数年前、「魔法少女まどか☆マギカ」のブルーレイを一通り見ていて、興味深い事に気づきました。
それは、TVアニメ各話の冒頭部(アバン)でどのキャラが登場しているか、という事です。
箇条書きにすると、以下のようになります。
- 鹿目まどか、「夢のなか」で暁美ほむらとワルプルギスの夜との闘いを見る。
- 巴マミ、使い魔を倒す
- 美樹さやか、上条恭介を見舞い、二人でCDを聴く/li>
- 美樹さやか、上条恭介を見舞いに行くも、リハビリの時間変更で不在。
- 美樹さやか、魔法少女になる。
- 美樹さやかと佐倉杏子の戦闘を、暁美ほむらが止める
- 美樹さやか、自室でキュウべぇに魔法少女の仕組みを体感させられる。
- 美樹さやか、影の魔女を倒し、消耗して変身を解く。
- 美樹さやか、魔女になる
- 暁美ほむら、一度目の見滝原中学校転入
- 暁美ほむら、キュウべぇから鹿目まどかの謎についての説明を受ける
- 鹿目まどか、魔法少女になる
見ていただければ分かるように、第3話から第9話まで、いずれも美樹さやかが描かれています。全12話中7話ですから、半分以上の話が美樹さやかの描写で始まっているわけです。
さらにその7回において、第3・4・5・7話は単独出演です。残る3話は他の魔法少女と共演している話ですが、いずれも彼女が中心に描かれています。
このシリーズの主役は、題名にある通り、鹿目まどかです。また、他にシリーズ全話に登場しているのは暁美ほむらです。
にも関わらず、なぜ、このようにシリーズの過半数が美樹さやかで始まるのでしょうか。実際、自分もこれに気付いた時は不思議に思いました。
そこで、いろいろ考えた結果、ある仮説が頭に浮かびました。
映画版「叛逆の物語」を含めたシリーズ全体をを見れば、この作品は「魔法少女になれば、必ず別れの末路が待っているという鹿目まどかと、その運命を変えようとする暁美ほむらの話」です
一方で、TVシリーズにでは、その壮大な世界観の中における一つの逸話であった、「鹿目まどかが最後に『魔法少女』となった時空における、見滝原市での魔法少女たちの物語を描いています。
そこには、五人の魔法少女が出ています。ただ、その中で、魔法少女の本来の宿命である、「願いを持つ」→「魔法少女になって願いを叶える」→「魔女と闘う」→「ソウルジェムが濁る」→「魔女と化し、魔法少女に倒される」という一連の過程を描かれたのは、美樹さやかだけです。
魔法少女と魔女の存在を知ったのは鹿目まどかと一緒でした。
しかし、「願いを叶えるから魔法少女に」と言われた時、自分の願いが浮かび、それと魔法少女になる事の葛藤をして魔法少女になったのは、当初の時点では美樹さやかだけでした。
そして、魔法少女になる儀式が最も詳しく描かれたのも彼女です。
さらに、魔法少女の正体を明かす描写も、彼女を使って行われます。そして、ソウルジェムが濁っていく様子、それに伴う精神の疲弊、その結果、最後には絶望して魔女になる、という流れも彼女を通じて描かれています。
シリーズ全体では、鹿目まどかと暁美ほむらによる、「魔法少女システム」との闘いが壮大な主題となっています。
同時に、それに内包される形で、美樹さやかを「主役」にした、ある一人の少女が、願いを持ち、魔法少女になり、苦悩し、魔女となり、消滅する物語があったわけです。それを、彼女の心の移り変わりを軸に、克明に描かれてたわけです。
その結果、シリーズ中盤での各話が、美樹さやかの描写から始まる、という結果になったのでしょう。
あらためて、この作品の持つ奥深さを感じさせられました。
蛇足ですが、別に筆者は、「魔法少女まどか☆マギカ」の真の主役は美樹さやかだ、などと主張したいわけではありません。
アバンの過半数が美樹さやかで始まっている事に気づき、その理由として考えだした一つの仮説を提示したかった、というのがこの記事の目的です。
あと、この「魔法少女まどか☆マギカ」の凄い所は、巴マミ・佐倉杏子を含めた五人の魔法少女が、いずれも主人公クラスのキャラづくりをされているところだと放映時からずっと思っています。
※以下は、極めて私的な余談です。
この「魔法少女まどか☆マギカ」は、2011年の1月から3月にかけ放映されました。その頃、弟の部屋に飲みに行くたびに、毎回、この作品の面白さを熱く語られ、視聴を勧められたものでした。
自分は当初、「自分向きではなさそう」と思って視聴をためらっていたのですが、弟の熱い語りと、そこで聞かされる話の謎が気になり、第9話から見始めました。
その後、弟が録画していた第1話-第8話、およびネットで先行放送していたものの、震災のために関東のTVでは未放映のままだった第10話を見て、すっかりこの作品にハマりました。
その結果、4月に行われた第10話-最終回までの深夜一挙放送は、翌日に有給を取って、生で見たものでした。
そして、BDを購入し、見返している間に、この「アバンにおける美樹さやかの登場率が高い」という事に気づき、飲みの時に弟と話しました。
すると、弟は驚き、「確かに。それはすごい発見だ。ぜひブログに書くべきだ」と言ってくれました。
アニメに全般おいては、自分より弟のほうが、視聴歴・視聴作品数も圧倒的に上です。したがって、プリキュア以外のアニメにおいて、自分の話で弟が感心する、という事はほとんどありませんでした。
それだけに、こう言われた時は嬉しく思い、そして何とかブログに書かねば、と思ったものでした。
しかし、「ではなぜアバンがいつも美樹さやかなのか」という事について考えがまとまらず、ついにここまで時間がかかってしまいました。
もし弟が本記事を読めば、これをたたき台にした「魔法少女まどか☆マギカ」論で盛り上がる、楽しい飲み会が開催できたことでしょう。それだけに、弟が生きている間に、このブログを発表できなかった事が残念でなりません。