ヒーリングアニマルを「主役」にした話でした。
このシリーズの特徴に、プリキュアとヒーリングアニマルの関係性を重視する、というのがありましたが、その良さを存分に描いていました。
同時に、秋の終わりと合わせて、シリーズの終わりを予感させる寂しさが伝わってきた話でもありました。
冒頭、風鈴アスミが「すこやか饅頭」に「就職」するところから始まりました。
ここ数年、シエルやユニのように、追加プリキュアが学校に通わない事例が増えています。
その流れを汲んだのかも、と思いした。
ただし、シエルはパティスリーのオーナーパティシエで、ユニはアイドル兼怪盗といった派手な「職業」でした。
それに対し、風鈴アスミは、「饅頭屋の店員」です。
花寺のどかにも「働く人って感じ」と言われていました。そう考えると、彼女はシリーズ史上初の「普通の社会人プリキュア」だと思ったりもしました。
主題である「ヒーリングアニマル秋の行楽」ですが、まずは「スポーツの秋」ということで、四人でキックベースをします。しかし、「ポイ捨て」のゴミで試合が邪魔されてしまい、「遊び」から「ポイ捨て防止」に活動を切り替えます。
その際、「すこやか市」は、環境保全に多くの市職員を投入しており、「公助」で「地球をお手当て」している事が描かれていました。
14話もそうでしたが、このシリーズは、さりげない形で、「地球のお手当て」に必要な経済や政治のあり方が描かれています。このあたりにも、シリーズ構成の奥深さを感じさせられました。
続いて、「味覚の秋」で、栗拾いやブドウ狩りを楽しみます。こちらも、ただ単に自然の恵みを味わうのではなく、農家の方々が手入れと気遣いによって、人間も野生動物も「秋の味覚」を楽しめる、という描き方になっていました。
この描写にも、このシリーズの主題が一貫していることがよく伝わってきました。
一方、今回、脇に回る形となったプリキュア三人ですが、「芸術の秋」という事で、美術の時間でお互いを写生していました。
花寺のどかは、平光ひなたを見たままという感じで描いていました。
その、平光ひなたは沢泉ちゆをかなりコミカルな絵柄で描き、上に「すこやか饅頭」を追加していました。その事を本人に指摘されていました。
それに対し、「あとはイルミネーションが大事しょー」と久々のボケをかまし、沢泉ちゆに「イマジネーションでしょ」と突っ込まれていました。このやりとりが見れたのも嬉しいことでした。
そして、沢泉ちゆは、真剣に観察しながら、花寺のどかを陰影までつけて精緻に描いていました。
この三者三様の描き方も大変楽しめました。あと、絵はそれぞれの声優さんが描いたのだろうか、と思ったりもしました。
なお、筆者の記憶にある限り、アニメでプリキュア達がお互いを写生したのは初めてだと思われます。
それもあって、上北ふたごさん「満と薫 はじめての…v」(プリキュアコレクション「スプラッシュ☆スター」2巻収録」という写生会を描いた漫画を思い出したりもしました。
また、今回はかつての闘いで傷ついていたヒーリングアニマル達も登場していました。
セリフがあったのはレイオンとトラインなのですが、トラインが眼帯をしているため、ライオン丸とタイガージョーに見えてしまいました。
今回のゲストキャラの「農家のおじさん」のいでたちも「カールおじさん」そっくりでした。第1話に出てきたメガビョーゲンがハカイダーに似ていました。ところどころに1970年代テイストを出すのも、このシリーズの特徴の一つだと改めて思ったりしました。
ビョーゲンズのほうは「読書の秋」でした。そのオチは、グアイワルが「学術書」と称して、ボディビルのポージング集らしきものを読んでいた、というものでした。このシンドイーネとのショートコントも楽しめました。
それを呆れて見ていたグアイワルが出撃します。そして、プリキュア達との別れの予感を寂しく感じていたヒーリングアニマルたちに「お手当てをやめれば別れずにすむじゃん」と言い放ちます。
この場面では、会話の背景で、紅葉が落葉しており、その描き方も秀逸でした。
そして、戦闘でも、ヒーリングアニマルの力による「ぷにシールド」に力を入れており、主題の一貫性を感じられました。
勝利したあとは、果樹園でもらったブドウをたっぷり使っての「食欲の秋」で話を締めていました。
このシリーズの良さが全て出ていた、と言ってもいい、素晴らしい話でした。
ヒーリングアニマルを「主役」とし、その筋を通しつつ、プリキュア達も印象的に描いていました。
さらに、「地球をお手当て」するのは、プリキュアとヒーリングアニマルだけではできず、「公助」も含めた皆の力が必要、というシリーズの主題もきちんと描いていた事に感心させられました。
この名作がコロナ禍のため、秋に放映されなかったことが本当に惜しまれます。
次回は、沢泉ちゆの将来選択話です。旅館「沢泉」を継ぐことと、走り高跳びのどちらを選ぶのか、という題材です。
これまで、彼女はその二つのいずれも全力で頑張ってきました。そこからどのような結論が導き出されるのか、楽しみにしています。