映画「トロピカルージュプリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪」

 雪国を舞台にした話でした。
 「ハートキャッチプリキュア」と共演していました。
 半年前の映画に比べると、共演の描き方が大幅に進化していると思いましたが、同時に共演が必要なのか、と改めて感じさせられました。

 映画の基本パターンとして、戦闘シーンが二度ある、というのがあります。
 大抵は、ラスボスの尖兵もしくは初期モードと軽く闘って勝利し、終盤でラスボスと決戦、という形です。
 それに対し、今回は、TVの敵であるヌメリーが操る超ゼッタイニヤラネーダとの戦闘から始まっていました。
 そのヤラネーダの風船みたいな体質で、夏海まなつが遊びながら闘う、というこのシリーズらしさが冒頭から出ていました。
 また、TVの敵幹部が映画に出る、というのはかなり珍しい事です。自分の記憶にある限りでは、「GoGo」のブンビーと、「オールスター2」のブンビー・ウラガノス・カレハーン・モエルンバ・ミズ=したターレ・キントレスキー・アラクネア・ハデーニャ・ネバタコス・ムカーディア・ノーザ(この話は敵幹部オールスターズでもあった)、今春のブンビーくらいです。
 それだけに、一見普通の場面ですが、このヌメリーの登場はかなり貴重だと思いました。

 戦闘終了後、雪の王国シャンティアの王女・シャロンの招待を受けて、皆で汽車に乗って行く、という展開になります。
 汽車に乗る場面で、OPが流れるのですが、座席は四人がけで一人があぶれます。
 最初は滝沢あすかが二人がけのところで三人で座ろうとしますが、やはり狭く、ジャンケンで外れる人を決めます。
 その結果、滝沢あすかが負け、一人隣の席に座ると、そこに一之瀬みのりが移ってきます。
 嬉しさのあまり、ハグしようとする滝沢あすかをかわし、一之瀬みのりは読書をはじめます。
 要はこちらのほうが、落ち着いて本が読めるから移ってきた、という事なのでしょう。その一方で、日頃から面倒を見てくれる滝沢あすかへの気遣いもあったのでは、と思います。
 今回の映画において、先輩二人と涼村さんごはあまり出番はありませんでした。
 そんななか、このOP背景の無言劇で、「出番」を作ったことにも感心させられました。

 シャンティアに着いて雪遊びをしているなか、別口で招待されていたハートキャッチプリキュアの四人と出会う、という展開になります。
 人間関係的には、ローラと来海えりかの絡みが軸となっていました。
 10年ほど前の「オールスター」では、そのはっちゃけた人柄が前面に描かれていました。
 それだけに、予告を見たときは、今回もそうなるのかな、と思っていました。
 しかし、そこだけでなく、TV初期に強調されていた、気を遣うあまり、率直な事を言って、相手に誤解される、という人柄を描いていました。
 また、花咲つぼみには、シャロンの心の花について語らせるなど、「ハートキャッチ」の設定を各所で活かしていました。
 このあたり、共演の描き方が進化していると感心させられました。

 話のほうは、人魚の姿で泳いでいたローラが、歌を唄っているシャロンと出会い、次期女王同士で仲良くなる、という展開になります。
 このあたりでは、「敵はどこから出てくるのか?」と気にしながら見ていました。
 すると、戴冠式でシャロンの表情が一変し、参加者全員をシャンティアの「国民」にしようとします。
 実はシャンティアは太古の昔に彗星がぶつかって滅びた王国で、その彗星の破片に残留思念が宿ったのが今のシャロン、という設定でした。
 そして、戦闘となり、最後は映画オリジナルの新技、ハートシャイニングオーケストラで、「ハートキャッチプリキュア」で出てきた「女神」を召喚して勝利しました。
 その後、彗星の力が尽きたシャロンは消滅します。そして、彼女に捧げるという形で、あおぞら市商店街のイベントで、シャロンが作曲した「シャンティア~しあわせのくに」をトロピカる部の五人で歌う、という形でエンディングになりました。

 春の映画に比べると、「共演」が大幅に進歩していました。
 ゲストである「ハートキャッチ」の設定や、キャラ描写が非常にしっかりしていました。
 それを懐かしみながら楽しむことができました。
 また、キャラ描写を、夏海まなつ・ローラ・花咲つぼみ・来海えりかに絞ったのも、双方のシリーズを立てる形になっていて良かったと思いました。
 ただ、やはり共演にした事により、「トロピカルージュ」の良さが描ききれなかった、という残念感もありました。
 その結果、涼村さんご・一之瀬みのり・滝沢あすかの出番が減ってしまったのは勿体なさがありました。
 汽車の中でのやりとりのようなものを、もっとたくさん見たかった、と思いました。
 また、敵についても、「トロピカルージュ」らしく、あっけらかんとした感じで良かったのでは、とも思いました。
 次回、春の映画は制作されず、新作は来年秋とのことです。
 今回の映画でも、映画らしからぬ作画がいくつか見受けられました。やはり制作側は色々と大変なのでしょう。
 一年後の映画が充実したものであること、そしてできれば、過去シリーズのプリキュアなしの話になることを期待しています。