朝の北条家から始まります。ハミィに目覚ましを止めさせて「二度寝って本当に最高」などと、響は言っています。彼女も歴代主人公の伝統である「朝に弱い」を受け継いでいるようです。
しかし、直後に家中に響くクラシックで起こされました。音源は、父親である団で、朝から指揮の練習をしているようです。
そして彼は、世界的音楽家かつ響の通う学校の音楽教師、という設定でした。
確かに、シューベルトのように教員をやりながら作曲をした世界的音楽家もいます。しかし、この現代にその設定は少々無理があるのでは、と思いました。
それはともかく、朝の大音響については、以前から響は抗議しており、再度その事を言います。それに対し、団はヘッドホンをつけている、と答えますが、頭にかけているものの、コードを抜けていました。
響に怒られた時はうっかりみたいな事を言っていましたが、世界的音楽家がそのような聞き間違いをするとは思えません。分かっていてやっていたのでしょう。
食事をしながらも指揮棒を振っている団に見送られ、響は学校に向かいます。途中の街中では、楽団が出てくるからくり時計や・ハーモニカを吹きながら学校に通う子ども・平日の朝にも関わらずパレードする鼓笛隊などが出てきます。
ハミィは人々が音楽に親しんでいる事を喜びますが、響は辟易した表情をしています。それにしても、この加音町における音楽の徹底ぶりは凄いと思いました。「音楽振興特区」にでもなっているのでしょうか。
そんな中、響は突然、先輩である王子正宗に呼び止められます。それを見た、周りの女の子たちは大騒ぎしています。典型的な「学園のアイドル」キャラのようです。その会話の中から、団が教師かつ王子が率いる演奏チーム「王子隊」の指導者であり、王子が団を心底尊敬している事が明かされました。
しかしながら、音楽嫌いの響は、冷たく王子によるこの日行われるコンサートの誘いを断りました。後から、奏が王子先輩と話せるなんていうらやましい、などと言いますが、「先輩が好きなんだ」とからかってあしらいます。
ところが、その後、学校から王子隊の演奏が聞こえると、嬉しそうに目を輝かせます。しかしながら、それを見抜いた奏に連れられて音楽室に行き、そこで厳しい指導をしている団を見たら、即座に表情が曇っていました。
放課後、団に頼まれた、奏は、再びコンサートに響を誘いますが、当然ながら断られ、響は先に帰りました。
一方、エレンとトリオ・ザ・マイナーは、先ほど出てきたからくり時計台をアジトにしていました。そして、時報代わりに流れる音楽を聞くと、四人は「明るい音楽だけはどうにかして欲しい」と耳を押さえてのたうちまわります。
トリオはともかく、元メイジャーランドの歌姫であったエレンまでが、というのは奇妙に思いました。マイナーランドへ移籍の際に音感改造手術でも受けたのでしょうか。
一方、奏はケーキを持って、響の家に行きます。しかし、部屋の扉が壊れて開かなくなり、扉ごしの会話になります。
その会話から、小学三年まで響はピアノが得意で、奏もその演奏が好きだった事。ところがある日、団と遊園地へ行く約束をしていた日に、急に代役で響が演奏させられ、ミスなしで終えたものの、それを団に「音楽を奏でていない」と言われ、それがきっかけでピアノが弾かなく(弾けなく?)なった事が明かされました。
ピアノを辞めたわけを知った奏ですが、その理由を理解するためにも、と重ねて説得しします。最初は相手にしていなかった響ですが、その熱意が通じ、コンサートに行く決心をします。そして、本番前の楽屋に入りますが、そこでも、王子の演奏に対し、団はかつて響に言ったのと同様に「音楽を奏でていない」と批評していました。理由を尋ねられても、後ろで怒っている響を無視して、「自分で考えなさい」と答えていました。
そして、開始時刻となりますが、そこにエレンが乱入し、止めようとした団を突き飛ばします。さらに、チェロに乗っていた青い音符をつかまえ、ネガトーン化しました。
ネガトーンが発する悲しい音楽を聞いた聴衆は泣き始め、舞台にいる演奏メンバーは気絶します。そこで、二人は変身しますが、ネガトーンの力が強く、あっさり壁に叩きつけられました。
すると、そこに団が「君、やめなさい」と言って立ちはだかります。皆が気絶している中、なぜ動けるのかセイレーンはいぶかりますが、彼はネガトーンが発するような「美しくない音楽」は最初から耳に入らない体質で、そのため攻撃が効かなかったとのことでした。
という事は、あの状況からすると、団は二人の変身を見ているはずです。少々不思議に思いましたが、まあ、演奏会という事で「音楽専念モード」に入っており、娘が変身した事すら視界に入っていなかった、と思うことにしました。
そして、ネガトーンに対し、「君は音楽を奏でていない」と本話において三度目の説教をします。それを聞いた響が、「ネガトーンにまで言っている」と呆れる中、「音楽とは『音を楽しむ』もの。君の音楽は楽しんでいない」と説教をします。これが、5年前の響や、先程の王子に言いたかった事のようです。
続いて、「これが本物の音楽です!」と言ってピアノで弾くと、ネガトーンをはじめとするマイナー勢は苦しみ始めます。
一方、5年前のトラウマが解消された響は元気を取り戻し、それを聞いた奏も「メロディが元気だと、私も力が湧いてきた」と言います。そして、ネガトーンを投げ飛ばした後、パッショナーハーモニーで勝利しました。
そしてコンサートが再開されます。5年前の誤解が解決した響は、隣にいる奏に「私、もう一度音楽と向きなおえるかもしれない」語ります。しかしながら、奏は寝ており、それを見た響が笑うところで話は終わりました。
響メインかと思いきや、団メインの話でした。冒頭からの日常部分のみならず、戦闘でも彼が最大の功労者でした。そして、そのキャラクターの強烈さは桁違いです。
なにしろ、怪物が暴れているというのに、平然と娘に対するのと同じ「説教」をしたうえに、あの修羅場で、心底楽しみながら演奏を始めるのです。並の「世界的な音楽家」とは数光年ほど離れているように思えました。
序盤からここまで「一般人」が存在感を出すのは、シリーズを通じて始めてでしょう。さらに、その天才ぶりのみならず、まだ10歳である娘にも厳しく指導し、それがきっかけで音楽を辞めても対処しない、という言動には驚かされました。
演奏家としてはともかく、指導者としては「悪い例の見本」を言わざるを得ません。それも含め、彼の突き抜けぶりには圧倒されました。
現在、公式サイトの敵キャラ紹介文を見ると、メフィスト以下全員が「しかし、実は・・・」で終わっています。つまり、メフィストより格上である「真の敵」が存在している事を示唆しているわけです。当初、王子がそれの依りしろになるのか、と思っていたのですが、もしかしたら、団がその役回りになるのでは、と思ったほどでした。
というわけで、本筋のほうは、団の独擅場といった感じでした。ただ、各所で見ることができた、響と奏がよく描かれており、こちらのほうは、色々と楽しむことができました。
主要部分である、二人で同時に取手をつかんだら、壊れていた扉が開いた、という場面および、そこに至るまでの扉越しの会話は巧いと思いました。特に、奏が「本音を言うと」と開き直って響を説得した場面・回想での、雨の中で落ち込んでいる響を自らも雨に打たれながら元気づけた場面・響が団の真意を知って元気を取り戻した場面は特に印象に残りました。
あと、序盤で、ちょっとした響の表情の変化を見逃さずに、音楽室へ連れて言った、奏の感性の描き方なども巧いと思いました。
また、扉が空いたら、真っ先に奏のケーキを食べた響の喜びっぷりも楽しめました。ただ、そろそろ「クリームを顔につける癖」は直さないと、視ている子供たちに悪影響を及ぼさないか、と気になりましたが・・・。
あと、オチで演奏を聞きながら、奏が寝てしまいました。その寝顔がまた可愛いく描けているのですが、これをギャグみたいに扱ったのは少々疑問が残りました。どうせなら、響が「私のために頑張ってくれて疲れたんだね」と好意的に解釈するような締めのほうが良かったのでは、と思いました。
次回は、奏のケーキ作りの話です。セイレーンに騙されて変なケーキを作っていしまう奏を響が止める、という展開のようです。そのあたりを通じて、二人の良さが描かれる話になることを期待しています。