なかよし2018年5月号「HUGっとプリキュア」

 輝木ほまれがスケートのジャンプを再びできるようになった話でした。
 失敗して大怪我し、スケートを辞めた時の心境を丁寧に描いていました。
 さらに、野乃はなにスケートを教える、という過程のもとで、自分の初心を思い出し、ついにジャンプに成功する、という描き方も、流石としか言いようのない、展開でした。

 アニメでは、輝木ほまれが再びジャンプに成功した描写について、なぜ成功できるようになったかが明確に描かれていませんでした。
 それに対し、この漫画では、ジャンプを恐れるようになった心境、さらにはスケートに対する想い、そして、野乃はなに教えることにより、かつての想いを取り戻した、という流れを、分かりやすく描いていました。
 これまでも、アニメで不自然な描写が合った時に、漫画版において同じような筋立てで完成度が極めて高い話が描かれる事がありました。自分はそれを「上北さんが手本を見せた」と表現しているのですが、今回の話はまさにそれ、という感じでした。

 まず、さり気なく尋ねられた「一番むずかしいジャンプは?」に対し、「失敗してころんだあと、次に跳ぶジャンプだね」と今の輝木ほまれの心境をストレートに語らせた事に感心しました。
 また、「大人」であるハリーがそのやりとりに心配するなか、野乃はなが「あーわかる。同じ失敗ひきずっちゃうよねーっ、わたしもまた前髪キルのミスったもん」と答えたのがまた秀逸でした。
 輝木ほまれが一番気にしている「失敗」を、自分の日常に置き換える事により、思いつめた心をほぐしています。さらに、「第1話冒頭で『失敗』した前髪の形が、なぜずっと変わらないのか」と少なからぬ視聴者が感じていた疑問にも明確に回答していました。
 その回答に思わず吹き出した輝木ほまれが、怪我をした前後の心境を率直に語り、野乃はな・大道寺さあや達との出会いによって、怪我がきっかけでまとった「心の鎧」を脱ぐことができたと語った、というのも、軽妙なやりとりを交えつつ、彼女の心を鮮やかに描いていると思いました。

 一方、野乃はながスケートを教わった理由として、「体験したらもっと応援上手になれるかなーって」と語った描写も心に残りました。
 アニメでは、若宮アンリが、応援する野乃はなに「無責任」と言い放ちましたが、あれを聞いたときは、「そらちゃうやろ」と率直に思いました。
 やはり応援というものは、される人にとって力になります。そして、その応援のためにと野乃はながスケートを習い、それによって輝木ほまれのジャンプ成功を導き出した、という結果には、二人のキャラの軸がしっかり描かれていたと感心させられました。

 野乃はなの「応援」というものの力と熱意、そして、輝木ほまれの挫折から立ち直りまでを本当に見事に描いた素晴らしい話でした。
 これからも毎月、上北さんのプリキュア漫画が読めることを本当に嬉しく思っています。