「トロピカルージュ」第39話

 涼村さんご話でした。このシリーズの特徴として、他の四人に比べると、彼女の個性が今ひとつわからなかった、という事がありました。
 それが、今回でこれまで自分でも気づいていなかった、彼女ならではの人となりが存分に描かれていました。
 これまでのキャラ描写が今回の話につながっていたのでしょうか。このシリーズの奥深さに感心させられた話になりました。

 以前、あおぞら中でのドラマ撮影の時に関わった山辺ゆなをTVで見たのがきっかけで、涼村さんごはモデルオーディションに挑戦します。
 そして、母親の、みゆきとの会話がきっかけで、自分の「好きなこと」考えるようになりました。
 そしていざ、オーディションが始まるのですが、自分のメイクを完璧に仕上げた涼村さんごは、隣の人がうまくいかないのを見ると、自らメイクを手伝います。
 さらに、他の参加者からの依頼にも応じました。
 結局、オーディションは最終審査まで通ったのですが、そこで自ら辞退します。
 それは、自分の「一番やりたいこと」が、「かわいい」を伝えたり、他人をもっとかわいくしたい、だという事に気づいた結果だった、という話でした。

 これまでの話で、涼村さんごについては、存在感のなさを感じた事が少なからずありました。
 シリーズ主題の一つが「メイク」なので、その担当みたいな位置づけなのだろうか、と思っていたりもしました。
 特に、山辺ゆなの撮影話や、ファッションショー出演話など、彼女メインの話でも脇に回った感があり、余計にそう思っていました。
 また、戦闘においても、ほぼ毎回、「×バリア」は発動するものの、ほとんどそれがピンでの出番、という扱いだとも思っていました。
 しかし、実はそれこそが、涼村さんごの強い個性だった、という事がこの話で結実されていました。
 また、その「×バリア」がいかに戦闘で皆を助けているか、という事が、涼村さんごがオーディションに合格して、仕事で不在時に戦闘になったらどうなるか、という文脈で語られた、というのも上手いと思いました。
 そして、戦闘においても、その期待に応え、「×バリア」を複数出す、という自分の得意技を進化させた、という描写にも感心させられました。
 脇に回る事を徹底させる事によって、そのキャラクターを立たせたわけです。
 このような形で、シリーズを通して「キャラの強い個性」を描いた制作陣には感銘を受けました。
 改めて、本当にすごいシリーズだと思った次第です。
 次回は、一ノ瀬みのりメインの話です。こちらも、今回同様、どんな彼女を描くのか、大変楽しみにしています。