前半の山場であると思われる、「敵であるイースが、四人目のプリキュア・キュアパッションになる」という話でした。
冒頭、ラブの家から始まりますが、普段と違い、BGMもシリアス調です。そして、ラブは前回の事を思い出しながら、一人でベッドにいます。前回の回想が流れるのですが、クローバーペンダントを壊した、せつなになおも話しかけるラブの手を、せつなが振り払う、という場面が追加されていました。
OP終了後、美希が祈里をともなって桃園家に行きます。そして、扉を乱暴に開け、驚きながら声をかける、あゆみに挨拶もせず、ずかずかと上がります。代わりに祈里が挨拶をしていました。
ラブの部屋の前では、「一人になりたい」という事で追い出されたタルトとシフォンがいましたが、美希は気にせず扉を開けて入ります。
そして、占いの館に攻め込もう、などと強硬論を述べますが、ラブは落ち込んだままです。そのラブに立ち直るように言うのですが、その際、「『せつな』は最初から存在しなかった」と言って、ラブを怒らせます。
そのままラブは、外に飛び出しました。慌てて二人も追いかけますが、美希はまた挨拶なし。祈里が駆け足のまま立ち止まって、挨拶していました。
外に出た出したものの、何をしようと決めていなかったラブは、せつなと過ごした楽しい時のことや、イースとの闘いを思い出しながら、街を歩いています。
そして、気付いたらドーナッツカフェに来ており、食べながらカオルちゃんと話します。具体名は挙げないものの、率直に現状を話すと、ダジャレをを交えて「罪を憎んで人を憎まず」と助言します。それを聞いたラブは、自分のすべきことを悟り、占いの館へ向かいました。
一方、ラビリンス本国では、メビウスとクラインが、イースの処分を決定。そのイースは部屋で、前回の闘いでラブに言われた「あなたが泣き叫んでいる」という台詞を思い出しながら、「お前に何が分かる」とつぶやいていました。そこに、「クラインの手紙」が出現します。
そこでは何が書かれていたかはこの時点で描かれませんでしたが、イースは、せつなの姿で外に出ます。そして、占いの館近くの草原でラブと対峙し、「探す手間が省けた」「気が合うね」という応酬をした後、ともに変身します。ラブの変身はバンクを普段より大幅に省略していました。その効果で、より一層対決ムードが盛り上がります。
そしてイースは「お前に近づいたのは、変身アイテムを奪うため。それに気を許すなんて」と挑発します。それに対し、ラブは「今でも友達だと思っている。ラビリンスから抜けさせるために来た」と言い、イースが「だからお前は頭に来るんだ」と言って闘いが始まります。
一方、美希と祈里は蕎麦屋の目撃情報から、ラブが占いの館へ向かった事を知り、ラブを追います。それを察したサウラーとウエスターは森を動かして、館を隠します。まさか、あの森が可動式だとは思いませんでした。さらに二人は、イースにクラインの手紙が来たことおよび、それを見たイースが「やり残した事を終わらせる」と言って出て行った事を会話していました。
可動式の森に邪魔されながらも、二人は何とか対決現場に着きます。そして、闘っている二人を見て変身しようとしますが、ラブは一人で闘うと言いました。
ところで、ラブの闘いですが、普段は巨大なナキワメーケ・ナキサケーベ相手という事もあり、蹴りから必殺技というのがほとんどでした。しかし今回は、同じ体格のイース相手という事もあり、多彩な技を繰り出します。そのなかで、蹴りを二発放った後、エルボーをを打ち込んでくる、という攻撃が印象に残りました。その後もエルボーは多用しており、対するイースもエルボーで返し、両者の肘がぶつかる、という場面もありました。
最初のうちは、「クラインの手紙」にあった今日限りの寿命通告の事が頭をよぎっていたイースですが、それをラブに伝えることもなく、闘います。しかし突然、「お前といると、私が私でなくなっていく」と言います。そして、「デタラメの占いに喜び、罠にかけようとしても信じ、いつもバカみたいに笑っているお前をうらやましく思っていた」とついに自分の中でおきていた変化を告白します。
それがきっかけで、二人は、草原の上に仰向けになって会話します。昔の熱血漫画でよくある構図ですが、女の子二人が、というのはかなり珍しいと思いました。
そこでイースは再度「うらやましく思っていたんだ・・・」と言い、ラブが「そっか。やっぱイースじゃなくて、せつなだったんだね」と返事をします。それを聞いたイースは、ため息をひとつついた後、姿はそのままながら、せつなの口調になり、「変ね。あれだけ闘ったのに心がすがすがしい」と言います。この「変化」の描写のしかたは上手いと思いました。そして、美希と祈里が二人をそれぞれ助け起こします。その時、イースは、四つ葉のクローバーを見つけ、かつてラブにもらったペンダントと重ねあわせ「幸せのもと?」と言います。
それに気付いたラブは、「心から幸せを願っている人にだけ見つかるもの」と言って、四つ葉のクローバーを摘み、イースに渡そうとします。しかし、イースがそれを受け取ろうとした瞬間にクラインが設定変更した寿命が尽き、音もなくイースは倒れました。
驚くラブたちの前に、サウラーとウエスターが現れ、ラビリンスでの寿命の説明をします。「そんなの聞いていないよ」と取り乱しかけるラブですが、その時シフォンの力が発動。稲妻のような勢いでアカルンがイースの体に飛び込みます。そして、せつなの魂(?)に話しかけ、これまでは、悪の力で近づけなかったが、これでやっとプリキュアになれる、と言います。その際、回想が流れたのですが、その中には、本編で流れなかった、「ドーナッツカフェで会話する皆を、寂しそうな表情で遠くから見ている、せつな」というのが印象に残りました。これは、第14話で、ミユキを張っていた時だったのでしょうか。
イースの魂(?)が「プリキュア」と驚くようにつぶやくと、場面が草原に戻り、唐突にキュアパッションが現れました。変身場面がなかったのには少々驚きました。「自分がプリキュア・・・」と驚く、せつなですが、「キュアパッション」と自己紹介(?)はしていました。
これには、さすがのサウラーも「悪い冗談だ・・・」と驚きます。また、ウエスターは「本国に帰って管理データの修正しよう」と言って肩に手をかけようとしますが、「私はもうイースではない」と言って、その手を振り払います。おそらく、これを見た少なからぬ視聴者は「言い方といい態度といい目つきといい、ウエスターに対してはイースと全然変わっていないじゃないか」と思ったことでしょう。
一方、せつなが仲間になった事を喜ぶラブは、先ほどの四つ葉のクローバーを渡そうとします。しかし、せつなは「わたしはプリキュアになるには手を汚しすぎた」と言って去ります。
ウエスターはなおも声をかけようとしますが、サウラーは冷静に「もうイースはいないんだ。戻って作戦を練り直すぞ」と言って逆方向へさります。一方せつなは、追いかけるラブに振り向きもせず、そこで話は終わりました。
今回は、シリーズ史上初でもある、「敵だったキャラがプリキュアになる」という話でした。そのために、序盤から「せつなとラブ」シリーズを描いたりして、盛り上げていたわけです。
ところが、それだけ重要な話なのに、一部の描写には、かなり残念な部分がありました。
まず冒頭の、他人の家の扉を乱暴に開けて入り、あゆみに挨拶すらしない美希という描写からして、彼女らしさがなく、違和感がありました。もちろん、落ち込んでいるラブに腹を立てている、というのはあるのでしょう。だからと言って、美希がこのような態度を取るようなキャラではありません。
また、ラブとイースを探す、美希と祈里の描写が無駄に長すぎます。蕎麦屋との会話とか、動く森および、そこで迷う二人、というのに意味があるとは思えません。他にも公園で遊ぶ子供の描写も意味不明でした。
それに割く時間があれば、闘いの場面で、ラブの会話をもっと入れるべきではないでしょうか。冒頭、ラブが一人でベッドにいる時は、せつなの事を考えていたわけです。そこで、これまでの、せつなの言動を思いだして、「全てが計算された行動ではなく、せつなは本心で楽しんだり、自分の事を心配していた」と結論づけたからこそ、せつなをラビリンスから抜けさせる、という考えに至ったわけでしょう。
そのような思いを闘いの中でぶつけ、その会話のやりとりの中から、イースの「ラブたちがうらやましいと思っていた」という言葉を引き出せば、今回の話はかなり優れた話になっていたと思います。
また、ここで無駄に時間を使ったため、見せ場であるはずの「キュアパッション初登場場面」が唐突すぎるものになっています。もう少し、含みや溜めがあってしかるべきなのでは、と思いました。
口調がイースからせつなに変わる部分や、皆を寂しそうに見ていた所など、個々の描写ではいい部分もあっただけに、より勿体なさが目立ちました。
もっとも、今回はあくまでも「キュアパッション」が登場しただけの話です。重要なのはむしろ、せつなが「イース」という過去と向かい合いながら、ラブたちと「新たな友情」を築いていくこれからの話です。
特に次回は、せつなが、あゆみとの会話で心を開く、という話のようで、大いに期待しています。ラブの会話からすると、桃園家に居候するようにも取れますが、そのあたりがどうなるかも含め、非常に楽しみです。