なかよし2014年10月号

 「ハピネスチャージプリキュア」は、直前に放映されたアニメ30話と同じ内容でした。
 冒頭で、ミラージュがプリキュアだった事、自分と愛し合っていた事まで、ブルーの口から明言されます。
 そこでの、巫女ミラージュの笑顔がとても可愛く描かれていました。それだけにその後に彼女を襲った運命の事を思って、辛い気分になりました。
 そして、ブルーがミラージュを振った理由が「神が一人だけを特別に愛するわけにはいかない」だった、という事も本人の口から明かされました。

 ならば、最初から「愛し合う」などという事をするだけで「神」の資格はないのでは、と思いました。
 ついでに言うと、この言い回しだと、「二人目の『特別に愛する女性』ができた」という可能性も十分にあるよな、とも思いました。
 そして、ブルーは「過去がどうであれ、この世界に災いをもたらすものークイーンミラージュを倒さねばならない」などとしれっと言います。
 要は自分から手を出しておいて、立場上まずくなって振ったら、「悪の女王」になった。だから倒さねばならない、というわけです。
 しかも、そのあとに、さりげなく、「ミラージュの事は、ずっとさけて逃げてきた」などとも言っていました。
 ブルーの「女の敵」ぶりについては、毎回指摘していますが、改めて、とんでもない「腐れ外道」だな、と思いました。

 一方、愛乃めぐみは、そのブルーの発言に真っ向から反対します。
 そして、ミラージュの本当の気持ちを聞いて、仲直りしよう、と言いました。
 それに対し、相楽誠司は「これでいいんだな?」と訪ねます。
 すると、愛乃めぐみは「は?なんで!?あたしはみんなで幸せになりたい」といいます。ただ、その表情は、「微妙な笑顔」という感じでした。
 すると、相楽誠司は「おまえってそーゆー奴だからな…。でも無理すんなよ、ほんとうの気持ち、おまえも大切にしろ」と言って去りました。
 残った愛乃めぐみは、「誠司ったら、”そーゆーヤツ”とか、”ほんとうの気持ち”っとか…。あたしだって自分のコトわけわかんなくてモヤモヤしてるんだから…」と現在の自分の複雑な心境について、心のなかで吐露していました。

 そこにファントムが襲撃してきます。愛乃めぐみは、「落ち着いて、話をしよう。みんなが幸せになるために…」といいますが、もちろん聞き入れられず、闘いとなりました。
 そして、「アンラブリー」に変身します。「見返りを求めているだけ」というのはアニメとほぼ同じでした。
 しかし、そこからさらに「じゃあ、ブルーを応援したいのに胸がチクチクして寂しくなるのはなぜ?」と彼女の影から得た心境をついて精神攻撃をしてきました。
 続けて、パンチを繰り出しながら「ビッグな愛を世界に広げるはずのキュアラブリーは、あらやだ!実は誰より愛を欲しがる哀れな子でした!」と言い、「みんなの幸せどころか、誰一人の幸せも守れないよねー!」と高笑いします。
 愛乃めぐみの「みんなが幸せになる」という気持ちを、彼女が誰にも言わず胸にしまっている「ブルーとミラージュの仲直りを望む一方で、それを不安に思う自分」という心理を使って攻撃したわけです。
 影から心の中を読み取って攻撃する、という設定を非常に上手く活かしていると思いました。
 そして、愛乃めぐみは落ち込みます。心のなかで自分の弱さについて嘆くのですが、その中にある「あたしったら、ほんとバカ…」という一言を読んだときは、「ブルーにふられて、第二のクイーンミラージュになる愛乃めぐみ」などという場面が頭に浮かんだりもしました。

 そこに三人が駆けつけます。落ち込んだ愛乃めぐみは、「もう…力が…でないの…。あたしって…あ…愛がほしくてガンバっただけみたい…」とうつろな表情で言いました。
 しかし即座に大森ゆうこは「めぐみちゃん!人間って食べものがないとおなかすくし、愛がないと心が弱るのよ」と、彼女ならではの言い回しで、元気づけます。
 続いて白雪ひめが「それとー誰だって愛ほしいよ。つまり、めぐみはぜんぜんふつう」と言いました。
 ともに、極めてまっとうな「アンラブリーへの反論」になっていると思いました。
 同時に、「アンラブリー」の批判内容をそらして、愛乃めぐみを元気づけたアニメとは対照的だとも思いました。

 そして復活した愛乃めぐみに、ファントムは「仲間の愛で影を取り戻したか」と言います。
 それに対し、愛乃めぐみは、「ねぇ、今ならわかるよ。ミラージュだって、あなただって、本当は誰かの笑顔をみたいんだって!やっぱり、あたしも、みんなの笑顔をあきらめたくない!」と返しました。
 その後ろに、「笑顔のみんな」が出てくるのですが、一番大きく描かれているのが、巫女ミラージュとブルーのカップル、というのが印象に残りました。
 もちろん、ファントムは聞き入れず、技を繰りだそうとします。それに対し、愛乃めぐみが「素直な心みせあっって、この争いを終わりにしようよ!」と言ったところで話は終わりました。

 影を奪って心を知り、それを使って攻撃する「アンラブリー」と、「自分の愛」を否定されて落ち込んだものの、仲間の言葉に励まされ、それまでよりさらに、和解への決意を強める愛乃めぐみ、という描き方が秀逸でした。
 どういう目的で精神攻撃をし、それに対しどのように立ち直ったか、が非常に分かりやすく描かれていました。
 さらに、それによって愛乃めぐみが、ファントムの心境の理解を深めた、という所まで描かれています。
 今回の「ファントムがアンラブリーに変身して愛乃めぐみに精神攻撃を加える」という設定を、完璧に消化していると感心させられた話でした。

 ハタノヒヨコさんの新連載「Stellaーハナと魔法の英単語ー」は、フィンランド発のモバゲーキャラを使って、英語学習漫画をやる、というタイアップものでした。
 とはいえ、描くのはハタノヒヨコさんですから、ところどころに、独特のギャグセンスが散りばめられています。
 フィンランドのキャラが日本で描かれる事はあまりありません。というわけで、ぜひとも第二の「ムーミン」としてブレイクしてほしいものだと思いました。

 ゆみみさんの読み切り「スローライフ」は、地方に引っ越して来た男女の双子と、地元のクラスメイトたちを描いた作品です。
 なんでも、3年前の増刊に載った四コマの続編とのことです。しかも、描かれたのはそのちょっと後で、お蔵入りになっていたものがなぜかいきなり掲載された、とのことでした。
 何かの代原だったのでしょうか。
 いずれにせよ、キャラも話も楽しく読めたので、近いうちにまた続きを読みたいものだと思いました。

 読みきりの演劇漫画「わたしたちのステージ」は、主人公の水野真心(まこ)の「オンとオフ」が面白く描けていると思いました。
 あと、ずっと真心に冷たくあたっていた日高マリアが、最後に優しくなるのですが、そのきっかけが微笑ましいと思いました。
 ところで、真心は「ひまわり」をもじったと思われる「劇団こまわり」に属しています。この名前が何度か出てきたのですが、そのたびに「がきデカ」の主人公が頭のなかに浮かんでしまい、ちょっと困りました。

 「恋と軍艦」は、久しぶりに町政編に戻りました。町長に想いを寄せる「山下くん」が気に入られようと頑張りすぎて暴走してしまいます。
 しかし、それを入市にあっさり見破られ、証拠写真も撮られてしまいます。
 そして入市がそれを町長に直に見せ、山下くんは左遷され、逆恨みする、というオチでした。
 最近の政治に携わる人々の言動からすると、山下くんのやった事は、さほど非現実的ではないと思いました。それだけに、作者の描写力に感心するとともに、現実世界を思い出してちょっとげんなりしました。
 それはともかく、なかよしで「ホモの三角関係」を描くのですから、凄いものだと感心させられました。