2003年春の「また、いつか」から19年経ち、ついに「東京ミュウミュウ」が再アニメ化されました。
一時期は「いつか」は永遠に来ないのだろうな、と思うようになっていました。
それだけに、実現した事は、本当に嬉しいことでした。
しかも、キャラクターデザインは、20年前の「神作監」こと石野聡さんでした。
当時から、「次やるならキャラデザは石野さんで」と思っていたので、これを知った時は本当に喜んだものでした。
そのような期待の中で始まった「にゅー」でしたが、大変興味深い話の作り方をしていました。
基本的な筋立ては、漫画・無印アニメと同じです。
全体的に変わった事といえば、中2の三人が高1になっていた事くらいでした。
しかし、その中で、藍沢みんとだけは、大幅に設定が変わっていました。
といっても、彼女の基本的な人となりは漫画・無印アニメと同じです。
しかしながら、ミュウプロジェクトの関わり方、将来に向けた言動が大きく変わっていました。
ある意味、一人だけ大幅にバージョンアップしていた、という感じです。
第1期全12話の中で、五人全員を大幅に変えてしまうと、漫画・無印アニメとのズレが生じてしまいます。
そう考えて、藍沢みんとだけを変えたのでしょうか。それとも、作り手に何らかの思い入れがあったのでしょうか。
いずれにせよ、この改変の結果、話が大幅に面白くなり、深みを増した事は間違いありません。
まず驚いたのは、第1話でした。いきなり、藍沢みんとが、桃宮いちごと同じ制服を着て現れたのです。
そこまで設定を変えるのか、と驚いたのですが、第2話で、桃宮いちごをミュウプロジェクトに入れるための「潜入」だと言うことが明かされていました。
彼女だけ、すでにミュウミュウになっており、他の四人をミュウミュウにするために動いていた、という設定だったのです。
確かに、漫画・無印アニメの、「偶然、レッドデータアニマル展周辺に、ミュウミュウの適正がある五人が集まって、そこで白金と赤坂がミュウプロジェクトを発動した」という設定は無理がありすぎました。
それを、藍沢みんとを事前にミュウプロジェクトに入れ、桃宮いちごをレッドデータアニマル展に行かせる、と設定した事により、その不自然さが解消されました。
また、その性格も、基本的なところはそのままに、かつて残念に思っていた部分が大きく改善されていました。
特に感心させられたのは、第5話でした。
前回、藤原ざくろさんに「ウザい」と言われて落ち込んでいるところから始まります。
漫画・無印アニメでは、そのショックで、カフェミュウミュウにおいて、花瓶でお茶をいれようとするなど、腑抜け状態になっていました。
ところが、「にゅー」での藍沢みんとは180度違って描かれていました。
普段は、働いている皆を横目にアフタヌーンティーをやっている(これは漫画・無印アニメも同じ)でした。
率直に言って、見ている時は、ここも漫画・無印アニメ同様、腑抜け状態を見せられるのかと思っていました。
ところが、このときだけは、テキパキ働く、完璧な「カフェミュウミュウ従業員」となっていたのです。
それだけに、この描写には心底驚き、嬉しく思いました。
生涯最大の挫折ともいう状況において、このような形で自分を保っている描写は本当に素晴らしいと思いました。
さらにそのあと、パジャマパーティ後に、三人に対して心境を語る場面があります。
「にゅー」独自設定である、「一人目のミュウミュウ」としての責任感や、藤原ざくろさんに憧れた経緯などを述べていました。
そして大喜びして仲間に迎えようとしたところ「ウザい」と言われたわけです。
その際、単に落ち込むだけでなく、これまでの憧れで自分が理解していなかった事に気づいた、という形で彼女の成長が描かれていました。
ここで感心したのは、そのときだけ、「ざくろお姉さま」でなく、「ざくろさん」と呼んでいた事でした。
本当に細かいところまで深く作り込まれていると感心したものでした。
また、藍沢みんとのバージョンアップに伴い、無印アニメで一話だけ登場キャラだった兄の誓司が準レギュラー化しました。
彼の役割は、本人が「妹への愛情」と意識しつつ、マウンティングをする、というものでした。
そして話の後半には、彼女が経営者を目指すために参加した若手経営者養成企画で行ったプレゼンが好評で、留学枠を獲得した、という展開になります。
その際、誓司は一方的に、留学を命じます。
しかし、闘いを通じてさらに成長した藍沢みんとは、それを断ることを決意するに至ります。
実は放映前、2022年なんだし、青山雅也による桃宮いちごへのマウンティング描写は大幅に修正されるのでは、と思っていました。
しかし、ある意味、それは「東京ミュウミュウ」の重大設定ですし、さらにそれがディープブルーにもつながっているわけです。
だからそこは変えずに、代わりに藍沢誓司を使って、「20年前は当たり前だったが、今では通用しない男性の女性へのマウンティングの異常さ」を描いたのだろうか、などと勝手に思っています。
あと、この藍沢みんとが本格的に経営者を目指すという設定ですが、かつて、自分が書いたミュウミュウ後日談二次創作で、「優秀な経営者になった藍沢みんと」を書いた事があるので、個人的にも嬉しいものがありました。
その藍沢みんととコンビを組む、藤原ざくろさんですが、なぜかバイクに乗るという設定が追加されていました。
今ひとつ、理由がわからなかったのですが、最後になって、藍沢みんとと待ち合わせて、彼女に水色のヘルメットを被らせて二人乗り、という描写がありました。
非常に心に残る名場面でした。
これをやりたくて、バイク設定を作ったのだろうか、と思っています。
また、最終話などで、二人のコンビ技が色々と見れたのも、本当に嬉しく思いました。
それ以外のキャラは、基本的に漫画・無印アニメをそのままリメイクしていました。
それもあって、碧川れたす・黄歩鈴・キッシュたち三人の影がちょっと薄くなっていました。
しかし、全12話で、そこに無印アニメでの28話分を詰め込まねばならなかったわけです。
それだけに、ある意味仕方なかったと思いました。
とはいえ、せめて第1期が全24話だったら、もっと、これらのキャラの良さが描かれただろうに、と思うと残念な気持ちもあります。
不満な点がなかったといえば嘘になります。
しかし、色々と限られた中で、このような素晴らしい作品を作ってくれた事は、本当に嬉しいことでした。
2023年から放映される第2期も、大いに期待しています。