あかねと、イギリスから来た交換留学生「ブライアン」との淡い恋愛を描いた話でした。「あかねの恋心」よりは、それを取り巻く四人との描写のほうが印象に残りました。
話の半分は、あかねとブライアンの交流について描かれていました。この部分については、あまり印象に残りませんでした。
その理由として、その二人の描写が、ありがちな「ラブストーリー」だった事と、ブライアンというキャラのどこに、あかねが惹かれたのかが今ひとつわからなかった事が挙げられます。
とにかく、冒頭の「出会い」である、「土手の上で、あかねが『シャドウバレーボール』をしている際に足を滑らせて転げ落ち、そこを偶然散歩していたブライアンが助け起こす、という描写から、かなり不自然さがありました。
それがきっかけとなり、あかねは佐々木先生に「ブライアン係」とも言うべき役割になり、放課後をはじめ、ずっと一緒に過ごす事になります。
さらに、夜に商店街を歩いていると、これまた偶然、美味しい日本食を探しているブライアンと出会い、ならばと自分の店に連れて行って、お好み焼きを食べさせる、という展開になります。
このあたりも、四六時中一緒にいたにも関わらず、お好み焼きの話をしなかったのだろうか、とひっかかりました。
というわけで、「あかねの初恋人生」そのものの描写は、あまり楽しめませんでした。しかしながら、それを取り巻く四人並びに、あかねとの掛け合いについては、大変面白かったと思いました。
まず、ふしぎ図書館で、あかねがブライアンの話をしているところでの、やよいの描写です。なおと、れいかが普通に聞いている中、椅子に座らず、後ろにから、背もたれのところに顔だけ出す、という不思議な体制と表情で、あかねに「最近、ブライアンの事しか話してないね」と言って、「恋心」を指摘します。
その奇妙な体制・目付きおよび、一番最初にそれに気づいたのが、やよいだった、というのが、たまに見せる、彼女の鋭さをうまく描いていると思いました。
また、それをきっかけに、あかねを四人が「詰問」する描写も、それぞれの表情が面白く、かつ修学旅行の夜の表情と上手くリンクしており、楽しめました。
それから、「告白支援」となるわけですが、ここでも四人四様が楽しめました。まず、みゆきの「何の役にも立たなそうで、やはり役に立たなかった『シンデレラ作戦』で、脱力させられます。
さらに、「告白の手本を見せる」と言いながら、逆に自分が照れてしまうという、なおの描写も上手いと思いました。そして、やよいの「漫画ラブレター作戦」については、あかねの絵の下手さよりも、「大丈夫」という台詞しか描けない、という、あかねの心境描写が印象に残りました。
そして、れいかですが、「ラブレター」に縦書きの和風便箋を用意する、という、これまた彼女ならではの、真面目さ並びにズレた所が、わかりやすく描けていたと思いました。
その後の戦闘においても、デコルによって発生した竹刀を、あかねが指を鳴らして炎をまとわせ、それで闘う、という描き方が非常に印象に残りました。しばらく前から始まった、「デコルを闘いに使う」はあまり上手くいっていないのでは、と思っていましたが、今回は見事に活用していました。
そして、クライマックスである、あかねが空港に行く場面も大変上手く描かれていました。まず、空港行きのバスに乗りそびれそうになった、あかねを、なおが全力疾走で呼び止めます。さらに、バス代のない、あかねに、れいかがこれまた頑張って走り、財布を貸します。
夏祭りの際、残りの金額を確認したら、あかねが20円しか持っていない、という逸話がありました。それと上手くからめての、「あかねは所持金が少ない」という事を、れいかが知っていた、という事なのでしょう。
さらに、渋滞で引っかかると、そこに自転車で来た、みゆきと、やよいが待っています。みゆきは自転車を貸し、やよいは得意の描画力で作った自転車用近道地図を渡します。
このあたりの連携プレーもとても上手いと思いました。
そして、その自転車で、あかねは空港に向かうのですが、途中、自転車を壊してしまいます。仕方なく、乗り捨てるのですが、そこで「ごめん、みゆき」と言ったのも、彼女の「らしさ」が非常によく描かれていたと思いました。
毎度の事ですが、このような形で、五人の協力を描くと、各キャラが本当に輝くと思います。
というわけで、メインの部分については、今ひとつしっくりしませんでしたが、その二つの場面のおかげで、十二分に楽しめる話になりました。
また、今回は絵のほうも非常に印象に残りました。メインとなった、あかねの表情や、先述した、ふしぎ図書館での、やよいの描写はもちろんですが、他の部分でも、非常に質が高かったと思いました。空と雲の描写という細かいところまで、とても美しく描かれていたと思いました。
次回は、れいかメインの生徒会選挙話です。なんと、三幹部が中学生に化けて、生徒会長に立候補する、というこれまた、前回同様、異例極まりない話になりそうです。
三幹部がどんな事をやってくるのか、そして、れいかがどのような「選挙運動」を見せるか、など、いろいろと興味深い話になりそうです。