こまちの、現在を楽しく思う気持ちと、それゆえに自分たちの目標である「パルミエ王国復興」を成し遂げた際に訪れる未来への不安を描いた話でした。
冒頭、マス目の埋まらない原稿から始まります。なぜ進まないかというと、現在の自分とナッツを元に小説を書いているうちに、その「夢がかなった時に自分の恋が終わる」という事に気づき、それを恐れたためです。そして、こまちは、自分がそのような思いを持つこと自体に悩みます。
周りは皆、「原稿が進まないから悩んでいる」と思うなか、かれんだけは、いち早くその事に気づきます。そして、こまちの複雑な心情を思いやり、こまちを元気づけます。今回は。この悩みと、それに対する、かれんの友情が主題でした。
そのあたりの、こまちの心理描写と、かれんの気遣いが細かく描かれており、本作のなかでも上位に入る、かなりいい話だったと思いました。
さて、ナイトメア本社では、カワリーノがハデーニャに「黒紙」をチラつかせます。順番からすればブンビーのはずですが、なぜこうなったかについては語られませんでした。ちなみに、ブンビーは「ハデーニャの憂さ晴らし役」として一瞬だけの登場でした。
しかし、ハデーニャも幹部なだけあり、黒紙を拒否して、戦いに出向きます。しかし、威勢のいい事を言いながらも、実は策もなく、公園のベンチでたたずんでいます。このあたりの独り言には哀愁を感じさせられました。
一方、自己嫌悪に陥った形になった、こまちは、一人自室で着替えもせず、電気もつけずに悩み続けています。
ナッツハウスで、のぞみがボケているなか、かれんは夕暮れの図書室で、こまちの悩みを聞きます。話しているうちに、かれんは、こまちが本当は何について悩んでいるかに気付きます。そして、直截的にその話をされたくないという、こまちの心情も気遣い、あえて、小説の悩みに対する助言、という形で、こまちを励ましました。
このあたりの、かれんの優しさおよび、友を気遣う心を、会話・表情の双方でうまく描いています。その心が伝わってくるようで、このあたりの描写は秀逸でした。
続いて、こまちが公園で一人たたずむ中、ナッツが来て励まそうとします。このあたりの会話も、単に恋愛ネタにせずに、二人の心情を巧く描いています。特に、こまちとかれんが友人となるきっかけとなった逸話をもとに、かれんのこまちに対する敬意ををナッツが伝える、というのも面白いと思いました。
いろいろな制約があるのか、絵の枚数は今回も少なく感じました。ただ、その限られた中で、季節感も含めて描写していましたし、絵の品質自体も、かなり高いと思いました。
そして最近のパターンで前半終了直後にハデーニャが登場し、後半はすぐ戦いに入ります。そんな中、こまちはミントシールドの攻撃形態を発動。アクアストリームとの合体技みたいな感じでハデーニャを撃退しました。その威力は公園の土が深く長くえぐれるほどでした。このあたりも、初期設定の「おとなしいが、怒らせると一番怖い」をうまく活かしている、と思いました。
そして、最後も夕暮れでの、こまちとかれんで締めていました。こまちのふっきれた表情と、それに対する、かれんの表情がいずれも良く、最後まで楽しめました。
次回は、「お世話役とは何か」が主題とのこと。ミルク話というよりは、のぞみ中心になりそうな感じです。ハデーニャ退場も含め、どのように描かれるか楽しみです。