ヒーリングっどプリキュア全般の感想を「一般編」として書きました。
それに対し、こちらでは、「魔法少女まどかマギカ」を知っている方のみを対象とした「特殊編」を書いていこうと思います。
もちろん、主演の花寺のどかを悠木碧さんが演じると知ったとき、自分も含め、多くの人が「魔法少女まどかマギカ」と鹿目まどかの事を連想したと思います。
もちろん、それだけでは、たまたま同じ声優さんが主人公の声を演じただけです。
しかしながら、この「ヒーリングっどプリキュア」は、それに尽きない、「魔法少女まどかマギカ」を意識したものを随所で感じました。
それについて、つらつらと書いていこうと思います。
「ヒーリングっどプリキュア」BD1巻の特典として、特設ページで主演声優四人の特別対談を見れる、というのがあり、特典を満喫しました。
最初から最後まで楽しい対談だったのですが、その中で、特に印象に残った会話がありました。
オーディション時の思い出として、平光ひなた役の河野ひよりさんは、「花寺のどかのオーディションも受けたけれど、演じた時、悠木碧さんが過去に演じたあるキャラのように感じた。それだけに、悠木さんが花寺のどか役に決まったときは納得した」というような趣旨の事を話していました。
それを、悠木さんも同意していました。
もちろん、他社の作品ですから、具体名は挙げられません。しかし、多くの人はそのキャラが誰かは即座にわかったのではないでしょうか。
悠木碧さんは、様々な声質を使い分ける高い技術を持っている事で有名です。
そんななか、花寺のどかについては、「鹿目まどかの声」で演じていました。
直接演じていない河野さんが即座に気づいたのですから、演じた悠木さんも当然気づいた事でしょう。
言い換えれば、最初からそのように花寺のどかは設定されていたわけです。
もちろん、放映開始時の時点では、上記の逸話は知るよしもありませんでした。しかし、第一話を見たとき、早くも「魔法少女まどかマギカ」を意識しているのでは、と思う場面がありました。
花寺のどかが最初に変身する直前のことです。公園でメガビョーゲンが暴れる際に、枯れ樹がラビリンの片足の上に落ち、彼女は動けなくなります。
その後、花寺のどかが通りかかり、その枯れ樹を取り除きます。
普通に話を追っていると、この逸話に何の意味もありません。
しかし、「魔法少女まどかマギカ」を見ていると話が変わってきます。
11話から12話にかけ、鹿目まどかが変身した時の暁美ほむらの状態とそっくりなのです。
繰り返しになりますが、この逸話、第1話の構成や展開には全く関係していません。このとき、花寺のどかは、それをあっさりどけて、ラテを心配していました。ラビリンは眼中にありません。
それだけに、この「片足をはさまれたラビリン」を描いた意味は、「あの場面」を連想させるためなのでは、と思わざるを得ませんでした。
その後も、様々なところで、「魔法少女まどかマギカ」に通じるものを感じました。
毎年、「主役」プリキュアには特徴的な口癖が用意されています。美墨なぎさの「ぶっちゃけありえない」にはじまり、昨年は星奈ひかるの「キラヤバー!」でした。
それを引き継いだ花寺のどかには「ふわあ」という短い感嘆詞が設定されました。しかし、これまでのように「ふわあ」は多用されませんでした。一方で、鹿目まどかと同じ「エヘヘ(ウェヒヒ)」が非常に多くの場面で使われていました。実質的にはこちらのほうが「のどかの定番台詞」になっていました。
また、メガビョーゲンが出現するとラテの額の宝石がにごり、浄化されると元に戻るというのも、「魔法少女まどかマギカ」のソウルジェムとそっくりです。
第14話では大声コンテストの前に、花寺のどかが「すーはー」と深呼吸しましたが、これは、「魔法少女まどかマギカ」第12話で、鹿目まどかが変身を決意するときと同じです。
他にも、風鈴アスミが初登場の時に「その必要はありません」と言ったり、「吹奏王子」という言葉を聞いた花寺のどかが、「水槽の中で人魚の魔女・オクタヴィアのコスプレをする少年」を連想するなど、ところどころに「魔法少女まどかマギカ」に通じる描写を感じました。
そして、ダルイゼンに助けを求められた第41話の最後では、花寺のどかが、異空間のようなところを逃げ走る、という描写がありました。
これまでのプリキュアにはなかったものです。そして、「魔法少女まどかマギカ」のEDにおいて、最初は歩き、最後は謎の結末に向け、走る鹿目まどかを思い出さざるをえませんでした。
ここでちょっと話を変えます。
「プリキュア」も「魔法少女まどかマギカ」も、主人公や仲間が「妖精」と出会い、その依頼を受けて変身して悪と闘う、という共通点があります。
もちろん、これはプリキュアに限らず、この類のシリーズの定番中の定番です。ただ、その中で、「魔法少女まどかマギカ」には、プリキュアを始めとする他の作品との根本的な違いがあります。
それは、「妖精」が主人公や仲間の命を大切にしていない、むしろ破滅して死ぬ(魔女化する)事を望んでいる、という事です。
変身に導く「妖精」が最悪の敵だった、というのは衝撃的でした。その鮮烈な設定もあり、「魔法少女まどかマギカ」は歴史に残る名作アニメになったわけです。
その「魔法少女まどかマギカ」に、美樹さやかという魔法少女がいます。演じるのは、キュアベリーこと蒼乃美希を演じた喜多村英梨さんです。
青系のキャラであり、刀を使うなど、共通点が多々あります。なにしろ、どちらも「みき」です。
そして、彼女は、「魔法少女まどかマギカ」の衝撃的な設定である、「魔法少女は呪いを溜め込んで魔女になる宿命」を本編中で唯一体現したキャラになりました。
それを見たときは、長年のプリキュアファンとして、ちょっとした衝撃がありました。
同時に改めて、この作品の特徴である「変身に導く『妖精』が導かれる人たちの命を奪うつもりだったら」という命題に、プリキュアは応えうるのだろうか、と考えたりもしました。
なお、蒼乃美希の決め台詞は「あたし、完璧」です。そして、美樹さやかの生前最期の台詞は「あたしってほんとバカ」でした。単なる偶然ではないでしょう。
それに対して、プリキュア側が出した「回答」が、この「ヒーリングっどプリキュア」で描かれた、プリキュアとヒーリングアニマルの信頼関係を強く描く、だったのでは、と思っています。
その結果生まれたのが第2話だったと思っています。
念願のパートナーを得たラビリンですが、病み上がりで体の動かし方を忘れていたため、どのスポーツに挑んでも失敗する花寺のどかを見て驚きます。
そして、自分が花寺のどかをプリキュアにしたせいで、彼女が危ない目に遭ったら、と心配して、コンビ解消を主張しました。
この逸話を見たとき、九年前に「魔法少女まどかマギカ」が投げかけた「変身を勧める妖精に悪意があったら?」という「問いかけ」に対する、「ヒーリングっどプリキュア」の「回答」なのかも、と思いました。
他にも、「ラベンダルマ」がきっかけで、花寺のどかとラビリンの関係が崩れた話がありました。
このとき、花寺のどかは眠れない夜を過ごします。
このような、ヒーリングアニマルと、本音をぶつけあい、心を通じさせた、というのがこのシリーズの特徴です。
それが意識した「魔法少女まどかマギカ」があったかも、と思っています。
もちろん、以上の論考に何ら客観的証拠はありません。
あくまでも、作中での描写や、河野さんの発言をもとに筆者が勝手に考えた事です。
とはいえ、そのような考察のおかげで、「ヒーリングっどプリキュア」は、プリキュアファン的にも歴史に残る名作となったのと別に、プリキュア兼「魔法少女まどかマギカ」ファンとして、別の部分で忘れられない作品になりました。
二重の意味で、出会えて本当に良かったと思っています。