映画「フレッシュプリキュア」-おもちゃの国

 冒頭は、「映画プリキュア」恒例となった「ミラクルライトの使用説明」から始まりました。タルト・シフォン・カオルちゃんのかけあいは、さほど面白いとは思わず、このあたりでは「早く本編に入ればいいのに」などと思っていました。
 しかしながら、続いて出てきた「観客席」で、西隼人が出てきたのには驚きました。二つ隣には、四つ葉中の女子生徒がいたのですが、あれは制服を着たせつななのだろうか、などとも思いました。また、ミラクルライトを振る一団の中には、南瞬もいました。
 考えてみれば、「5」では小々田とナッツという「イケメンコンビ」がこの仕事をしていたわけです。ならば、この仕事は「フレッシュ」を代表する「イケメンコンビ」である、ウエスターとサウラーにやらせれば、などと思いました。

 さて、本編全体の感想ですが、部分部分では面白かったり興味深い描写がありましたが、肝心の筋立て自体は今ひとつというのが率直な感想でした。ただ、考えようによってはかなり深いのかも、とも思いました。
 というわけで、面白かったところ・残念だったところ・考え過ぎかもしれないところ、の順で書いていきます。
 一番面白かったところは、中盤に出てくる、「四人がそれぞれ異世界で『悪の玩具』と闘う、という場面での、せつなと祈里の闘いでした。
 せつなは、チェスの駒が変身した、16体の鎧武者と闘います。他の三人が一対一の闘いをしている事を考えれば、かなり辛い状況と言えるでしょう。ところが、最初はカジノの女ディーラーみたいな姿で逃げていたものの、変身した後は局面は一転し、あっという間に15体の鎧武者をやっつけます。
 そして、唯一残った「キング」が強大な武器を手にして挑んでくるのですが、アカルンの力なのか瞬間移動を繰り返し、攻撃はかすりすらしません。
 さらに、国家錬金術師みたいな技を使って地面を隆起させ、「キング」を見下ろします。この時の「上から目線」はイースを彷彿させるものでした。そして、「キング」を倒した後は、冷徹に「チェックメイト」と言い放ちます。
 このあたりの、四人が分かれて闘う場面で、他の三人は普通の格闘技しか使いませんでした、ところが、せつなだけは短距離ワープに国家錬金術と、本邦初公開の技を使いまくっています。
 もしかして、これがせつなの「本気」なのでしょうか。普段のTVでは、周りの三人にあわせて、力をセーブしているのでは、と思ったほどでした。いずれにせよ、久しぶりに、イースを彷彿させるような姿が見れたのは嬉しいことでした。
 一方、祈里ですが、まず鎧兜を身にまとって、巨大な剣を持った姿で異世界に飛ばされます。しかし、剣を見た瞬間に驚いて手放し、さらにそこから恐竜型玩具に襲われるのですが、すぐに兜を捨てます。
 そして変身後も技を使わず、恐竜型玩具が異常な動きをすることを気にします。そして、膝に棘が刺さっていた事に気づき、それを抜いてあげることにより、恐竜型玩具を無力化しました。
 この、攻撃でなく、癒すことによって闘いを終わらせる、というのは驚くと同時に、祈里らしさを上手く表現していると思いました。

 一方、残念だった部分ですが、まずは序盤に行なわれたパジャマパーティの描写がありました。ここで、四人は料理を作ったりまくら投げをしたりと、楽しくすごします。ところが一方で、トイ魔神の計画が発動し、玩具を奪われた子供達が嘆き悲しむ場面が交互に描かれます。これでは、傍から見ると、悪の計画が発動して子供達が苦しんでいるのを気付かず、四人が脳天気に遊んでいる、というように思えてしまいます。
 この二つを交互に描く必要があるとは思えません。パジャマパーティの部分は、それに絞って描写し、それが一段落してから玩具消滅事件が始まる、という展開のほうが良かったのに、と思いました。
 あと、戦闘シーンで、ラブを除く三人が技を発動させますが、ラブはトイ魔神に取り込まれているウサピョンを案じて技が出せない、という場面があります。ここで美希がラブを平手打ちし、「いまの貴女は桃園ラブでなくて、キュアピーチなのよ」という場面があります。
 この台詞にはかなりの違和感がありました。励ますだけなら、「ここまで案内してくれたウサピョンがトイ魔神に従うわけない」くらいでいいでしょう。ここで、桃園ラブとしての心を捨てるようにうながす必要がなぜあるのか分かりません。
 また、その一方で、今回は変身後もほとんど、互いに本名で呼んでいました。それ自体はいいと思いますが、その結果、より一層その発言に不自然さを感じさせられました。
 あと、最終決戦ですが、昨年に続いて、「主人公だけがスーパー化し、他は傍観」でした。派手に演出できる上に、キャラデザも一人だけですむから経済的な手法だとは思います。しかしながら、「劇場に来ているみんな」の力まで借りているのに、肝心のプリキュアが三人並んで見物、というのはいかがなものかと思いました。
 普通に、四方からの必殺技照射で一度倒すも、トイ魔神が人形を集めて強大化して最終決戦となり、それを「ミラクルライトの力を借りてのグランドフィナーレ」で倒す、で良かったのでは、と思いました。

 さて、今回の話には、「玩具を大切にしてほしい」というメッセージが前面に出ていました。それ自体は普遍的な道徳観なわけですが、商業的な事を考えると、不思議さも感じました。
 この作品では「古い玩具も大切に使う」というメッセージを発し、ミラクルライトの場面で、子供達にそれを促しています。子供達に作品に参加している気分にさせる、という事を考えればかなり上手い演出と言えるでしょう。
 ところがその一方で、TV広告を見ればプリキュア関連の玩具は立て続けに出ます。それを買い続けていれば、やがて以前の玩具は使われなくなってしまいます。言い換えれば、古い玩具を大切に使い続けていれば、その分新作は売れません。
 スポンサー筋としては、古い玩具がどうなろうと、新作が売れればいいわけです。その意図に反するメッセージを作品で発した、という事に驚かされました。
 作る側は常にスポンサーの意向を受け、作品の中に販促を入れる必要があります。特に、ここ数回のTVは思い切り「箱」の宣伝に力を入れています。そのような制約に対する制作側の反発が含まれたメッセージなのか、などと「深さ」を感じ、別の意味で考えさせられました。
 あと、小ネタですが、翌日のフリーマーケットの話をしているとき、売る物を尋ねられた、せつなが「占いの道具くらいかしら」と言い、「売る」と「うらない」をひっかけたギャグが展開される、という所がありました。
 ギャグ自体は特に面白いとも思いませんでした。しかし、せつなが占いの道具をどうやって持ってきたのだろうか、というのが気になりました。ラブとの決闘の時に持ち出したとは思えません。ということは、一度占いの館に忍び込んで回収したのでしょうか。もしかして、せつなが桃園家に転居したあと、ウエスターあたりが荷物一式を送ってあげたのかな、などとも思いました。

 というわけで、色々と面白かったり印象に残った場面がありました。それだけに、導入部の「子供達が嘆き悲しむ中で行なわれるパジャマパーティ」や、「最終決戦を傍観する三人」などといった描写がより残念に思えました。
 さて、春には「オールスターDX」の第二弾が上映されるとのことです。まあ、前回で大儲けしただけに、当然とも言えるでしょう。前回は、ほとんどアクションで終わりましたが、次回はもっとそれ以外の部分も描いてもらいたいと思っています。

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