上北ふたごさんが「なかよし」に連載していた漫画版「プリキュア」シリーズを完全収録した単行本シリーズ「プリキュアコレクション」の「スプラッシュスター」1・2巻が発売されました。
最初の4話で、咲と舞の出会いから親友になるまでを描き、第6話から満と薫が登場し、第9話で一時退場となります。
そして、ミズ=シタターレで2話、キントレスキーで2話描き、第13話はキントレスキー退場と同時に満と薫が復活、そして第14話が最終回、という構成でした。
また、1巻には、今回の刊行に合わせて描き降ろされた話が、2巻には、8年4ヶ月前に発売された元祖・第1巻で描きおろされた「満と薫…はじめての♥」も収録されていました。
漫画版では、咲と舞の関係について、かなりじっくり描いています。
特に第3話では、学校での二人のすれ違いを描き、それをカレハーンとの戦闘時に解決する、という描き方をしています。
咲が、自分と舞の誕生日・血液型で「相性占い」をしたり、舞がスケッチで咲の事ばかり描くようになった、など二人の心情が非常に上手く描かれています。
さらに、戦闘中に、互いの呼び名が「ブルーム」「イーグレット」から、「咲」「舞」に戻るあたりの描写は本当に絶妙でした。
そうやって、少しずつ二人の距離を縮めたあとに、満と薫が登場します。初登場時は、アニメ同様、冷たい描き方をしていました。
続く第7話では、アニメにもあった、「満と薫が、咲と舞が大切にしているものを隠す」という話を描きます。ただ、そこで隠されるのは、第4話で二人が一緒に買ったビーズアクセなのです。
そのアクセサリー購入の話も印象深いため、より「大切なもの」の重みが増しています。
そして、第8話では、ひまわりを咲・舞と育てることにより、少しずつ二人の事を理解するようになります。
また、この話では、「全ての命は結局いつかは滅びる。ならば、今、全てを滅ぼしてもかまわない」というダークフォールの基本理念を元にした考え方を、満と薫が語ります。
それを、咲と舞が、言い争いにならないような柔らかさで否定します。それを聞いた満と薫は、ひまわり栽培を手伝い始めます。このあたりの心の動きも上手く描かれていると思いました。
その次が一時退場話なのですが、ここでは襲撃する満と薫に対し、咲と舞が変身をせずに攻撃を受ける、という漫画独特の描写が印象に残りました。
後半は、やや駆け足という感じで進みます。ただ、そんななか、ミズ=シタターレの変装話では、彼女の面白さを描いていました。
なお、今回描かれたフリートークで、上北さんは、ミズ=シタターレの声優である松井さんが、今年の「ハピネスチャージ」で妖精リボンを演じた事を「正義側に転身」と書き、次はぜひプリキュアを、と要望していました。
あとは、アニメと同じ流れで最終回まで進みます。かなり圧縮されていましたが、アニメの重要な台詞はきっちり描いていました。特に、満と薫が、咲と舞に要望して「絶対にあきらめない」を言った場面が入っているのが印象に残っています。
そして、2巻の最後には、あの「満と薫…はじめての♥」が収録されています。読んだ時、あまりの良さに、単行本をもう一冊買いたくなったほどでした。
咲・舞・満・薫・みのりの五人の良さが本当に巧く描かれています。毎度の事ですが、この話のアニメ版も見たい、と思いました。
なお、「プリキュアコレクション」シリーズでは、描きおろしカラーイラストが各巻に収録されています。
1巻では夕凪中の制服を着た四人が描かれていました。そして、2巻では、この「満と薫…はじめての♥」の服装で、咲・舞・満・薫・みのりが描かれています。これを見た時も、本当に嬉しく思いました。
なお、各巻には上北さんのフリートークが2ページずつ入っています。1巻では咲と舞のイラストと、連載時の逸話が描かれていました。
一枚目は、二人のカットが三枚づつあるのですが、咲は「舞ってば」と、舞は「咲ったら」と全ての同じ台詞になっています。
8年4ヶ月前に出た単行本でも、同じような構図があり、こちらでは咲には台詞がないのですが、舞にはやはり「咲ったら」とどの絵でも言っています。
それだけ、この「咲ったら」という台詞は、上北さんにとって印象深かったのでしょう。
また、もう一枚のイラストは、二人が背中合わせに手をつないでいます。これを見た時は、映画版での名場面を思い出しました。
2巻の一枚目では、先述したようにミズ=シタターレを含めたダークフォールの人々が描かれています。
そして、最後の一枚は「あとがき」として描かれています。
そこで、上北さんは「2巻」が未刊だったことの残念さを語っていました。そして、今回の刊行に際し「これで漫画版の満と薫も報われたと感謝しています」と言っていました。
これを読んだ時、もしかして、上北さんが、その後のモブや「プリキュア全員集合」の際に、満と薫を描き続けたのは、そのような想いによるものもあったのだろうか、と思いました。
そして、最後に、満と薫の誕生日を、咲・舞・みのりで祝う、というイラストがありました。
第8話では、咲の誕生日が描かれていたのですが、そこで、満と薫の誕生日についての話題がありました。
誕生日を知らないという二人に対し、「ふたりの誕生パーティーも絶対にやろうね」と咲と舞が言います。
その約束を、8年半後の2015年についに叶えた、という事なのでしょう。この名作漫画「ふたりはプリキュアSplash☆Star」の最後を飾るにふさわしい、素晴らしい絵だと思いました。