題名にあるように、主題は「ラブと大輔」の喧嘩と仲直りでしたが、どちらかと言うと、主題以外の部分が楽しめた話でした。
今日から新学期ということで、まずは、せつなの制服披露から始まります。そして二人して登校するのですが、ラブは、せつなとの学園生活が始まる、という事から朝から嬉しそうです。通常描かれる「夏休み明け」とはかなり違います。このあたりも、ラブらしいと言えるでしょう。
その学校で、せつなは自己紹介の時から注目の的に。その様子を見たラブは我が事のように喜んでいます。
そして、テニスではスマッシュを決めます。その様子を見てラブと手を取り合いながら喜んでいたのは、第1話以来の登場となる由美でした。さらに、男子生徒の「せつなファンクラブ」まで早くも出来ていました。
一方、大輔は登校時からずっと、ラブにストーキングして話しかけようとしていました。しかし、ラブはせつなの事で忙しいため、なかなかそのタイミングをつかめません。実は、夏休み前に、始業式翌日に野球の試合があり、その応援に来てもらう約束をしていたのですが、いざ前日になって、本当にラブが来てくれるか不安になっており、確認のために話しかける機会を伺っている、という状況です。
やっと会話の時間が取れ、せつなに「ずっと同じクラス」と紹介されたのですが、ここでも「明日のこと」を確認できません。そしてそのまま掃除時間になってしまいます。
その時間を利用して、やっと大輔はラブに「明日」の話をします。しかし、やはりラブは夏休み前の約束は忘れており、ダンスレッスンの予定を入れていました。
一方、掃除でも、せつなの人気は続きます。ほうきの使い方をラブに教わった後、「はじめてのゴミ捨て」に。すると、まずは男子生徒が、続いて由美が「お供」に立候補し、最終的には、せつなを含めて五人でゴミ捨てに行くという、傍から見るとかなり奇妙なゴミ捨て風景になりました。
それにしても、由美の「せつなファン」ぶりは、かなりのものがあります。麻生先輩との遠距離恋愛はうまくいっているのだろうか、などと思いました。あと、第1話において、せつなと由美に全く接点がなかった事を思いだしました。あの時点では、まさかこんな感じで二人に接点が生じるとは、夢にも思いませんでした。
一方、キレた大輔は、なぜかラブに、せつなを「褒め殺す」ような発言をします。ラブが、せつなにかまいっぱなしだから、自分と会話できない、という八つ当たりなのでしょうか。そして、「さぞやこれまで楽しくて優雅な人生を送っているでしょうね」などと言い、これを聞いたラブが怒り、ついに喧嘩状態になりました。
学校が終わってダンスレッスンに行ったラブですが、怒りはおさまらず、ドーナッツのやけ食いをしています。しかしそこで、ミユキに明日の試合の話をされ、自分が約束を忘れていた事に気付きます。
学校での大輔がなぜあのような言動をしたのかに気付いたラブは、夜になると、せつなと二人でベランダに出て、「反省会」をします。そこでまず、「応援の効果」の話になります。そのような概念のない、せつなは最初は見当がつかないような反応でした。しかし、ラブの説明を聞いてすぐに意味を理解し、「喧嘩していても応援してもらえれば嬉しいと思う」と、核心を突く発言をします。
さらにラブが「素直になるって難しいね」とラブが言うと、せつなは驚いたように笑って「私は素直なラブしか知らないけど」と言います。
元気づけるというより、率直な本音だと思いました。最初の出会いから、ラブの素直さと接し続けているうちに、当初の軽蔑から驚き、さらには憧れと変わっていった、自分の心境を伝えたかったのでしょう。
また、応援についての話も、すぐに理解して的確な指摘をしたあたり、クローバーペンダントを貰ったときから、ラブがずっと自分の幸せを応援してくれた事を改めて思いだしたのかも、などと思いました。
翌日のダンスレッスンでも、まだわだかまりがあったラブですが、ミユキの励ましもあり、野球グランドに向かいます。一方、ラブがおらずムシャクシャしていた大輔は、立ち上がり四球を連発して失点します。
それが、ラブの姿を見て元気付き、ストライクが入り、チームは逆転します。しかし、一進一退の攻防の末、結局、大輔が逆転サヨナラ本塁打を打たれる、という結末になりました。この、「ラブは来たけど結局打たれて負けた」という展開にするのは意外でしたが、面白いと思いました。
そして、試合終了と同時に、実は試合を観戦していた西隼人が、「さあ、次の試合を始めるか」と言ってスイッチオーバーし、打撃練習機をナキワメーケ化します。この時、「ナキワメーケのもと」を投げるわけですが、この時のフォームが、星飛雄馬が「大リーグボール2号」投げるのとそっくりでした。冒頭、占いの館でバット三本持って素振りをしていたのもそうですが、彼が急に野球好きになったのは、実際の試合を見たのでなく、熱血野球漫画を読んでハマッたのでは、と思いました。
その打撃練習機ナケワメーケから繰り出される剛速球に四人は苦戦します。しかし、ラブを探している大輔をかばった際にバットを見たのをきっかけに、ラブは驚異的な対処法を編み出し、美希に声をかけます。
すると美希は以心伝心で反応し、久々にブルンの力を使います。この時は、「ベリーソードをバット代わりにして打ち返すのか?」などと思っていたのですが、何とここで美希は、ブルンの「着せ替え能力」を利用。自分たち四人の服装を女子野球のユニフォームに変えます。
そしてウエスターとナキワメーケに「野球で勝負」と宣言。唐突に「試合」が始まります。
まずはラブが「もらった」と言って打ち返すと、続く美希は「見切った」と言って、セーフティーバントをします。この戦法といい、以心伝心で「野球対決」を始めた事といい、二人とも実はかなり野球が好きなようです。第2話において、「プリキュア・アイドル化」の最終目標を「プロ野球の始球式で二人が対決」にしただけの事はあるな、と思いました。
続く祈里は、野球を知らないようですが、これまた安打にします。ここでの「野球を知らず、球を怖がりながら打っている」の描写も上手いと思いました。
そして、満塁となり、せつなが打席に立つと、ウエスターはナキワメーケに「投手交代」を命令します。しかし、首を振るナキワメーケを見て、「この試合、お前に任せたぞ!」などと言い、続投させます。筋立て上、全く持って意味がないと思うのですが、それをここまで描きこんだのは凄いと思いました。そして、「お約束」通り、せつなは満塁本塁打を放ちます。
ここで「野球対決」は終わり、四人はユニフォームを脱ぎ捨てて再び先頭コスチュームに。そして、落ち込んでいる(?)ナキワメーケに四人同時必殺技をかまします。いつかは実現すると思ってはいましたが、まさかこのようなギャグ対決でやるとは思いませんでした。
そしてナキワメーケを撃退。ウエスターの捨て台詞は「やはりあそこでピッチャーを交代させるべきだった」でした。
そして翌日の公園で、二人はともに謝罪します。そして、ラブは「仲直りの握手」をするために手を出し、しばらくためらった後、大輔も応じます。ラブの手を握った大輔が真っ赤になった一方、ラブは完全に「ただの握手」としか認識していません。それぞれが、相手をどう思っているかが非常によく分かる描写でした。
そして結局言い争いになる二人を見て、せつなが「二人とも楽しそう」と論評したところで話は終わりました。
主題の「ラブと大輔」ですが、「とりあえず、ラブに想いを寄せるクラスメイト男子を設定しているから、たまには使わねば」という印象がありました。何度も書いていますが、この大輔を初めとする「おポンチ三人組」は、キャラが出来ていないように思います。
今回の話を見ても、せっかく「野球をやる」という設定を作ったにも関わらず、それが全て「ラブと仲良くなる手段」になってしまっています。そのため、彼の野球に対する情熱や思い入れが一切描かれることはありませんでした。残念ですが、キャラ作りとして失敗してしまった感じです。
にも関わらず、今回はかなり面白い話でした。その理由として、大輔のキャラが立っていない事を分かって作っている事があると思います。そして、大輔の出番を必要最小限に抑え、それ以外の部分で話の面白さを作っていました。
その典型例が、「二つの野球試合」だと思います。本来、主題に近い存在であるはずの「大輔の試合」は軽く流し、その後の「プリキュア対ラビリンス」の野球(?)を、異様なまでに熱心に描いています。笑える戦闘シーンという事では、「プリキュア」の歴史でも五本の指には確実に入りそうです。
もう一つの印象に場面は、夜のベランダにおける、ラブとせつなの会話でした。ここでも、ラブと大輔の喧嘩の解決、に話を限定していません。むしろそれを下敷きにして、「応援の意味」や「いつも素直なラブ」を話題にしています。それについての、せつなの会話はには、イースだった頃からラブについてどう思っていたか、という事を感じることができました。
特に、応援の話をしていたとき、「喧嘩していても」と言ったところで目をいったん閉じて「応援して貰えると嬉しいと思う」と言った時は、かつての事を思い出している様子が伝わってきました。
というわけで、やや無理がある「主題」を最低限こなしつつ、それ以外の部分で面白い描写を作ったところに、制作側の技量を感じた話となりました。
次回はタルトとシフォンがスイーツ王国に里帰りし、それに四人がついていく話のようです。これまで、ほとんど描かれなかったスイーツ王国がどのような所なのか、気になるところです。