映画プリキュアオールスターズNewStage

 三年続いた「オールスターズDX」が、今年から「NewStage」となりました。その映画を見てきました。
 冒頭、横浜で大集合したプリキュアがフュージョンを倒すところからはじまります。ただ、三年前の闘いの回想、というわけではなさそうです。あれ以降もちょくちょくフュージョンは復活していたのでしょうか。
 それをTVで見てプリキュアに憧れた少女・坂上あゆみが、道端で倒されたフュージョンの破片を拾い、それに「フーちゃん」と名付けて友だちになる、というのが話の主題でした。

 ちなみに、フュージョンは分裂しても一定以上の大きさがあれば、それぞれ意思を持ったり会話ができる、という設定のようです。
 昨年のDX3で、フュージョンは究極のラスボス「ブラックホール」が創りだした悪意の塊、みたいな設定が語られていました。しかし、今回の設定を見るかぎり、人類の敵は人類の敵でも、人間の天敵として作られた寄生生物の一種なのでは、などと思いました。
 一方、そのフュージョンの欠片を追って、スマイルプリキュアを初めとする、歴代プリキュアも横浜に来ていました。
 そこで、みゆきと、響が、坂上あゆみにそれぞれ偶然ぶつかった事から、三人が出会う、という展開になります。
 その坂上あゆみですが、横浜に転校してきたばかりで、学校にも近所にも馴染めません。そして、母親に八つ当たりしたりします。
 すると、「フーちゃん」そのマイナス感情を実現ようとし、吠えかかる犬や母親を吸収し、その力で大きくなります。そしてフュージョンとして復活しようとし、ビルの上で破壊の意思を発信します。それに呼応した他の欠片が集まって暴れだし、プリキュアとの闘いが始まります。
 一方、坂上あゆみは、「フーちゃん」の身を案じ、プリキュア達の助けを借りて、ビルの上に向かいます。その途中で、彼女も謎の光に包まれ、「キュアエコー」に変身し、「フーちゃん」と再会して誤解を解き、横浜は再び平和に戻ります。また、この経験を通じて人間的成長をした坂上あゆみも明るく新たなクラスにとけこめた、という話でした。

 この映画で一番面白かったのは、TVではまだ描かれていない、スマイルプリキュア達の闘いや会話でした。
 TVでの戦闘シーンは、ほとんどが必殺技の発動で占められています。しかし、今回は、格闘アクションやチームプレー描写がふんだんに描かれていました。
 特に、特に、なお達が打撃でダメージを与え、れいかが逆方向から必殺技を放つ、というなど、過去にもあまり見たことのない、華麗な連携がありました。今後、これをTVでもぜひ見たいものです。
 続いて印象になったのは、やよいが坂上あゆみに「自分も最初は怖かった」と言った後の会話でした。ここは、この作品のメッセージである「女の子は誰でもプリキュアになれる」にあたる場面です。
 そして、「みんな、普通の女の子だった」と聞いた坂上あゆみが驚くわけですが、その直後、あかねが「なおは『おかん』やけどな」とギャグを言います。それに、なおが反発し、れいかが仲裁(?)するという会話の流れが絶妙でした。
 現在、テレビでの掛け合いは、ほとんど一対一です。しかし、今後はこのような複数人数による絶妙な会話も増えるのでしょう。これまた今後が楽しみになりました。
 あと、えりかの存在感については、衝撃に近いものがありました。今回、ハートキャッチ組とフレッシュ組は台詞こそあるものの、現れて変身して闘うだけ、という感じの位置づけです。
 ところが、その登場シーンからして、彼女は違います。周りの三人が普通の表情のなか、一人だけ変顔をしていました。さらに、変身後も、普通の人が振り返りながら走るところ、彼女は一人だけ後ろ向きに走っています。あれだけの出番でそれだけ特徴的な描かれ方をするのですから、作り手に相当愛されているのでしょう。
 あと、ハートキャッチ組を見た時の、フレッシュ組の反応も面白いと思いました。本来なら、彼女たちが先輩のはずですが、完全に敬語で接しています。これは、ゆりの存在感の強さなのだろうな、と思いました。
 あと、スイート組ですが、重要な台詞をアコが言ったあたり、このチームの人間関係が見えて面白いと思いました。あと、響の言葉を聞いて照れる奏の描写は楽しめました。
 フレッシュ組は、ほとんど台詞がありませんでした。せっかく声優さんをアサインしているのですからもう少し会話があっても良かったのでは、と思いました。
 例えば「フーちゃん」の元へ行こうとする坂上あゆみに対し、美希が心を鬼にして「『フーちゃん』は最初から存在しなかった」と言って止めようとする場面があっても良かったのでは、と思いました。
 というわけで、個々の描写については、かなり楽しめました。しかしながら、話全体についての満足度は、あまり高くありませんでした。というわけで、以下の部分については、この映画を文句なく楽しめた方は、読まない事をお勧めします。

 今回、プリキュアは三つにグループ化されていました。主演クラスがスマイル・スイート、チョイ役クラスがハートキャッチ・フレッシュで、それ以前のプリキュアは台詞もない「戦闘員兼EDダンス要員」でしかありませんでした。
 確かに、28人ものプリキュアを動かすのは無理です。したがって、動かすキャラを限定するのは当然の事だと思います。ならば、「5」以前のプリキュアは出さなくても良かったのではないでしょうか。
 率直に言って、この扱いは「客寄せパンダのモブキャラ」です。これでは、なぎさ・ほのか・ひかり・咲・舞・のぞみ・りん・うらら・こまち・かれん・くるみに失礼だと思いました。
 あと、本作の「主役」である、坂上あゆみの描写ですが、かなりキャラ作りが粗いのでは、と思いました。
 彼女の描写で唯一、印象に残った描写が、母親が「フーちゃん」に吸収された時の反応でした。普通の人間なら、母親の心配をするところですが、彼女は「フーちゃん」がおかしくなった事ばかり心配しています。
 「フーちゃん」に影響されてフュージョンの冷酷さが伝染したのか、それとも、もともとそのような性格なのか、気になりました。
 それ以外は、ひたすらテンプレートみたいな「友情物語」に終始していました。もしかして作り手が、とりあえずプリキュア28人出せば客は来るから、オリキャラは適当に描いとけばいい、と考えていたのでは、と思ったほどでした。
 というわけで、面白い所は多々あったものの、話の本筋および初期キャラの扱いについては、かなり違和感があった話でした。来年のオールスターは、違う形の構成にしてほしいもだと思いました。

「映画プリキュアオールスターズNewStage」への4件のフィードバック

  1. 他のブロガーさん達がNSの、「5」以前のプリキュアに対する扱いの関することを誤魔化しているのに対しここではハッキリ批判しているのですね。
    枯れヲタさんみたいにそこのところ率直に言ってくれる人が多ければいいのですが。

  2. 他のブロガーさん達がNSの、「5」以前のプリキュアに対する扱いの関することを誤魔化しているのに対しここではハッキリ批判しているのですね。
    枯れヲタさんみたいにそこのところ率直に言ってくれる人が多ければいいのですが。

  3. お初にお目にかかります。私はハートキャッチ以降プリキュアを視聴しているにわかの者ですが,こちらのブログでのご意見を非常に参考にさせてもらってます。
    ニューステージの感想とは直接関係のないコメントとなってしまいますが、お目汚しお許しください。
    1話ごとにわかりやすくあらすじと感想がまとめられていて、拝見して気持ちのいいレビューの一つと認識しております。時折「このキャラクターはこうあるべき」「この設定はこう扱うべき」など考えが固いと思う時もありますが、この点は製作スタッフにも問題はありますし、それだけ枯れオタ様がプリキュアという作品に熱意を向けている故だとお見受けします。
    今回のNSを含め、プリキュアシリーズは毎年賛否分かれる形で変化しております。ですが今後もメジャー(或いはマニア)受けに固執するあまり本質を見失うことなく、枯れオタ様のような熱心な方々が報われる作品であってくれることを陰ながら応援しております。

  4. お初にお目にかかります。私はハートキャッチ以降プリキュアを視聴しているにわかの者ですが,こちらのブログでのご意見を非常に参考にさせてもらってます。
    ニューステージの感想とは直接関係のないコメントとなってしまいますが、お目汚しお許しください。
    1話ごとにわかりやすくあらすじと感想がまとめられていて、拝見して気持ちのいいレビューの一つと認識しております。時折「このキャラクターはこうあるべき」「この設定はこう扱うべき」など考えが固いと思う時もありますが、この点は製作スタッフにも問題はありますし、それだけ枯れオタ様がプリキュアという作品に熱意を向けている故だとお見受けします。
    今回のNSを含め、プリキュアシリーズは毎年賛否分かれる形で変化しております。ですが今後もメジャー(或いはマニア)受けに固執するあまり本質を見失うことなく、枯れオタ様のような熱心な方々が報われる作品であってくれることを陰ながら応援しております。

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