天宮家が全員登場した話でした。
明るいラテンのノリの両親と弟妹が揃う中、天宮えれなに一番年が近い弟、天宮とうまだけは、表情がすぐれない、という展開でした。
その、彼の葛藤が、羽衣ララとの出会いで、少しずつ変わっていった、というのを描いた話でした。
初登場となった天宮えれなの両親ですが、メキシコ出身の父・カルロスはいきなりギターを弾きながら車を降りてきます。そして、母の天宮かえでも、帰ってくるなり、皆に抱きつく、といった独特の雰囲気を見せました。
幼い弟妹たちは、同じノリで明るく振る舞っているのですが、天宮とうまだけは、不機嫌そうな顔をしていました。
実は、先日、友達と一緒にいたところ、カルロスと天宮かえでが手をつなぎながら歩いてきます。そして、息子を見るとダンスをはじめた、という事がありました。それを見た友達に「お前の両親、変わっているな」と言われてしまい、それ以来、両親に対して不信感を持つようになってしまった、という設定でした。
その不信感は、日に日に増幅していき、プリキュアたちを招いたホームパーティーでも、「パパとママなんか大嫌いだ!」と言って出ていってしまいました。
出ていった天宮とうまを、両親とプリキュア四人が探しに行きました。そこで最初に発見したのは、なんと羽衣ララでした。
普通なら家族が発見するとしたところですが、あえて自分のこれまでの行動パターンと違う場所に隠れた、という事なのでしょうか。
天宮とうまは、羽衣ララに、両親が人前でダンスをすることなどを、愚痴ります。
それに対し、羽衣ララは、自分は遠い国から来た外国人、という設定にしながら、サマーン星での触覚を使った挨拶や踊りについて話しました。
その、自分の両親よりさらに「変な」習慣の存在を知りました。
さらに、羽衣ララが、「星」であることをぼかしながらも、多様な異文化と接触した経験を語りました。それを聞いて、天宮とうまは、自分の両親の「普通でない・変わっている」に対する考え方を見直しました。
そこから戦闘になり、テンジョウが新たな力で、天宮とうまをノットレイダー化して攻撃してきます。その闘いの中で、「普通の家がいいんだ」という心の叫びを聞きます。すると、天宮えれなは、自分も実は小さい頃、同じことを思った事があったと明かし、でも今は家族が大好きだ、と語りました。
そして、勝利をしたあと、家に帰った天宮とうまは、両親に謝り、皆と一緒にパーティーを楽しんだ、という形で話が終わりました。
羽衣ララの前回の転入話を受けて、異文化について天宮とうまと語り合い、「普通でない」からといって、おかしいわけではない、という事を描いていたのは面白いと思いました。
あと、両親の回想を通じて、天宮えれなが、「お姉さん」になっていく過程を描いた、というのも興味深く楽しめました。
ただ、率直に言って、話の主題にはいろいろと引っかかるものがありました。
一つは、カルロスの描き方です。陽気で、いつも音楽を奏でたり踊ったりしている、というのは、中南米のイメージから来ているのでしょうが、ちょっとステレオタイプ化しているように感じました。
また、一連の天宮とうまの言動ですが、結局、これは彼のわがままという扱いで決着していました。最後は両親に謝ったうえ、先程まで否定していた家族パーティーを楽しむ、という形になっていました。
しかし、本当に彼は悪いことをしたのでしょうか。
あのくらいの年頃は、親といるところを友達に見られるだけで、気まずくなるものです。にも関わらず、わざわざダンスを見せつけるような自己主張されれば、天宮とうまが両親に不快感を持つのはある意味当然です。
物語では「それが普通かどうか」という価値基準になっていましたが、それ以前の問題なのでは、と思いました。問題の本質は「それを見て、天宮とうまがどう感じるか」だと思うのですが、少なくとも、両親にはその観点がまったくありませんでした。
いい年した大人なのに、自分たちの言動を省みる描写が全然ない、というのはどうだったのでしょうか。
また、パーティーで天宮とうまに両親が笑顔でいるように言いますが、嫌な気分になっているのに、笑顔を強いるのも、彼の心を傷つけるのでは、と気になりました。
これは、今回のカルロス・天宮かえで夫妻に限った事ではありません。星奈ひかるの祖父・春吉も、香具矢まどかの父・冬貴も、似たような感じで、孫や子がどう思っているかなど配慮せず、一方的に自分の理想を押し付ける言動が目立ちます。
このシリーズは、全体的にかなり面白いと思っているのですが、この親・祖父の描き方はかなり違和感があります。
以前のシリーズでは、娘たちに好きなことをやらせ、自分の型にはめようとしない、という両親・祖父母キャラが多かったと思うのですが…
また、今日は「こどもの日」ということもあり、新聞などには「こどもの権利条約」が掲載されていました。自分もさほど詳しくはないのですが、その条文を見る限りは、天宮とうまの権利が守られていなかった話だったのでは、と思ったりしました。
異文化や多様性というのが本シリーズの主題の一つだと思っています。
ただ、それを描く際には、丁寧に配慮する必要があります。それがちょっと今回の話には足りなかったのでは、と気になりました。
次回は、新キャラ登場です。OPに出てくる謎の女性なのでしょうか。
あのOPを見る限り、「五人目のプリキュア候補大本命」という感じです。それだけに、どのようなキャラなのか、非常に気になり、楽しみにしています。