なかよしラブリー増刊2009年初夏の号

 今回、最も衝撃を受けたのは、ハタノヒヨコさんの「ラブレター」でした。これまでも、本誌や増刊にショートギャグを連載していましたが、「絵が可愛くてちょっと変わった味のギャグ」と印象しかなく、軽く読み流していました。しかし、今回読んでみて、そのぶっ飛んだセンスに驚き、こんなことならこれまでの作品も、もっとじっくり読んでおくべきだった、と思ったほどでした。

 苦労して書いたラブレターが、ぶつかったはずみで別の物と入れ替わる、というところまではまあ定番です。
 ところが、次のコマから想像を絶する展開が。入れ替わった直後に、ヒロインはそこでラブレターを渡したかった相手に偶然声をかけられるのですが、それに対していきなり「その声は教頭先生!」と謎のボケをかまします。
 実は、ぶつかった相手は振り込め詐欺に騙されて、百万円を渡そうとしていた老婆で、そのため、いきなり憧れの人に百万円を渡す、という展開になります。
 その百万円をめぐるやりとりも、非常に笑えるのですが、さらに凄い展開が待っています。老婆に百万円と入れ替わったラブレターを読んだ詐欺師は「自分には妻も子も・・・」などと真に受けてボケます。
 そして、入れ替わった事および、何があったかに気付いたヒロインが追ってくるのですが、いきなり「この人たちは、ふりかけハゲです!」とボケます。すると犯人が「オレたちゃ振り込め詐欺だ!」と「訂正」してお縄になります。
 そして、ラブレターは押収されたものの、結局二人はつきあうという、オチになります。
 最初の一ページと最後の半ページだけを見ると、「頑張って書いたラブレターが功を奏して、憧れの先輩とつきあえた」という定番の作品です。そして、その間で、とんでもないギャグが展開されているわけです。そういう構成も含め、あらゆる部分で大笑いできた作品でした。

 表紙になった「こどもじゃないから」の後日談は、フェルナンドと氷見がくっつく話。まあ、この類のキャラ設定では、この二人がくっつくのは、これまた定番なので、オチが読めてしまいました。
 こういう含みもあるなら、連載中からもっと氷見のフェルナンドに対する心情を描いておけば、とも思いました。最後の最後まで勿体なさを感じた作品でした。繰り返しになりますが、次作は最初から詰め込みすぎず、序盤はシンプルにしてほしいものです。
 その「姉妹作」で本誌で突如終了した「小川とゆかいな斎藤たち」が次回に掲載とのこと。こちらに戻って季刊連載となるのでしょうか。とりあえず、続くという事で一安心しています。

 あまり好みでない「セレブな奴隷(スレイブ)」ですが、今回は、セレブ三人組の親のスネをかじっての「活躍」がなかったので、楽しめました。主人公が花嫁衣装を脱ぎ捨ててメイド姿になって現在の境遇を語った描写はかなりいいと思いました。
 新連載の「にげない。」は、前シリーズ「まけない。-教室のあたし-」の新シリーズみたいな位置づけのようです。自分は大学に入ったとき、付属あがり組と一般入試組の対立などなかったので、少々違和感のある話でした。まあ、大学と中学では違うのでしょうが・・・。
 主人公をはじめ、キャラはいいと思うので、陰惨な展開にならなければ面白くなると思っています。また、次回出てくる新キャラにも興味があります。できれば、前シリーズのキャラなども出してほしいものだと思っています。
 連載第二話の「蜘蛛女」ですが、「ドラえもん」の「どくさいスイッチ」みたいな話でした。微妙な救いがあった読み切り時代に比べると、今のシリーズはどこにでもある殺人ホラーになっており、残念です。

 読み切りで面白かったのは「hana★」でした。主人公に助けられた動物が人間の姿を得る、というのは定番ですが、カラスというのはかなり珍しいと思います。そのカラスが変身した少女と、彼女に関わる二人の少年少女の心優しさと純粋さの描写が上手く、読んだ後にホッとする作品となっています。
 「執事のススメ」は物心ついたときからの「修行」のために、主人である少女が命令すると、何を考えていても反射的に執事として行動してしまう少年の話でした。設定および少女のツンデレぶりが可愛く、そこそこ楽しめました。
 それはともかく、毎度ながら「格差」ネタの多さには驚かされます。この雑誌の読者層の世帯年収はどれくらいなのだろうか、などと気になりました。