七夕を題材にした話でした。
短冊で寄せられたリクエストを元にスイーツを作る、という設定から、宇佐美いちかと剣城あきらを軸に、色々な人間模様が描かれていました。
そして、最後のところで、「全てのリクエストにこたえる」という、宇佐美いちかの一見無理な決定の理由が明かされる、という筋立てにも感心させられた話でした。
冒頭、七夕のお祭りで、剣城あきらが太鼓をたたき、立神あおいがエレキギターを弾く、という描写から始まります。ちなみに、剣城あきらは腹掛に股引という、「いなせな兄ちゃん」な服装をでした。
この描写を見た時、一昨年から恒例になっている、アニメの「プリキュア音頭」はこんな感じで行われるのだろうか、などとも思いました。
そんなななか、短冊で書かれた「スイーツのリクエスト」からいくつか選んで新作を作る、という話が、宇佐美いちかの一言で、「全部のリクエストを受ける」に変わります。
当初、これを見た時は唐突に思えたのですが、あとでよく読み返すと、なぜ宇佐美いちかがそうしたのかが分かるようになっており、毎度ながら上手い作りだな、と感心させられました。
そして後半は、スイーツの材料を二人で買いに行く、宇佐美いちかと剣城あきら、という展開になります。
たまたま雨が降り出したため、「相合傘」での買い物となりました。
そこで、宇佐美いちかは、「全てのリクエストにこたえる」という突拍子もない「ひらめき」の理由に、自分の持つ「母親に会いたい」という願いがあった、という事を語ります。
それに対し、剣城あきらは、自分も家族の笑顔を願う気持ちが常にある事を語り、宇佐美いちかの思いに理解を示します。
そして、肩を抱き寄せます。すると、宇佐美いちかは、そこから伝わる暖かさを感じ、心から安心していました。
そして、七夕イベントは成功、さらに母親の帰国も実現、という、皆の願いが叶う形で、話は終わりました。
軸は、宇佐美いちかがと剣城あきらの「相合傘」でした。といってもその目的は「恋愛描写」ではなく、お互いの持つ「家族への想い」繫がりを描くためのものでした。
さらに、最初は「近すぎて息が止まりそう」だったのが、最後は「暖かさが伝わる」というように、宇佐美いちかの心境が変化していました。これは、初対面時の「勘違い」の決着も兼ねているのかも、と思いました。
一方、脇に回った三人についても、少ないながら、存在感を示す描写がきちんと用意されていました。
特に、冒頭で、当然のように剣城あきらの汗を拭いていた琴爪ゆかりと、宇佐美いちかの提案に一度は反対しながら、すぐに応援に回り、それについて突っ込まれると「自己主張するのがロックっすから」と答えた立神あおいの描き方が印象に残りました。
このシリーズは、五人のキャラクターの個性が際立っているのに加え、その中の二人を組ませる事により、さらなるキャラの魅力を引き出しているのが本当に凄いと思っています。
作品のコンセプトである「まぜまぜ」を最大限に活かしているのでしょう。
来月以降、そして8月発売の単行本が今から大変楽しみです。