なかよし2013年6月号

 「ドキドキ!プリキュア」は、アニメ10話をベースとした六花話でした。
 アニメ10話も非常に良く作られた話でした。それを漫画化するにあたり、上北さんが「本気」を余すところ無く出していました。そのため、驚異的とも言える話になっていました。

 冒頭、真琴の転校に始まる、様々な展開に戸惑う、六花の描写から始まります。
 続いて、アイちゃんにミルクをあげる、「パパのマコピーとママのマナ」から始まります。それを遠くから見ている六花は白目になって「ありえない・・・」とつぶやきます。
 そして、戦闘後、真琴に「歓迎会やろう♪四人で!」というマナに対し、「さ 賛成!ウエルカムなおもてなしパーティ♪」と笑顔で同意します。そして、心の中では「でも…わたしはキュアダイヤモンド!これしきのコトで傷ついたりしませんから!…」と自分を元気づけていました。

 続いて、図書館に行き、「嫉妬」について文献を調べます。自分の心の中に湧いた感情が「嫉妬」である事を理解しつつ、それを客観的に分析するわけです。
 そして、嫉妬に「エンヴィー型」と「ジェラシー型」がある事を知り、自分の中の感情がその両方であることを知ります。
 それを認識しながらも、真琴がトランプ王国最後の戦士かつ、現在の国民的アイドルである事および、マナの博愛主義は生きがいだから仕方ない、つまり、嫉妬は無駄である、と自分に言い聞かせます。
 その結果として、「わたしのすべきコトはひとつ! これまでだってずっと マナといっしょだった… マナと感じたドキドキ!マナと感じた達成感!! わたし、これまで以上にマナをサポートする!!」と自分に言い聞かせます。
 そして、人間社会に慣れない真琴を助けたり、真琴をマスコミから逃したり、歓迎会の準備を手伝い、マナに「さっすが六花!たよりになるぅ~v」と喜ばれます。
 それを聞いて、笑顔で「これでよし!・・・と」と納得しました。

 ところがその晩、六花の夢にマナが出てきます。そして、「六花…六花…胸が苦しいの?」と尋ねます。
 六花は「…なんで?そんなコトぜんぜん…」と否定します。しかし、六花はマナを抱きしめ、「わかった!あたしがなんとかする」と言います。
 そして、六花が戸惑う中、キュアハートに変身し、「マナをなくした悲しい六花! このキュアハートがあなたのドキドキとりもどしてみせる!!」という決め台詞とともに、六花にマイスイートハートを放ちます。
 それを受けた六花は、両目をハートにして「う~んきもちイイ~v」と技を食らって(?)いました。
 そこで、六花は目を覚まします。隣にいたラケルは「幸せそうだった!きょうの歓迎会の夢みたケル?」と尋ねます。
 六花はごまかしながらも、「…なにアレ…なんであんな夢…」と自分の心理を不思議がっていました。

 そして、真琴の歓迎会が始まります。席順は六花・マナ・真琴・ありすの順で、六花は心底嬉しそうな顔で「ひさしぶりだよ…マナの隣…」と心の中で言います。
 ところが、「カンパーイ♪」の声が出ると、マナは六花でなく、まず真琴と乾杯しました。グラスが空振りする形になった六花は心のなかで「あれ…」と言います。
 これまで、同様の事があった場合、常にマナはまず六花と「乾杯」していたのでしょう。
 そして、マナの両親特製のケーキが運ばれます。六花は率直に「どう見てもウエディングケーキとしか…」と突っ込んだあと、「と…とにかく切り分けましょ」と冷静に言います。
 するとマナが「まって!切るってゆーと…そりゃあ キュアソードのキメ技!でしょ!やっぱ!」と言い出します。
 そして、「まこぴーいくよっ せぇーのv」と言って、真琴の手を持ちました。それを見て六花は心のなかで「なぜ二人で持つ!? ケーキ入刀でしょ、それじゃっっ」と叫びます。
 さらに切り終わったケーキをお互い食べさせあっているマナと真琴を見て、クラクラしながら「ファーストバイト!?」と呆れます。
 その後も仲良くパーティを楽しんでいる二人を見て、「近くにいるハズなのに…マナがすごく遠くにいるみたい…」と辛そうな顔でジュースを飲みました。
 そして、昨晩見た夢の中でマナが言った「わかった!あたしがなんかする」という台詞を思い出し、「はやく…はやくなんとかしてよ…マナ…」と、彼女らしからぬ、非理性的な感情で「夢の中のマナ」に助けを求めました。

 しかしもちろん、マナは気づかず、続くイベント「キャンドルアート」を始めます。
 そして、固まってしまった六花に対し「どうしたの?みんなで灯をともそうよ しないの? じゃ、六花は最後がいい?」と尋ねます。
 すると、六花の鼓動が高まります。そして、「わすれちゃったの?…マナ…」と言いました。
 驚くマナに対し、「…ずっと…そばにいてくれたら最高だよ… って…」と言います。そして、涙を浮かべ、 …六花、六花って… いつも まっ先によんでくれてたのにっっ」と言い、一瞬、マナの顔を見返した後、走って部屋を出て行きました。

 マナがパニクり、真琴が固まるなか、ありすは即座に追いかけます。
 そして、既に普段に戻り、自分の行動を反省する六花に対し、「六花ちゃんはずっと強い子だと思っていました」と言います。
 すると、六花は「ダイヤモンドだって傷つくよ・・・」と返すと、ありすは「ダイヤ以外にダイヤを傷つける事はできませんわ・・・」と言います。
 それを聞いた六花は、「わたしを傷つけていた事はわたし・・・てコト!?・・・ホントだ・・・」と、今までの事を振り返りました。
 そして、「もうダイヤモンドを傷つけない! キラキラ輝かせたい 自分自身で!!」と自らに言い聞かせました。

 翌朝、マナは六花の家に迎えに行きますが、声をかけられず、そわそわしています。
 それに対し、六花は元気に「おっはよーっ マナ!」と声をかけ、それを聞いたマナは驚いた表情で「お・・・おはよう六花!!」と返します。
 続いてマナが「六花!あのね…」と言いかけると、六花は「わたしね、自分のためにガンバるコトにしたの!」と宣言します。
 それを聞いたマナは「へぇーイイねっ!!すごくイイよそれ!」と大声で賛同した後、小声で「…で、あたしのコトは…」と付け加えます。
 すると六花は「う~ん、どうしようかな~」とわざと言います。しかし、マナが心配そうな顔をすると、それを見越していたかのように「うそ、うそ!もちろんつづけるよサポート!」と続けました。
 そして、マナが「六花ーっっv」と満面の笑顔で喜ぶのを背中で聞きながら、クスっと笑ったような表情で「今回の一件で一番の発見はね、やっぱりマナが大好きv ってコトなんだよ」と心の中で宣言し、話は終わりました。

 間違いなく、この話は「プリキュア」史に残る名作と言えるでしょう。
 特に今回の話は、戦闘が一切ない話であるにも関わらず、「プリキュア」の設定まで最大限に活かしているところが凄すぎると思いました。
 単にトランプにあわせてつけただけの「ダイヤモンド」というネーミングを最大限に活かして、六花の心の硬さと弱さを描きます。
 さらに、ホーリーソードの設定を使って、マナと真琴の「ファーストバイト」を演出し、六花の心を揺さぶります。
 そして、何よりも衝撃を受けたのは、六花の夢の中に出てきた決め台詞「マナをなくした悲しい六花!このキュアハートがあなたのドキドキ取り戻してみせる」でした。
 固有名詞をちょっと変えるだけで、この台詞がここまで心に突き刺さるものになるとは、思いもしませんでした。
 同時に、普段、六花はマナのこの決め台詞を聞くたびに、これに通じる事を思っていたのだろうか、などとも思いました。
 これまで、「S☆S」単行本の描きおろしや、最初の二年間のインパクトが非常に強かった事もあり、漫画版「プリキュア」には基本的に変身は不要、と思っていました。
 しかしながら、今回の話でその観念が打ち砕かれました。それほどまでに、主題である「六花の想い・嫉妬」と、これらの「プリキュア設定」が絶妙に組み合わされていました。

 また、六花の心理・行動・表情の描き方がいずれも絶妙すぎました。
 冒頭、マナが真琴のほうばかり向いているのが気になった六花がまず行ったのは、図書館に行って「嫉妬」について調べる、という事でした。
 自分の中に生じたこれまでにない感情を冷静に分析、さらに客観視して研究するという、六花の頭の良さを、短いながら非常に上手く描いています。
 そこで自分を納得させた所を始め、今回の話には随所に六花の笑顔が描かれます。
 その時の六花の心境によって、その笑顔は変わります。ある時は、無理やり自分を納得させる笑顔であり、ある時は、久々に得ることができたささやかな幸福を喜ぶ笑顔です。そして最後は、一連の事を受け入れながら、「マナが大好きv」と心の中で宣言する、幸せな笑顔でした。
 それらの描き分けが本当に絶妙でした。
 そして、理性で自分を納得させた六花が、夢の中で自分の本当の願望を見る、という描写、さらにそこで「マナをなくした悲しい六花」を「キュアハート」が助ける、というのも秀逸でした。
 さらに、自分の心を抑える限界に近づいた六花が、藁にもすがるような思いで、この「夢に出てきたマナ」に助けを求める、という描写にも感嘆させられました。
 また、ついに隠しきれずに、涙を目に浮かべてマナに感情をぶつけた時の表情からは、六花の辛い心が痛いほど伝わってきており、強く心に焼き付きました。
 そして、それだけ思い悩み、自分なりに解決策を見つけて吹っ切ったはずの六花の最後の心理描写が「一番の発見はやっぱりマナが好きv」だった、というのも凄いと思いました。

 アニメ10話も非常に印象に残る優れた話でしたが、この漫画は、さらにそれの上を行っていました。
 漫画版「プリキュア」を読んでいて良かった、と改めて思った話でした。
 そしてますます、六花には幸せになってほしい、という思いが強くなった話でもありました。

 「恋と軍艦」は、町長がぶちあげた「外国資本誘致」に対する、各キャラ並びに街の人々の反応から始まります。
 そして、香菜は町長に直訴しますが、「資本の論理」で真っ向から否定されます。そこで乖離感を感じた香菜は「あのとき、丘の上から同じ風景を見ていたと思ったのに、そうじゃなかったんだ・・・」と思います。
 このあたり、香菜の町長への恋心の変化、という事なのでしょうか。
 そして、悩んだ末に、香菜は、自分達で町起こしのビジネスを立ちあげられないか、と考え、それを教室で提案します。
 いま話題のTPPなどにも通じる、このような問題を、「なかよし」読者層にも分かりやすく伝えており、本当に表現力のすごい漫画家だと感心させられました。
 香菜がどのような「地域振興ビジネス」を立ち上げるのか、大変楽しみです。

 「ワルツのお時間」は、大変貌した姫愛が勇誠と踊る話でした。姿が変わり、ダンスの技術が格段に向上した一方で、姫愛の元々の性格を上手く活かして、ピンチを演出する、という描き方が楽しめました。
 そして、最後の、たんごの拍手しか見えていない姫愛も印象に残りました。
 たんごはもちろん、勇誠・菫の描き方も楽しめたのですが、一方、最後の場面での菫の微妙な表情が気になりました。前から書いていますが、彼女の「闇堕ち」は見たくないので、ちょっと心配です。

 「さばげぶっ!」は、前回初登場した生徒会長が再びメインを張っていました。その一方で、主役のはずの「モモカ」は一コマのみと、ちょい役と化していました。
 一方、うららも三コマしか出番がありませんでしたが、こちらはその短い中で強烈な存在感を発揮していました。
 オチにおいて生徒会長が「ツンデレキャラ」になっていましたが、実際に「デレ」モードに入ったらどういうキャラになるのだろうか、と思いました。今後の活躍にも期待です。
 一方、「さばよん」のほうは、扉の「じょしらく」ネタが一番印象に残った、という感じでした。やはり、この二本立ては厳しいと思いました。

 「キミが好きとかありえない」は宮原の両親が登場。ジューン・ブライドにかけての、花嫁花婿逆転ネタでした。
 このネタから逆算して話が作られており、少なからぬ不自然さを感じた展開でした。
 最後に、次回最終回と出ていましたが、まだまだキャラの魅力を引き出せそうな作品なだけに残念です。キャラクターはそのままで「変態」描写を配した新作品などが出ればいいのだが、などと思いました。

 「つばさピチカート!」は、野立先生の子どもの根性の曲がり具合ばかりが気になった話でした。しばらくは「いじめネタ」になるのでしょうか。
 第1話が印象に残っただけに、少々残念でした。

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