なかよしラブリー増刊2006年春号

 上北ふたごさんの「ふたりはプリキュア スプラッシュスター」が目当てに購入しました。内容は、咲と舞がお互いの接し方に悩む事に、カレハーン最後の挑戦をからめた話。先日書きましたが、アニメ第7話のカレハーン退場話は、「戦い+設定説明」のみとも言える内容でした。それに対し、この漫画では、咲と舞の微妙な距離を主題に、そこから生じる微妙なズレをカレハーンとの戦いにも生かして描いていました。
 持ち前の明るさで、舞の事を何でも知ることによって友達になろうとする咲に対し、舞はちょっと引いた感じです。といっても、咲のその積極性が嫌なわけではなく、急激な接近に、破綻の危険性があることを察しているから、という心理描写がまた面白いです。私自身、人間関係において似たような経験をしているだけに、この舞の心理描写は非常に現実感がありました。
 そのへんの舞の葛藤を、「星と星が近づきすぎた場合」になぞらえ、さらにそれを和也に相談して適切な助言を得る、という話の作り方は相変らず巧いと思います。
 そういう事もあり、お互いぎくしゃくしたままで、そしてカレハーンとの戦いに入るわけですが、導入部が「そのおいしそうなパンひとつくれないか」「どうぞ(中略)パンパカパンってパン屋さん、よろしくぅ!」という漫談から入るのがいいです。これぞカレハーン、という感じです。
 さらに、闘いにおいても、お互いの気持ちのズレによって力が出せず苦戦。そこから逆転するきっかけになったのが、舞のスケッチブック一杯に描かれた咲の絵、というのもこれまた巧い描写です。また、そのちょっと前になりますが、お互いの呼称が、「ブルーム・イーグレット」から闘いの最中にも関わらず「舞・咲」に戻った、というのもいいです。
 というわけで、アニメではやや不完全燃焼だった「カレハーン退場話」を十二分に楽しめた、素晴らしい作品でした。この40頁だけでも550円の価値はあったかもしれません。

 なお、上北さんは二本立てで新作アニメ「アクビガール」の漫画版も描いています。スカパー!は入るもののUHFが入らない我が家ですと、アニメを視れるのは夏になるのですが、とりあえずEDが「アクビ娘」になるのでしょうか。「ハクション大魔王」の頃からあの歌は大好きですので、ぜひ継承してほしいと思っているのですが。
 話のほうは、とりあえず設定紹介という感じでした。作中、私のような中年世代が幼少時に視ていたタツノコキャラのコスプレがさりげなく入っていたのには笑いました。

 「キッチンのお姫様」は、藤田の父が登場。あの藤田の変人ぶりは遺伝だという事がよくわかります。話は面白かったのですが、茜が出ていないのが個人的には残念でした。
 「私立ヤバスギ学園」は新学期にあわせて中等部入学。「中学生=ちょっと大人」を「校内ホストクラブ」で表現する感覚は相変らずものすごいです。
 あと、今回の話とは関係ないのですが、単行本一巻によると決め台詞の「おしおきターイム」には没になった幻の決め台詞があるそうです。その没になった一言ですが、それはなんと、今話題の、情報漏洩を引き起こす「Antinny」の異名と同じです。そういえば、同じ一巻では「ボリエモン」をお仕置きしていましたし、この作者、なんか予知能力でもあるのでしょうか。
 ちなみに、今回の話の締めは「君は生き延びることができるか」と本誌読み切りの「モテスギ学園」でも炸裂したガンダムネタ。ついつい永井一郎氏の声で読んでしまいました。

 川村美香さんの新作読み切りは、別の意味で印象に残った作品でした。いくら中国人だからといって、街中をスリットの深いチャイナドレスを着て歩く人はいないと思うのですが・・・。話自体もほとんど「精神操作を行う食べ物」という感じで、ちょっと不気味でした。なんか「鉄鍋のジャン」に出てきた敵キャラを思い出してしまいました。
 若手作家の読み切りの中で妙に印象に残ったのは「小川とゆかいな斎藤たち」という話。いじめられっ子の小川さんという女の子が、校内で札付きの三人の男との出会いを通じて、「脱・いじめ」を果たすという話です。それはいいのですが、なぜかその三人の男の苗字がすべて「斎藤」というのです。といっても兄弟ではなく、偶然同じ苗字という設定です。なぜ三人の苗字が同じでなければいけないのかは今ひとつわかりません。きわめて私的な話なのですが、私が大学時代所属していたサークルは、なぜか斎藤姓の後輩が多く、この漫画と同じように、同時に三人の「斉藤」が所属した、という事もありました。そういう意味で、不思議な共感(?)のあった作品でした。それにしても、この作品を読んで「大学の後輩にも・・・」などと思う読者は他には存在しないでしょうね。
 なお、作品自体も、ヒロインの描写がいろいろとかわいくて楽しめました。

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