昨年に続き、漫画版ハートキャッチプリキュアの描きおろし最終話が収録された単行本が発売となりました。
昨年のフレプリの描きおろしは8頁で、しかもそのほとんどは、アニメの戦闘シーンをそのまま描いた感じでした。
しかし今回は、12頁と1.5倍増でした。さらに、最初の3頁は「アニメの再録」でしたが、続く最終決戦は、大筋はアニメと同じながら、重要な所で、漫画オリジナルの描写が入っていました。
最初の3頁では48話のサバーク博士正体判明と、笑顔で消えるダークプリキュア、そして、ゆりたちを自らの命と引換えに守った月影博士が描かれます。
基本的にはアニメと同じですが、えりか・いつきは既に合流していました。そして、デューンの攻撃に対し、いつきがサンフラワーイージスを発動しようとするなど、細かく的確な場面が加えられていました。
そこからオーケストラを放ちますが、48話後半のようなデューンのヘタレ描写はありません。平然とオーケストラを跳ね返して巨大化します。
さらに、デューンは、自分たち沙漠の使徒は、定住する星を失い、千年以上もも宇宙を放浪していた、という境遇を明かします。そして数百年前に地球を発見し、ここを沙漠化すれば、自分たちの最適な住環境になることを知り、地球を狙った、事も伝えました。
なお、地球発見の所では、一コマですが、変身したサラマンダー男爵がキュアアンジェと闘っている場面もありました。
これで、アニメで理由が明かされなかったデューンの持つ「憎しみ」が、安住の地でのうのうと暮らしている地球の生物たちに向けられたものである事が判明しました。
さらにデューンは、自分の行動は、種の存続を目的とした当然のもので、ゆりを闘わせた心の大樹と違いはない、と言い放ちます。これに対し、プリキュアも薫子も反論できません。
そして再び闘いとなりますが、憎しみを前面に押し出すデューンと、それに対する怒りを爆発させている自分たちを見て、つぼみはあることに気づきます。
そして、自分もデューンに対する憎悪がある事を認めた上で、「だからと言って、そんなキモチを集めた力でぶつかりあっても・・・憎しみは増幅されるばかり・・・何も解決されないと思うんです・・・」と言いました。
しかし、ゆりやえりかは、その考えを認めず、再び攻撃して反撃され、四人は変身が解除されるほどのダメージを受けます。
その中、つぼみが最初に立ち上がり、フラフラ歩きながら、「ただ、みんなを守りたいだけ。憎しみ・・争いはもうたくさんです」と言います。
そして、「わたし・・・いまこそ変わりたい!!」と言うと、つぼみの心の花である、桜が満開になります。
それを聞いた、三人はつぼみに力を分け与え、合体でなく、つぼみ一人が無限シルエットに変身、という形になりました。
後は、アニメ同様、新たな力でデューンに勝利します。ただ、デューンの最期の台詞は「地球は愚かな人間たちによって沙漠化されるだろう」というもので、対する、つぼみの返答は「私たち一人一人が地球を愛し続ければ道が開けるはずです」というものでした。
そして最後の1頁で、闘いが終わり、ふたばが産まれた後の四人が描かれます。アニメ同様、いつきは髪を伸ばして女子制服を着ていました。その四人が微笑みあうところで、「おわり」となりました。
そして、枠外では、「あこがれのイケメン様がコッペ様、いつきも今やカンペキ美少女、わたしの恋愛運はゼロかも」と嘆く、つぼみ、というオチがついていました。
アニメ終盤での、「デューンへの憎しみを見せた、ゆりに説教」「デューンが理由もなく『憎しみ』を主張し始める」「その憎しみに対し、これまた具体的な主張がない『愛の力』で勝利する」という唐突かつ脈絡の薄い展開は、今ひとつ理解しにくいものがありました。
また、つぼみの心の花が何であるかを最後まで描かなかった、というのにも違和感がありました。
この部分を、この描きおろしは完全に補完していました。これなら、「憎しみに憎しみをぶつけては相手と同じだ。そうでなく、自分たちは家族や仲間たちを守りたいという愛によって闘う」という考えだった、という事がよくわかります。
そして、そこに思い至った事により、つぼみが第1話で掲げた目標である「わたし、変わりたいんです」を実現し、心の花が開いて最後の勝利を得る、というのも明快だと思いました。
おそらく、アニメでもこれを主張したかったのでしょうが、それを分かりやすく表現する事ができていませんでした。その部分を、見事に描ききったのは、流石は上北さん、としか言いようがありません。
アニメ「ハートキャッチプリキュア」は十二分に素晴らしい作品だと思っています。そしてさらに、この描きおろし最終話を読んだ事により、つぼみ達に対する思い入れが、さらに強くなりました。