なかよし2017年2月号「魔法つかいプリキュア」

 お正月話でした。
 朝日奈みらいが、皆がいなくなり、モフルンも元のぬいぐるみに戻る、というとんでもない悪夢を「初夢」で見るところから始まります。
 その事をひた隠しにする一方、この「初夢」を逆夢にするために、無理して頑張る、という展開でした。

 まずは、初詣の神社で懸命に祈りますが、ひいたおみくじは「大凶」でした。
 次に、羽つきを始めます。伝統的な「落としたら顔に墨で落書き」ルールで行われました。そこで、十六夜リコが「この墨塗りは災いを避けるおまじないよ」と解説しました。相変わらず、勉強熱心です。
 それを聞いた朝日奈みらいは、魔法をつかってわざと負け、顔に墨を塗る事で「魔除け」をしようとしました。
 さすがにこれは露骨すぎるので、十六夜リコに問いただされます。それにより、初めて「悪夢」について明かします。
 それを聞いた十六夜リコは、自分にも別れへの不安があることを明かしつつ、「今をめいっぱい楽しみたいのに、なにやってるの、悲しすぎるわよ」と怒りました。
 それを聞いてますます落ち込んだ朝日奈みらいに対し、モフルンは、「自分の名前を思い出すモフ」と言い、明るい未来に目を向けるよう、うながしました。
 それで後ろ向きな自分に反省した朝日奈みらいは、「みんなの未来に祝福あれ!」と言い、魔法で、大きな「正月飾り」を出します。
 その出来の良さは、十六夜リコが目をみはるほどのものでした。それだけ、この短い間で、朝日奈みらいの魔法が上達した、という事なのでしょう。
 続いて、「みらい、わたしも…お返しがしたいわ」と言います。
 朝日奈みらいが「えっ」と返すと、十六夜リコは、何も言わず、心からの笑顔を浮かべて、朝日奈みらいを抱きしめました。
 前のページで「お返し」という台詞を読んだ時は、てっきりそれに応ずる魔法を見せると思っていました。それだけに、この描写には驚くと同時に、感銘を受けました。
 そして、別れの不安について、語ります。
 このあたりは、アニメの最終回で描かれる「別れ描写」を意識しての事なのでしょう。
 そして、最後に、みんな笑顔で、ホウキに乗り、「今年の初飛び」をする、という場面で終わりました。

 ここ二ヶ月ほど、タイアップ企画をやっていたという事で今ひとつ歯切れの悪い話が続いていました。それに対し、この「雑誌版最終回」は、上北さんならではの、素晴らしい話になっていました。
 アニメで描かれるであろう「魔法界とナシマホウカイの交通が遮断」という展開を基軸にしつつ、正月行事をつかって、別の形で、その「別れへの不安」を描いていました。
 「別れへの不安」に対し、朝日奈みらいが、魔法を濫用して解決しようとし、十六夜リコを怒らせます。その朝日奈みらいの心を前向きにしたのは、モフルンによる「自分の名前を思い出してみるモフ」というアドバイスでした。
 この「みらい」という名前について、これまで語られる事はありませんでした。余談ですが、この名前は、祖母の「かの子(過去)」母の「今日子(現在)」と対になっています。
 それをこの最後で使ってきた事にも感心しました。アニメでも、ぜひこのような会話をみたいものです。
 そして、前向きになった朝日奈みらいが、これまでの成長の集大成ともいうべき、素晴らしい魔法を見せるわけです。
 その「お返し」は、「笑顔で抱きしめる」だったわけです。
 この一年、朝日奈みらいが魔法力を成長させたのと同じく、十六夜リコは、劣等感や考え過ぎなどの弱点を克服し、人間的に成長した、という事を伝え、かつ二人の深い友情を描く、という非常に心に残る描写でした。
 このような形で、朝日奈みらいと十六夜リコという二人の弱点と成長を描いた、という事に感心させられました。
 3月に出る単行本描きおろしが、「本当の最終回」になるわけです。昨年のような、心に残る話を読めることを、今から楽しみにしています。