネタはわからないのでは、とも思いました。
闘いのほうは、亜久里を5分間闘わせて変身を解くという、「のび~る作戦」をリーヴァとグーラが採用しました。しかし、砂時計を用意したものの、他に特に時間を稼ぐというような動きは、特にありませんでした。
また、敵についても、亜久里が一人で片付けてしまい、四人はいてもいなくても同じでした。このあたりは、少々残念でした。
闘いが終わり、皆で花火を見ます。そして、強く手を握り合う、亜久里とエルが描かれ、話は終わりました。
冒頭の特訓および、メインの夏祭りのいずれも、細かいところまで、各キャラを丁寧に描いていました。
また、その流れにおいて、四人と亜久里の相互理解や、位置関係の変化などが、自然かつ分かりやすく伝えられていました。
戦闘部分はちょっと残念でしたが、それを除けば最初から最後まで、随所で楽しみ続けることができた、秀作でした。
次回は、シャルル・ラケル・ランスが、ダヴィに教わって人間体に変身し、各パートナーを助ける話です。どのような話になるのか、楽しみです。