「トロピカルージュ」第28話

 一之瀬みのりをメインにした文化祭話でした。
 初期に張られた伏線の一つである「一年の時に入っていた文芸部を辞めた理由」が明かされた話でもありました。
 他にも、過去の描写とのつながりが上手く描かれており、このシリーズの構成の良さを感じました。

 冒頭から、図書室で、文芸部時代の作品集を手に取るなど、第4話での伏線に通じた描写がありました。
 文化祭のほうですが、1年5組は屋台でクレープを売り、トロピカる部は屋上の部室も使って、コスメの展示と実演を行う、という事になりました。
 シリーズの主題の一つに「コスメ」があるわけですが、普段、それをあまり意識せず、このようなイベントでそれに力を入れて描く、というのはいいと思いました。
 そして、一之瀬みのりは、いつもどおり裏方に徹するという事で、展示物の作成を担当し、他の四人と違い、化粧もしません。
 ところが、急遽1年5組の屋台に夏海まなつとローラが駆り出され、放送部の取材を受ける人がいなくなったため、自ら宣言して化粧し、インタビューに出演します。

 一方、敵のほうではチョンギーレが出撃しますが、野球部のイベントで飛んできた球でゼッタイニヤラネーダの素を落とします。
 さらに柔道部に、「客寄せ用の着ぐるみ」と間違えられ、焼きイカ屋台に運ばれます。
 すると「海産物料理のプロ」として見ていられくなったのか、柔道部員の代わりにイカを焼き始めます。
 このシリーズの敵幹部ならではの行動だと感心させられました。

 その後、チョンギーレがゼッタイニヤラネーダの素を取り戻し、自作のイカ焼きを使って闘いとなります。
 今回は一之瀬みの回という事もあり、久々にぱんぱかパパイヤショットを披露していました。
 戦闘終了後、文芸部を辞めたいきさつが語られました。
 初作品である人魚の話が、部の先輩に酷評され、それでやる気をなくした、という事でした。
 読んだ夏海まなつとクラスメイトは楽しんでいたので、かなり質の高い話だったわけです。
 という事は、先輩部員が一之瀬みのりの才能を妬んで、あら捜しをしたと考えざるを得ません。
 仮に欠点があっても、長所を見て評価しなければ、部員もついていかないでしょう。一之瀬みのりが退部したのも当然だと思いました。
 ただ、せっかくここまで、敵まで含めて、みな良い人というシリーズだったので、この逸話は少々残念でした。
 「部活の同期に天才的な小説を書く人がいて、才能の差を痛感して自分の判断で筆を折った」みたいな設定でも良かったのでは、と思いました。

 というわけで、最後はちょっと残念だったものの、全体としては、一之瀬みのりをはじめ、トロピカる部、さらには放送部コンビまで上手く描いていたと思いました。
 ローラと入れ替わった話での短い会話が、今回の伏線になっていた、という丁寧な構想にも感心させられました。
 近い内に、滝沢あすかと白鳥百合子との伏線回収話もあるのでしょう。そちらも今から楽しみです。
 次回は、新アイテム披露話のようです。戦闘メインになるのでしょうか。日常描写もあることを楽しみにしています。