「東京ミュウミュウにゅー」第21話

 藍沢みんとの、兄・誓司とのやりとりと、青山雅也=蒼の騎士の自我崩壊によってディープブルーが復活、という二つの逸話が描かれた話でした。
 この二つが対照的に描かれていました。
 「にゅー」の最大の特徴として、藍沢みんとの設定が大幅に変わった、という事があります。
 大好きなキャラなので嬉しかったのですが、同時に、その理由はなんだろうか、と考えていました。
 その答えが描かれた話になっていました。

 藍沢家では、誓司が、テレワークで「エイリアン」に奪われた大気浄化システムの操縦を試みていました。
 そこに、藍沢みんとが現れて自分の見解を述べますが、誓司は聞き流しながら作業を続けています。
 いくらビジネスモデル企画で入賞して留学話が出ても、彼にとって藍沢みんとは、「自分に遠くおよばない、かわいいだけの妹」以上の存在ではない、という事が伝わってきます。
 そこで、ついに藍沢みんとは、兄の目の前でミュウミントに変身します。
 そして、探知機を受け取って空を飛び、リボーンミントエコーの連発で、大気浄化システムシステムを取り戻しました。

 その描写のあと、回想で、先程のやりとりの続きが描かれます。
 変身した藍沢みんとがが「お兄様が私を守りたいように、私も大切な人達を守りたいのです」
 とほほえみます。
 それを見た誓司は、いつものように、頭をなでようと手を出しますが、途中で気づき、手を止めます。
 そして、「僕の知らないところで、みんとは大人になっていたんだね」と言いました。
 「にゅー」において、漫画に存在せず、1期アニメにも1回出ただけの藍沢誓司が、出番を大幅に増やし、主要脇役てきな位置づけになりました。
 なぜそうしたのか、と疑問に思っていたのですが、この逸話を見て、納得しました。
 兄妹と恋人の違いはあっても、誓司の藍沢みんとに対する扱いと、青山雅也の桃宮いちごに対する扱いはそっくりです。
 大切には思っていますが、その前提として、「自分が守ってあげる弱い存在」というものがありました。
 その位置関係から脱するために、藍沢みんとは、独自の経営企画をコンクールに出したり、風力発電システムを作ろうとしたりしたわけです。
 決め手となったのは、ミュウミントに変身した事ですが、もちろん、それだけで、誓司が考えを変える事はなかったでしょう。
 そして、その考えの変化を象徴したのが、頭をなでようと手を出し、それを途中で止めた、という動作です。
 この「頭をなでる」という行為は、兄としての愛情表現であると同時に、「自分のほうが上」という事を誇示する動作でもありました。
 もう、そのような関係でない、と悟ったゆえに、手を止めたわけです。
 これが、この話の後半とつながってきます。
 一連の藍沢みんとの独自設定が彼女の良さを引き出すためだけでなく、桃宮いちごと青山雅也の関係にまで意識していた、という構想の深さに、心底感心させられました。

 続いて、ミュウアクア争奪戦があり、藤原ざくろさんのリボーンアクアドロップスで勝利します。
 ここでも、藍沢みんとは、一人でサポートし、最後は、藤原ざくろさんを「お姫様だっこ」していました。
 このあたり、藤藍ファンとしては、大変うれしい「オリジナルエピソード」でした。

 続く闘いで、キッシュは「青山雅也の自我を崩壊させ、ディープブルーを復活させる」という作戦に出ます。
 この闘いにおいても、青山雅也(外見は蒼の騎士)は、「いちごは闘うな」という態度に徹します。
 そして、キッシュの作戦にはまり、「自分をかばうために飛び込んだ桃宮いちごが、キッシュとパイの打撃を受ける」という状態になりました。
 それを見て愕然とする青山雅也に対し、キッシュは「守れなかったじゃん。あんたの存在意義ってなんなの?」と言い放ちます。
 そこから青山雅也の回想が始まります。
 物心ついたときから孤児で、義父母に引き取られたこと、そこでうまくやるために、「いい子」になったこと、その一方で、地球環境を汚した人間を冷めた目で見ていた、などという事が明かされます。
 そんななか、桃宮いちごだけは違い、「本当の自分」を出すことができた、と回想していました。
 その回想のなかに「いちごは僕のネコなんだからね」と言って首に鈴をつける描写が入っていたのが、象徴的だと思いました。
 そして、傷つきながらも「まだ大丈夫、一緒に闘おう」と気丈にふるまう桃宮いちごに対しても、「うん」でも「ありがとう」でなく「いちごは闘うな」なわけです。
 いくら頑張っても、そしてミュウミュウである事を知ったあとも、桃宮いちごを「自分が守る」としか思えないわけです。
 その結果、キッシュの読み通り、青山雅也は自分の存在意義を疑って自我が崩壊し、ディープブルーが復活しました。
 これが、自分の考えを改めて藍沢誓司と対照的になっています。
 漫画でも1期アニメでも、青山雅也=蒼の騎士がディープブルーになることに、具体的な理由は描かれていませんでした。
 それを、「青山雅也が桃宮いちごをどう扱っていたか」にからめて、具体的な理由を挙げて描いた、という事に心底感心させられました。
 自分的には「神回」と思った名作でした。
 さて、話のほうは、復活にあわせ、「エイリアン」たちは初めて、自分たちが地球の先住民族である事を公式発表し、次回への引きとなりました。