「トロピカルージュ」第32話

 涼村さんごが、ひょんなことから、ファッションショーに出演する、という話でした。
 彼女の真面目な性格や、「かわいさ」への想いが描かれた話でした。
 ただ同時に、このシリーズの数少ない「弱点」とも言えるものが浮き彫りになった話だとも思いました。

 憧れのファッションショーに出れたものの、涼村さんごは転んだり、プロとの差を見て自信をなくしかけます。
 そんななか、今回のゲストキャラである、プロデューサーのコニーをはじめ、母親の涼村みゆき、そして他の出演者・裏方さんたちの熱意もあって無事成功します。
 そして、「この『かわいい』がいっぱいの場所にいられて本当に幸せ」という笑顔で話もきれいに終わります。

 というわけで、普通にいい話なのですが、「トロピカルージュプリキュア」として見ると、他の四人の影が薄すぎました。
 衣装を一緒に着て、面白いポーズを取る夏海まなつ、などの出番はありましたが、あくまでもモブ的な感じです。
 転んで自信をなくしかけた涼村さんごに対しても、決め手となるサポートがプリキュアたちからはありませんでした。
 これは、今回だけの話でなく、シリーズ全体の構成によるものだと思っています。
 このシリーズの主題は「トロピカル」と「コスメ」です。そして前者を夏海まなつが、後者を涼村さんごが担っています。
 そういう意味では、第二の主役的な位置づけだった涼村さんごですが、真面目でいい人なのですが、そこにとどまっており、他の四人の強烈な個性に埋もれているように以前から感じていました。
 ついでに言うと、これまで「二人目のプリキュア」が得ていた位置をローラが占めており、それとのバランスも苦労して作っている印象があります。
 その結果、今回のような彼女メインの話の時に、四人とうまく絡めない事になってしまったのでは、と思っています。
 たとえば、コスメの話になると人が変わったようになる、みたいな属性が設定されていれば、もっと違う面白さが描けたのでは、と思っています。
 もちろん、シリーズ全体を見れば非常に面白いく、毎週楽しんでいます。ただそれだけに、彼女の描き方がもっと良ければ、さらに歴史に残るシリーズになったのに、と思ってしまっています。

 ところで、敵方のほうでは、ヌメリーがバトラーを診察し、薬を処方している、という描写がありました。
 会話を聞く限り、肉体的な病気ではない感じでした。
 他の三人が楽しくやっているなか、一人真面目に、後回しの魔女の命令に右往左往しているわけです。
 そのような形で不調が生じるのはある意味当然でしょう。
 それを具体的に描いていた、というのはこのシリーズならではの深さだと思いました。
 バトラーが全快する事を願っています。

 次回は、短編の10本立てのようです。
 映画にあわせて「ハートキャッチプリキュア」の面々も登場するようです。
 絵柄や描き方も多彩で、「ポプテピピック」みたいになるのだろうか、と思いました。
 プリキュア史上、初の試みですが、このシリーズだからできるのかもしれません。
 どんな事になるか予想もつきませんが、楽しみにしています。