ヲタ歴22年という無駄に長いキャリアを誇る(?)私ですが、「名作に出会った」と思った思うことは1年に1度あるかないかです。そして、その中でも「名作中の名作」と思った作品となると、さらに絞られます。その中に確実に入るのが、この「ふたりはプリキュア第8話・プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!?」です。
この話の最高潮は、話の終わりのところです。朝、草の生えた河原でたたずんでいるなぎさに、ほのかが、「これ・・・なぎさの・・・なぎさの手帳・・・でしょ」と声をかけます。この時の、ちょっと顔をそむけながら話すほのかの表情と「言葉の間」の表現から、「一歩踏み込みたいけれど、また拒絶されないだろうか・・・」という不安と勇気が痛いほど伝わってきます。それゆえに、それになぎさが応えて「行こう、ほのか」と言ったとき、TVの向こうにいる自分も、我が事のように嬉しく思いました。そして、見終わった後、即座に撮っていたビデオを回し、この名場面を再度堪能したものでした。
もちろん、ここが最大の見所なわけです。しかし、この話のすごい所は、そこに持って行くために、細部も含め、非常に丁寧に作られている事にあります。それらが全て生きているために、あれだけ心に残ったのでしょう。
まず、なんと言っても、和解のきっかけとなった戦闘場面でしょう。変身直前になぎさに「モタモタしなーい!」と言われたほのかが、初めてなぎさに対して本気で怒り、「モタモタなんかしてません!」と返し、さらに変身直後の決めセリフを放った後、「ちなみに私、モタモタなんかしていませんから」と再度言って、なぎさに口論を仕掛けるのです。そして、戦いながらも口論を続け、無視された事に怒ったゲキドラーゴを一喝してマーブルスクリューを発動して片付けます。2年間を通して見ても、極めて珍しく、かつ最も面白い戦闘でした。
次に感じたのは、描写における力の入れようでした。たとえば、朝、ほのかの「好意」でなぎさ・藤村と三人で登校します。その時、一瞬ですが、その三人を路地裏から写す、という描写があります。他にも、夕暮れ時に逆光で顔を照らすなど、凝った描写が多々あります。私は、映像技術の事は全然わかりませんので、これらの描写がどのような具体的な効果を意図しているのかは分かりません。ただ、それらを見ると、いかに作り手が力を入れて描いているのか、というのが伝わってきました。
それ以外にも、細部に渡って丁寧に作られています。たとえば、なぎさが理恵と会話をしている時ですが、画面前方で亮太が漫画を読み、その後ろで二人が洗い物をする、という構図になっています。その最後に読んでいる漫画が「ハマグリくん」という題名で、10時間後に放映される作品を思い切りパロっています。もちろん、こんなのどうでもいい事ですが、そんな所まで作り込まれているあたりに、作り手の熱意を感じさせられました。他にも、冒頭の悩むなぎさの脇でお菓子談義をしている志保と莉奈の会話など、視覚・聴覚で感じうる全てにおいて、力を入れて作られています。
語り出すときりがないのでこのへんにしておきます。結論だけ言えば、二人の「違い」と「お互いに対する気持ち」を深く描き、さらに最初から最後まで、細部を含め、愛情を込めて作られた作品ゆえに名作中の名作となった、となるのでしょう。今更ながら、このような素晴らしい作品を見れたという幸運をあらためて感じています。
当初は、これまでのプリキュア無印・MAX同様に、話の筋を一通り書きつつ感想を書こうとしていました。ところが、あらすじで心に残った場面を抜き出すだけでえらい分量となるので、やり方を変える事にしました。
とはいえ、せっかく書いたものをボツにするにもしのびなく、第8話あらすじとして別ページとしてアップしました。やけに長いものになってしまっていますが、もしよろしければご覧いただければ幸いです。