「駅前にできたカフェでの事件」だけで言えば、「5」シリーズ屈指の名作と言えるでしょう。先週の予告の時点で、「ムカーディア=百井の正体判明」は分かっていました。しかし、そのバレかたがこのような形になるとは、判明する1分前まで、想像すらしていませんでした。
OP終了後、ムカーディアがアナコンディの執務室に行きます。しかしながら、そこでの会話は、一ヶ月ほど前に繰り広げられた「オフィスラブ」とは全く持って異なるものでした。
入室した際にブンビーの不在について問いかけたムカーディアに対し、アナコンディは冷たく返事をします。そして、遠回しにブンビーを地下迷宮に落とした事を伝え、ムカーディアにも残る機会が少ないことを伝えていました。
一方、りんは、街中で、似合わないアクセサリーをジャラジャラとつけた、異様な少年に街中に遭遇します。その趣味の悪さに驚いた事もあり、アクセサリー職人を目指す事に疑問を持ちます。そのため、ナッツハウスでアクセサリー作りはしているものの、心こころあらず、という感じで、のぞみの「駅前にできた美味しいケーキ屋」の話も上の空という感じです。
一方、りんのその姿を見たナッツは、「アクセサリーをつける理由は?」と謎かけをします。それでより悩む、りんに対し、のぞみは、「りんちゃんの作ったアクセサリーなら何でもつける」と言います。それを聞いたりんは、感謝はしますが、「それはちょっと違う」という反応を見せました。
そして、店の手伝いをしながらも、その事を考え続けます。そこへ、情報収集を目的に、百井が登場し、お茶に誘います。ちょうど母親・和代が帰宅して店番が終わった事もあり、りんはついていきます。それにしても、典型的な遊び人風の男に娘が声をかけられているのを見て、特に何とも思わない和代、というのは違和感がありました。
りんは、百井のネックレスを見て、つけている理由を尋ねますが、回答は「自分に似合うから」という、自分でも認識している一般論でしたので、悩みの解決に役立ちません。
さて、「二人でお茶」という展開には「これってどう見てもデートだよね」と、りんは心の中で喜びます。しかしながら、百井の問いかけを無視して展示されているアクセサリーに見入ったりします。その後、百井つけているネックレスを見て、「つけている理由」を尋ねます。対する回答は「自分に似合うから」という、極めて一般的なものでした。
続いて、りんは迷子の少女を見つけて交番に連れて行き、さらに泣きやませようとアクセサリーを渡します。一連の、りんの行動を見ていると、「デートでやってはいけないこと」のオンパレードみたいな感じです。
さらに、少女は、りんのつけているブレスレットを見て、「兄にあげたいから」とねだります。「これは女の子向きだから・・・」と、りんは言いますが、それでも少女は「兄ならつけてくれる」と答え、これを聞いた、りんは何かに気付きます。
そうこうしているうちに、やっと「二人でお茶」が実現、入ったオープンカフェを見て、りんはここが、先ほど、のぞみが言っていた「駅前に出来たケーキの美味しいカフェ」であることに気付きます。そこで、「のぞみにお土産を買っていかないと」と言い、百井に「あなたは何故、無駄なことをしたがるのか?」と言われます。一連の、りんの「デートぶちこわし」に呆れている、というのはあるのでしょう。とはいえ、こちらもまた、「デートでやっていけない事」の例になるような問いかけだと思いました。
一方、のぞみは、りんの家に行き、彼女がでかけた事を和代に聞いて「駅前のカフェに一人で行ったに違いない。自分も一緒に食べたいから追いかける」と謎の思考回路で真実(?)にたどりつきます。
そして、りんと百井のところに現れます。りんは、「デート」を見られた事に対してごまかそうとしますが、のぞみはそれには何ら関心を示さず、「一緒にケーキを食べる」とだけ言います。
すると、そこに店員がお茶とケーキを持って登場。声は接客向けに変えてますが、その髪型はブンビーです。
そして、お茶とケーキを置いたため、お互い、顔が見え、四人が同時に驚きます。そして、のぞみ・りんをそっちのけで、ブンビーと百井が応酬し、その流れで、百井がエターナル所属である事が判明してしまいました。
ちなみに、ブンビーの胸には「文尾」と書かれていました。「小々田コージ」みたいな意味合いなのでしょうか。そして、走り去りながら、エターナルに対する微妙な心境を吐露していました。
開き直った百井は、ムカーディアとしての姿を初披露し、闘いが始まります。なお、闘いの中の会話で、ムカーディアは「気付くのが遅すぎるんですよ」と言っていましたが、まさにその通りだと思いました。
さらに、他の四人が続々とやってきます。話の流れの中で、ムカーディアが「ミスターマジック」であった事も判明しましたが、これについては、皆はさほど驚いていませんでした。
闘いのほうは、ホシイナーがメタルブリザードで撃退され、ムカーディアにはレインボーローズエクスプロージョンを放ちます。それに対し、ムカーディアは一度は緑色のバリアで防ごうとしましたが、勢いを止めることができず、退散となりました。
そして、ナッツハウスに戻った、りんの所に、迷子だった少女が、冒頭に出てきた趣味の悪いアクセサリー少年と二人でやってきます。実は、二人は兄妹で、妹が渡すアクセサリーを全てつけるために、あの趣味の悪い姿になった、というオチでした。
さらに、のぞみから「りんちゃんのアクセサリーなら全部つけたい、という理由は、デザインがいいからだけではない」と言われ、アクセサリーは、ただのファッションでなく、渡した人の想いにこたえる、という意味がある、という事を理解。ナッツの謎かけの意味も理解した、という形で話が終わりました。
「プリキュア」シリーズにおいて、これまでも、「正体を隠してプリキュアに近づく」という敵はいました。いずれも、当初は情報収集が目的で、プリキュアおよび、その周囲の人々を心の中で冷笑していました。
ここまでは、ムカーディアも同じです。しかし、そこから先が全然違いました。「無印」のキリヤおよび、「S☆S」の満と薫は、最初は冷笑していたプリキュアおよび人間の持つ良さにふれて、心が少しずつ変化し、最後は自ら正体を明かして闘いを挑みますが、プリキュアとの会話を通じて、自ら闘いをやめ、組織の制裁を受けました。それに伴い、複雑な心境がいろいろと描かれています。
それに対し、ムカーディアの「正体判明」は「情報を得ようと、りんと言ったカフェに、粛正されていたはずのブンビーが偶然勤務していて、なしくずしにバレる」でした。これほど想像を絶する展開はなかなかありません。これを考えた人は、ある種の天才だと思いました。今回の話は、あの部分だけで「5」シリーズの歴史に残ると言えるでしょう。
また、全般的に作画も良く、視覚的に楽しめる場面も多々ありました。特に、りんに対して見せた、のぞみの表情の描写は印象に残りました。
ただ、本来の主題である「アクセサリーの意義」については、少々違和感がありました。「アクセサリーは想いを伝える物」という事の例として、兄妹が出てくるのですが、それがあの「すれちがった、りんがアクセサリーの意義に悩むほどの趣味の悪さ」では主題を伝えることになっていません。
一方で、「アクセサリーは自分を引き立たせるため」と一般論を言う百井のほうが、センスが良いわけです。これでは、どちらが「正解」なのか分かりません。
これなら、兄が目立たない所で一つ、女児向けのアクセサリーをつけている、くらいで良かったのではないでしょうか。さらに言えば、のぞみとの友情を活かし、「りんがアクセサリーを造り始めた頃に、のぞみにプレゼントした、今に比べると出来の良くない作品を、大切につけ続けてた」みたいな話にしたほうが、主題にもあっていたのでは、と思いました。
あと、余談に近いことですが、ナッツの謎かけに対し、他の四人がアクセサリーについて論じる場面がありました。そこで、うららが「仲の良い二人が同じ物をつける」と言った時は、漫画版の「S☆S」第4話を思いだしたりしました。
次回は、こまち話かつ、シビレッタ退場話のようです。本筋とは別に、アナコンディ・シビレッタ・館長の人間関係描写も気になっています。