ヒーリングガーデンに帰ったヒーリングアニマルたちと風鈴アスミに会いに、花寺のどか・沢泉ちゆ・平光ひなたが出かけるという話でした。
時系列には、ネオキングビョーゲンを倒した半年後、という感じでしょうか。服装も、春から秋にかけて来ていた服になっていました。
すこやか市からヒーリングガーデンへ行く「通路」で、皆は落下するのですが、地表には無事に着くことができました。さりげない描写でありますが、かつてのシリーズでこういう時にプリキュアに痛い思いをさせていた事を思い出しました。それだけに「進化」を感じました。
そして、皆と再会します。それにあわせ、前回描かれなかった、風鈴アスミとラテが、花寺やすこ・たけしとの別れが回想で描かれていました。第6話の花寺やすことラテの話とつながっており、こういう所も本当に丁寧だと感心しました。
ラテはかなり会話ができるようになっており、プリキュアたちの名前も発音できます。
しかし、ヒーリングアニマルたちの名前は発音がちょっとおぼつかず、ラビリンに至っては「すあま」などと完全に間違って覚えていました。
それを聞いた、沢泉ちゆは、久々に笑いのツボをつかれてしまっていました。
続いて、テアティーヌと面会し、お土産を渡しますが、三人とも、すこやか饅頭だった、という結果になりました。
そこから、ヒーリングアニマルたちとの交流が始まります。鳥型のヒーリングアニマルとたわむれている沢泉ちゆを見て、ペギタンが文句を言う、という描写もありました。
続いて、かつてビョーゲンズに蝕まれた箇所に行きます。そこに現れたのは猿型のヒーリングアニマルであるサルローでした。
彼は、人間もビョーゲンズと同じ、地球を蝕む存在だと言います。人間が進化していく過程で、多くの動物を殺し、環境を破壊した事を、ネオキングビョーゲンに進化したビョーゲンズと同じだと言い放ちます。
実際、現実世界で地球環境を蝕んでいるのは人間なのですから、この指摘は当然と言えるでしょう。
「地球の環境を守る」がこのシリーズのテーマだったわけですが、最後にその根源的な問題まできちんと提起した、というのは凄いと思いました。
さらに、話の終わりのところでは、テアティーヌがサルローに一部反論しつつ、「人間を『浄化』する可能性」を否定しなかった、というところにも、このシリーズならではの、筋の通りっぷりを感じました。
続いて、最終回恒例となった、ちょっと緩い戦闘、並びに次期プリキュアのお披露目となります。
ここでは、プリキュア三人が持参した、すこやか饅頭にナノビョーゲンがついており、それがメガビョーゲン化した、という設定でした。
饅頭が6個セットなので、憑依されたエレメントさんは一人なのに、メガビョーゲンが6体登場します。
風鈴アスミが「大好きな、すこやか饅頭とは闘えない」ということで、満足に動けません。
それもあってピンチになったときに、ラテが新プリキュア・キュアサマーを召喚します。
キュアサマーは人質みたいな形になっていたヒーリングアニマルを倒したあと、打撃を受けて気を失うという、自身の見せ場を作りつつ、ヒーリングっどプリキュアチームの妨げにならない、という描き方になっていました。
そして、ラテが風鈴アスミの顔にしがみついて、すこやか饅頭を見ないようにした、という作戦(?)が功を奏し、無事、プリキュアヒーリングシャワーで勝利をおさめました。
そして三人が、すこやか市に帰る時が来ました。サルローに対しては、「私達にできる、地球のお手当を考えてみます」という現時点で語れる自分の最大限の言葉で、花寺のどかが回答していました。
そして、ハート型展望台の上で三人で語ります。花寺のどかが「これからもやる事がいっぱいだね」と言うと、平光ひなたが「地球のお手当、まだまだ続くもんね」と言い、沢泉ちゆは「生きている限り、闘いは終わらない、ってことね」と言います。
そして最後に花寺のどかが「うん、でもそういうのも全部まるごと、生きてくって感じ」と締め、皆で笑います。そして、カメラが引き、展望台の向こうにある海が映り、鳥のさえずりが流れながら、話は終わりました。
プリキュアの最終回を見るのは今回で17回目です。
その中で、自分にとってこの話は最高の最終回でした。
人間という存在の問題点を直球で描くことにより、「地球をお手当て」という主題をきっちり描ききっていました。
さらに感心したのは、この話の重要アイテムとして、すこやか饅頭を使った事でした。
これが出てくる第14話は、自分にとって非常に心に残った話でした。
すこやか饅頭を作る蒸し器が壊れると、周りの店が、自分達の蒸し器を提供して、力をあわせ、すこやか饅頭を作りました。
実際の世の中では、こうはなりません。周りの店の経営者たちは、すこやか饅頭の蒸し器が壊れた事を好機ととらえ、自分たちの商品を売って儲けようとします。
そうやって儲けを追求しながら、人類は進化・発展していきました。しかし、サルローが指摘したように、その結果として、必要以上に多くの動植物を殺し、地球を蝕んでいるわけです。
だからこそ、第14話で、あのような「目先の儲けを追わない生きかた」を提起し、この最終話でその象徴である、すこやか饅頭をメインに据えたのでしょう。
本当に素晴らしい構成だと感心させられました。
また、この話では、これまで描かれた、沢泉ちゆの特徴である、大人ばりの礼儀作法を身に着けている、笑い上戸、鋭い洞察力、などが全て描かれていました。
第43話では平光ひなたの良さを描き、第44話では花寺のどかの良さを描き、この第45話で沢泉ちゆの良さを描いたわけです。
この最終盤においても、プリキュアの為人をきっちり描ききった、というのはもちろんシリーズ史上初です。
これにも深い感銘を受けました。
そして、ラストの会話ですが、最後の台詞は花寺のどかの「生きていくって感じ」でした。
これまでずっと「生きてるって感じ」と言い続けてきたわけです。この言葉の原点は、ダルイゼンにより重病となり、そこから回復したときに感じた事にあります。
それ以来、花寺のどかの口癖となっていました。それが、ネオキングビョーゲンとの闘い、そしてサルローの提起した問題を受け、このように変わりました。
「生かされている」から、「自ら闘って生きていく」に進化したわけです。
この最後の台詞を前提に「生きてるって感じ」という言葉を口癖に設定したのでしょう。
最後の一言にまで深いメッセージ性を持っていたわけです。
繰り返しになりますが、自分が見た中で最高かつ非の打ち所がない「プリキュアの最終回」となりました。
最後の最後まで、本当に素晴らしいシリーズでした。
コロナ禍のせいで、プリキュア史上最も話数がすくないシリーズになってしまいました。さらに、緊急事態宣言などの制約により、当初の構想が大幅に狂ったこともあったように思われました。
それさえなければ、さらに凄いシリーズになっていたのだろうな、と惜しまれました。
テレビアニメは終わりましたが、3月には映画があります。
そこで描かれる最終変身形態は「ヒーリングアニマルとの合体」です。そこで何が描かれるのか、今から非常に楽しみです。
映画を見終わったら、このプリキュア史に残る名作となったこのシリーズについて、延々と感想や論考を書こうと思っています。