Smile第40話

 「宝物」という題材を元に、あかねを描いた話でした。
 例年のパターンですと、12月後半から最終章に突入し、1月は1ヶ月まるごと最終決戦に費やされます。それを思えば、今回が最後の「あかね話」になることでしょう。
 その最後の機会で、あかねの良さを描ききった、素晴らしい話でした。

 冒頭、部活の描写から始まります。あかねが「日野ちゃんスペシャルアタック」を決めると、顧問が「日野、明日の試合も期待しているぞ」と言っていました。
 初登場の第2話において、あかねの部内での立ち位置は「エースではない」というものでした。しかし、この顧問の口調を見ると、あかねがエース格と認識しているように描かれていました。
 このように、さりげなく、あかねの部活における成長を描いているところにまず感心させられました。
 それにあわせて、あかねの自己紹介みたいな独白が流れます。
 そこに、四人が応援の声をかけます。なぜか、みゆきの手は絆創膏だらけでした。

 翌朝、あかねが教室に入ってくると、四人が何か話していました。そして、あかねの姿を見ると、何か隠しているような態度をとります。何か自分に隠し事をしている事に気づいた、あかねは問いただそうとします。しかし、みゆきの手が絆創膏だらけである事に気づくと、そちらのほうを心配し始めました。
 みゆきは、具体的な理由を言わずに笑ってごまかします。それを見た、あかねは「さては料理かなんかで失敗したんやな」と言います。それに対し、みゆきは「まあ、そんなところ」と言いました。
 ここで、みゆきに嘘を言わせないというのも上手いと思いました。そして、みゆきの傷だらけの手を見るやいなや、隠し事の追求がどうでもよくなった、あかね、という描写は秀逸だと思いました。

 続いて、バッドエンド王国の描写になりました。久々にジョーカーが登場しましたが、目が真っ赤に輝いており、これまでの作り笑いはありません。そして、ウルフルンに最終通告並びに、五人の中で誰か一人を選んで倒せ、と指示しました。
 ウルフルンもピエーロ復活の件でジョーカーをなじりましたが、ジョーカーは相手にもしません。
 なお、その会話において、ウルフルンたち三幹部が、「ピエーロ様」が何なのかを全然知らない事が明かされました。
また、ウルフルンは今の姿になる前が存在し、その事をジョーカーが知っていること、ウルフルンにとってその過去は戻りたくないものである事も明かされています。

 一方、学校ではホームルームが始まりました。佐々木先生が、近々行われる「校内芸術コンクール」において、「私の宝物」が主題になった、と告げます。それを聞いた生徒たちは、口々に「自分の宝物」について語っていました。
 昼休み、五人で弁当となります。そこで、その「宝物」が話題になりました。みゆきは祖母に貰った絵本で、なおはサッカーシューズ、やよいは「太陽マン」とのツーショット写真で、れいかは「青木家の家宝である掛け軸」と言います。
 一方、それまでそのような事を考えた事がなかった、あかねは「わからへん」と言います。
 この四人の「宝物」の選び方も上手いと思いました。四人とも「本当の宝物」がまだ分かっていない事を伝えつつ、それによって四人をおとしめるような事がない物が描かれています。
 特に、れいかが「家宝」を挙げたのは、16話との関連も含め、面白いと思いました。そして、何も言わずともその掛け軸に「道」と書かれている事が視聴者に伝わる、という描き方にも感心しました。
 あかねは、皆の話から、自分の好きなものが宝物だと考えました。
 まずは、バレーボールの事を考えます。しかしながら、練習しつつ、それはちょっと違う、という事に気づきます。また、その際に、やよいがバレーボールをスケッチしている、という場面が描かれていました。

 続いて、夜に家業を手伝いながら考えます。お客さんにはその腕前をほめられましたが、だからといって、お好み焼きのコテが宝物、というのも違う、と思いました。
 そこに、こんな遅い時間でもあるにも関わらず、制服姿の四人がやってきます。
 すると、正子が今日はもう上がってもいい、と言い、同時にブライアンから手紙が来ている事を告げます。
 そして五人で、あかねの部屋に行き、手紙を見ます。みゆきは文中に「like」という単語を発見し、「好き」→「ラブレター」と勘違いし、やよいと、なおも同調します。しかし、れいかが、「このlikeは『~のように』という意味」と説明し、期待していた三人はひっくり返ります。
 ちなみに、手紙の内容は、日本で世話になった事のお礼・あかねは太陽のようだなどと褒める・今、空手をやっている・いつかまた日本に行きたい、といった「普通の手紙」でした。
 一方、あかねのほうも、それっぽい話を振られると、キャンディをくすぐってごまかしたりもしましたが、「顔を赤くして否定」のような事はありません。
 そして、当然ながら、あかねはこの手紙も「宝物」ではないと認識します。
 帰る時間になり、あかねは見送ろうとしますが、四人は帰らずに立ち止まります。そして、みゆきが、あかねに、彼女を模した、手縫いの人形を渡しました。
 それは、明日の試合を控えている、あかねに対する「お守り」でした。やよいがデザインし、れいかが材料を買い、なおが方法を教わった、みゆきが縫った、という事でした。文字通り、四人の共同制作です。
 それを聞いて、あかねは、みゆきの手が傷だらけだった理由を知りました。そして、四人に抱きつき、心からの感謝の意を伝え。「これがウチの宝物や」と喜びました。
 そして、部屋に帰って、ベッドにひっくり返りながら、心から嬉しそうに、人形を見たり、触ったりしています。
 縫い目を見ながら、「ここは上手くないから、みゆき、こっちは整っているから、なおか、れいかやな」と細かい所まで見ながら喜んでいます。さらに、バレーボールのデザインの良さに感心し、昼の練習で、やよいがスケッチをしていた事を思い出し、改めてその意味が分かり、感謝していました。
 この、あかねの喜びぶりの描写は、深く心に残りました。

 一方、ウルフルンは、打倒あかねを強く意識して人間界に降りてきます。そして、あかねが試合に向かおうとする所で、バッドエンド空間を発動させ、バレーボールをハイパーアカンベー化しました。

 それを見た、あかねは第2話の事を思い出し、「ネタ切れか?」とからかいます。しかし、それはウルフルンにとって、「あかねの全てを壊してやる」という決意の現れでした。
 あかねは一人で変身して闘います。一方、四人は校舎の屋上で、その発動に気づいていました。
 今回のウルフルンは、ジョーカーの脅しに、あかね個人への敵意が加わり、従来にない迫力で攻撃してきます。その手数とパワーの前に、あかねは防戦一方です。
 そして、地面にうちつけられたはずみで、昨日貰った人形が飛んでしまい、ウルフルンに見つかります。あかねがそれを「ウチの宝物や」と言うと、ウルフルンは冷笑して人形を握りつぶしました。そして、さらなる攻撃を加えられた、あかねは、人形を壊されたショックもあり、たちあがれません。地面に突っ伏したまま、
 勝ち誇ったウルフルンは、「次はキュアハッピーだ」と言いながら、校舎に向かいます。それを聞くと、あかねの脳裏に四人が浮かびました。そして、心底恐怖に怯えたような表情をし、立ち上がりました。
 しかしながら、右手が震えています。その震えを、左手で必死に抑えていました。
 それを見た、ウルフルンは「びびってんじゃねえか」と言います。すると、あかねは「震えが止まらん、みんながおらんようになった時の事を考えると」とつぶやき、再び闘いを始めます。
 ウルフルンは「おとなしくオネンネしてろ」と悪態をつきます。すると、あかねは「いやじゃ!絶対に行かさへん!やっと自分のほんまもんの宝物を見つけたんや!」と言います。
 さらに、みゆきに練習を手伝ってもらったこと、「秘密の隠し味」の探求を皆に手伝ってもらったこと、みんなの協力で空港に行けたことなどを思い出しながら、「バレーもお好み焼きも、ウチの好きなものは全部、みんなと繋がっとった。みんながいたから、ウチは自分が好きなモノに一生懸命になれたんや」と言いました。目には涙が浮かんでいます。そのときの事が脳裏に浮かんで「思い出し泣き」をしたのでしょう。
 さらに続けて、「みんながいれば、百倍、千倍もの力が湧いてくる。それがウチの宝物なんや!」と叫びました。
 そして、炎のパワーを発動させ、全身をそれに包んで攻撃します。その勢いのまま、形勢は逆転しました。すると、あかねは、サニーファイヤーバーニング!と叫び、身にまとった炎の力の全てをハイパーアカンベーに叩きつけます。
 しかし、それによって、あかねも力が尽きかけ、アカンベーの反撃をよけることもできません。
 そこに、遅ればせながら変身した四人が駆けつけます。そして、あかねはみゆきが助けました。
 すると再び、あかねの気力は戻り、四人に「行くで!」と言ってプリンセスモードになり、ロイヤルレインボーバーストで勝利しました。敗れたウルフルンは、「俺は一体どうなるんだ」と不安そうに呟きながら、去って行きました。

 闘いが終わり、あかねは壊れた人形を四人に見せ、謝ります。すると、みゆきは「また、作りなおすよ」と言い、やよい・なお・れいかも微笑みます。
 あかねは、それを聞いて感謝しますが、「この、世界でたった一つの人形がええんや。大切なものが何だかわかったし」と言いました。続いて、心の中で「失う前にちゃんと気づけけてよかった」と呟いた後、「見つけたんや、うちの自慢の宝物」と嬉しそうに言いました。
 四人は不思議そうな顔をし、みゆきはそれが何なのか尋ねますが、あかねは「秘密」と言って笑いました。
 続いて、あかねの独白が流れます。冒頭と同じなのですが、途中に「友達が宝もんの」という一言が加わっていました。そして、笑顔の五人を描いて話は終わりました。

 作画にはかなり残念な所がありました。特に、四人集合時における、なお・れいかの描き方は本シリーズの中でもかなり下のほうだったと思います。
 しかしながら、今回の話は、忘れられない話となりました。最初から最後まで、作り手の、あかねに対する愛が伝わってきたからです。
 前半アイキャッチやEDはもちろんでしたが、後半アイキャッチも、あかねでした。さらに「またみてね」は今回専用の特別バージョンでした。そして、サブタイトルを読んだのも、あかねの声優さんでした。
 そして、人形を貰った、あかねの喜びぶりを本当に丁寧に描いていました。こちらまで、一緒に嬉しくなるほどでした。特に、あかねが人形を愛おしそうに顔に乗せたり、握ったりする描写には感心しました。
 そして、闘いの後半で「四人を失うことの恐怖」を感じた、あかねの描き方がこれまた素晴らしいと思いました。「震え」を見た時、自分は最初、「怒り」なのだろうと思っていました。しかしながら、それが「四人を失う恐怖」と知ったときは、本当に驚かされました。
 同時に、最後のオチも想像外でした。自分も、人形が壊されたときは、みゆき達が作りなおして、あかねが再び喜ぶ、だと思っていました。しかし、あかねは「失った人に代わりがいないように、この人形にも代わりはいない」という考えで、「作り直し」を遠慮したわけです。その作りの深さも感嘆させられました。
 冒頭に書いたように、今回は最後の「あかね回」です。それにふさわしく、あかねの魅力を描ききった、本当に優れた話だと思いました。ただ、感心したのと同時に、今後、新たな「あかね回」はもう見れないんだな、という寂しさも少し感じました。
 次回は、「最後の、やよい回」です。これまた、今回のような話になることを、大いに期待しています。

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