例年より1ヶ月遅れで、漫画版プリキュアの単行本が出ました。
ここ3年ほどは、前作の後半と新作の第1話、それに描きおろしで前作の「最終回」が収録されていました。
しかしながら、今年は、新作「ドキドキ!プリキュア」の、ありすと四葉財閥をメインとした描きおろし番外編が収録されていました。
そのため、例年の「最終戦闘と後日談」とは大幅に異なる描きおろし漫画となりました。
舞台は四葉家の広大な私有地です。三人は広大な四葉財閥の敷地をセバスチャンが御者をする馬車で移動しています。
六花の説明によると、既に明らかになったテレビ局に加え、スタジアム・コンサートホール・乗馬クラブ・公園・アミューズメント施設・街の通りまで、所有もしくは出資しているとのことでした。
そんな中、お茶会が始まります。最初はとりとめのない「ガールズトーク」をしたり、マナがお菓子をつまらせ、それを六花が助けるなど、日常的な光景が描かれました。
そして、二人は、ありすに話題を振るのですが、それを、ありすははぐらかして散歩に出ます。
続いて、三人で湖畔を歩きました。どうやら、この湖はまるごと、四葉家の所有物のようです。プライベートビーチあらずのプライベートレイク、というったところでしょうか。この敷地の全貌は明かされていませんが、他にもプライベートマウンテン並びに、その斜面に作られたプライベートスキー場はくらいありそうだな、とも思いました。
それを見たマナは感激しながら、「こんな美しい湖畔でガーデンウェディングなんて最高だよ!」と喜びます。
一方、六花は、漫画版で設定されている「一人で延々とツッコミをつぶやくキャラ」を前回にして、ありすほどの大富豪の娘だと結婚は大変だ、などと語り始め、マナに呆れられていました。それを、ありすは日傘をさして笑顔で聞いていました。
ところが、ここから話が一変します。
いきなり、馬のいななきが聞こえると、さきほど馬車をひいていた馬が暴れだしていました。セバスチャンの制止も通じず、三人の前に飛び出します。
ところが、ありすが「スタリオン STOP!」と言うと馬は即座におとなしくなりました。
さらに今度は皆でゴンドラで湖上に出ます。するとなぜか噴水制御装置が故障し、荒波が発生しました。
すると、マナと六花が驚く中、ありすはセバスチャンから舵を受け取り、超絶的なクルーズテクで、ゴンドラを岸辺につけます。
しかし、まだ災難は続きます。なんと空模様がおかしくなり、雷の気配が漂ってきたのです。周囲に高い建物などはありません。
ところが、ありすはまた冷静です。マナと六花に低い姿勢で耳を塞ぐように指示し、日傘に仕込まれた避雷針(!)を使って雷をやり過ごしてしまいました。
二人は驚きますが、ありすは「たいした事ありませんわ」と何事もなかったように微笑んでいました。
それを二人は称賛します。しかし、ありすはうかぬ顔を見せ、「こんな自分がちょっぴり不満でもあるのです・・・。ほんとうは、思いっきり心がかき乱れる普通の女の子になってみたいと・・・そう望んでいるのかもしれません」と率直な心情を吐露しました。
さらに、マナと六花が、「結婚してもおばあちゃんになってもお茶会を続けようね」「異議なし」と言うと、「恋、結婚・・・。鋼鉄心臓のわたしですもの。ステキなお方とめぐりあえてもトキメくことができるとは・・・」と将来に対する不安をつぶやきます。
すると、マナは、ありすの手を握り、「できるよ、きっと!」と言います。続けて「だってさ、どんなに精神をきたえても、恋のドキドキきゅんきゅんだけはだれにも制御できない・・・そう思うんだ。あたしは」と言いました。
それを聞いた、ありすは頬をうっすら赤らめて、「きゅん」となりました。背景には百合の花が咲いています。
そのお礼を、ありすが言い、皆で帰ります。
帰りの馬車で、六花はあまりの作ったような展開に「四葉財閥の抜き打ちテストかも」と疑問を呈します。ありすは平然と「そうかもしれませんね」とほほ笑み、セバスチャンは言葉を濁します。
それを聞いた、マナが「執事さん、動揺しすぎ・・・てゆーか、気象操作までできてしまう、四葉財閥っていったい・・・」と驚き呆れる所で、話は終わりました。
変身も、戦闘に関する逸話も一切出てこない漫画版プリキュアが描かれたのは約5年ぶりかと思われます。
通常版もいいのですが、やはりこちらのほうが、「上北プリキュア」の良さが最大限に描かれていると思いました。
さらに今回の話は、さまざまな意味で凄すぎる設定を持っている、ありす並びに四葉財閥の特殊性を、アニメ以上に印象的に描いていました。
特に「私有の湖があるほど広大な庭」や「後継者を鍛えるために、気象を操作して雷を発生させる」というのは、四葉財閥の異常なまでの巨大さを上手く表現していたと思います。
また、その家によって、マナ・六花とも大幅に異なるポテンシャルを持ってしまった事に不安を持つ、ありすや、それを励ます、マナの描写も毎度ながら巧いと思いました。
夏に出る単行本では、マナ話・六花話・真琴話なども描いてほしいものだ、とも思いました。
例年の描きおろしは、12月末発売の「雑誌版最終回」の続きとして、1月放映分を漫画化する、という感じでした。そこで、1月に明かされる意外な事実などを描いていたわけです。
ところが、「スマイル」の1月は、バッドエンドプリキュアといった印象に残るキャラが出たものの、筋立てとしては淡々と最終戦闘を消化する、という感じでした。
それゆえ、「最終回描きおろし」をやる必要がなくなったのかも、などと思いました。
いずれにせよ、そのおかげで数年ぶりとなる「変身も戦闘ストーリーも一切ない、完全日常話」を読めることになりましたわけです。
アニメ放映時は大変残念でしたが、その結果、このような傑作を読めた、と思うと、当時の不満が少なからず解消されました。