プリキュアSS映画版DVD

 劇場で見た時、極めて不思議な気分になった作品でした。話の基本設定になる「咲と舞のケンカ」は不自然でした。他にもいろいろひっかかる点がありました。ところが、自分の予想にも反して、見終わった後はかなりの満足感があったのです。
 もちろん、中盤以降はしっかり描かれていた上に、作り手の咲と舞への愛を感じたから、というのはあるでしょう。しかしながら、話そのものの構成に対する評価は高くないのに、なぜあそこまで満足できたのか、我が事ながら不思議に思っていました。その引っかかりが気になった事もあり、DVDを購入しました。

 前半部の「ケンカ」→「敗北」あたりの感想は、映画で見た時とさほど変わりませんでした。さらに言えば、「迷宮の中で離ればなれになった二人が友情を取り戻す過程」も、ゲストキャラの台詞が多すぎて、あまり印象に残るものではありませんでした。
 しかし、迷宮を脱出し、敵キャラ・サーロインに再度挑んだ時、これまでの引っかかりが解ける描写を見ることができました。

 サーロインの技で土煙の中に咲・舞が精霊たちとともに閉じこめられます。ある意味、迷宮に続く危機なわけですが、一瞬、二人は恐れるような顔をしたものの、すぐに普段の表情にもどります。
 そして、互いにケンカになった原因を詫び、手を握りあうと、特にポーズなどを取らずに、ブライトとウインディに変身します。
 実は、映画館で見た時も、この場面を見たときは、何とも言えない感情が体の中を走りました。しかし、その時も「何で自分はたかだか『一度変身が解けたのに、再びプリキュアになれた』くらいでこのような気分になるのだろうか?これまでの蓄積みたいなものか?」などと思っていました。しかし、今回、見直して、初めてその理由が分かりました。

 この前の場面で、二人は迷宮内で再会し、力をあわせて脱出します。もちろん、お互い再会したがっていた事は分かっています。とはいえ、この時は脱出が第一目的であり、また、周囲に「時計の郷の住人」が多数いた事もあり、二人としてはケンカについての会話はできていませんでした。
 しかし、この場面で他にいるのはいつもの精霊たちのみ。実質二人きりのようなものです。その状況の中、二人はケンカして以来初めて、二人でゆっくり話せる時間を得ます。そこで、まずお互い、ケンカの原因を謝罪します。

 続いて、いつものように手を握ろうとするのですが、指が触れあった瞬間、二人は手を離します。しかし、直後に再び手は元の方向に動き、二人は手をしっかり握りあいました。
 この手の描写はわずか4秒ほど。映画で見ていた時は気づきませんでした。しかし、改めて見ると、衝撃に近いものがあります。家に届いてまだ一週間もたっていませんですが、既にこの場面だけは10回以上巻き戻したほどです。
 いつものように手を握ろうとしたが、触れた瞬間に、ケンカの事のひっかかりがまだあり、同時に手が離れたわけです。ところが、それによって、二人は、「ひっかかりがある事」「にも関わらず、手を握りたいと思っていること」という心境、そして相手も全く同じ事を思っている、という事を心で感じることができたのでしょう。わだかまりが残っていた事も含めて、お互いの心が理解できたわけです。そしてそれゆえに、次の瞬間、しっかり手を握りあうことができた、というふうに解釈しています。

 最初にも書いたように、不完全な部分は多々ありました。しかし、そのケンカや敗戦なども、全てあの4秒間の描写に帰結することにより、さほど気にならなくなりました。ほんの一瞬ですが、あまりにも良すぎる描写でした。それを確認できた事および、繰り返し見ることができる、というだけで、このDVDを購入した甲斐があると思ったほどでした。
 改めて「ふたりはプリキュア スプラッシュスター」に出会えた喜びを再認識できたDVDでした。

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