Princess第5話

 前回、プリキュアに初変身したものの、仕事優先を理由に「引退宣言」した天ノ川きららが、春野はるかと一日一緒に過ごした事がきっかけで、プリキュアとして闘うことを決意した話でした。
 変身までしておきながら一度断り、しかも次の話で結局仲間になる、という展開だと知った時は、ちょっと安直なのでは、と思ったりもしました。
 しかしながら、天ノ川きららと春野はるか、さらには脇に回る形になった海藤みなみの描き方が非常に良く、「なるほど。これを描きたいために、一度断らせたのか」と納得させられました。

 冒頭での天ノ川きららの心境は、「自分の忙しさも知らずに、プリキュアになってくれと頼むなんて」という感じでした。
 そして、それを知らしめるために、春野はるかを自分の仕事に同行させるのですが、そこで見せる、春野はるかの言動により、考え方が変わります。
 話の中で、一度だけ「プリキュア」が出てくるのですが、それは、ファッションのオーディションでダメ出しをされて、天ノ川きららが悩む場面でした。
 その天ノ川きららを後ろから見ていた、春野はるかには、キュアトゥインクルの姿が重なって見えました。
 その感想からアドバイスをし、それを聞いた天ノ川きららは、キュアトゥインクルをイメージした服と星の飾りで二度目のオーディションを行い、審査員のデザイナー・ボロロ=ボアンヌに認められました。
 このように、プリキュアの設定を使いながら、一方で、春野はるかはプリキュアの勧誘は同行中に一切しません。
 このあたりの描きかたが非常に面白く、天ノ川きららが認識を改めた理由が、自然と伝わってきました。
 結局、一日過ごしたあと、天ノ川きららのほうから、プリキュアの話をする形になります。そのときに「プリキュアになってほしいけれど、それより夢を応援したい」と言ったのにも感心させられました。
 しかも、それは作戦でも何でもなく、向こうから振られれば、率直に本音を言うわけです。春野はるかというキャラの特徴を、非常にうまく描いていると思いました。
 あと、この一連のしごとの中で、天ノ川きららのプロ意識の一端として、「自分の写りがよくても、服の映りが悪い写真にダメ出しをし、その理由を自分のポージングだとする」という逸話を入れたのにも感心させられました。

 その結果、目的通り、忙しさを体験させてプリキュアを諦めさせる、という作戦に成功したはずの天ノ川きららのほうが、かえって落ち着かなくなります。
 そして、翌朝、春野はるかと会話をするのですが、昨日までとは雰囲気が一変し、「会えて嬉しい」という感情がにじみ出ています。
 その会話が、海藤みなみによって中断させられた事により、今度は、二人と自分の位置関係が気になりだす、というのも興味ふかい展開でした。
 そして、バレエのレッスンをしている二人の会話を廊下で聞きながら微妙な表情を見せ、ついには直接、海藤みなみに、春野はるかについて話しかけます。
 そして、そこで春野はるかに対する認識が同じだと知ると、今度は海藤みなみに親しみを感じ、「みなみん」と呼びかけます。
 先輩相手にこのような言い方をし、かつ親しみを示すのも、天ノ川きらら独特の個性を感じ、面白いと思いました。

 そして、闘いが起きる中、オーディションの合格通知を電話で受けると、一目散に闘いの起きた場所に向かいます。
 この、「合格の喜びを真っ先に伝えたかったのが春野はるかだったから、プリキュアとして戦い続ける事を決意した」という描き方も巧いと思いました。
 闘いのあと、改めて一緒にやっていく宣言をします。そこで、春野はるかの反応の遅さに、不安と不満を交えたような態度を取ったのも彼女の心境がよく伝わってきました。
 そして、改めて海藤みなみを「みなみん」と呼び、それがきっかけで、春野はるかも、「みなみさん」と呼ぶようになりました。
 ここでの、春野はるかと、海藤みなみの、羨ましがったり、戸惑ったり、照れたり、意を決したりするような一連の表情が非常に豊かで、楽しめました。
 というわけで、無事三人のプリンセスプリキュアが揃う、という所で話は終わりました。

 本題の、天ノ川きららと春野はるか並びに、そこにうまく関わる海藤みなみの描写はもちろん楽しめました。
 他にも、猫ともども、日英仏の三ヶ国語をおりまぜながら奇妙な言動を取る、世界的デザイナーのボロロ=ボアンヌのような脇役の描き方にも、印象に残る所が多々ありました。
 次回は、新キャラクター・ミス=シャムールが登場します。
 三人のプリキュアが揃う「序章」がいよいよ終わり、本題へ入るわけです。どのような展開になるか、楽しみです。