十六夜リコが初めて津成木第一中学校で授業を受ける、という話でした。
魔法学校同様、頑張りすぎる十六夜リコが描かれていました。
その姿に驚いたり感心したりする朝日奈みらいの「明るさ」の由来が描かれた話でもありました。
二人の描写はもちろん、様々な点において、深く丁寧に描かれた話でした。
制服を着て鏡の前で、念入りにチェックする十六夜リコからはじまります。
その後、朝日奈みらいの不在に気づいて部屋に行くと、彼女は幸せそうな寝顔で、「これってワクワクもんだぁ」などと寝言を言っていました。
一見、よくある寝坊ネタかと思われます。しかし、次の台詞で、まだ目覚ましがなる時間でないことが明かされます。
要は、十六夜リコが張り切って大幅に早起きしていたわけです。
このような形で、二人の特徴を描く、というのは面白いと思いました。
あと、ここでの朝日奈みらいの「寝起き顔」の描写の上手さにも感心させられました。
そして、桜並木のなか、二人で投稿します。
教室に入るやいなや、十六夜リコは、よそ行きの挨拶をして、皆を驚かせます。
十六夜リコは何か失敗したかのように自覚していましたが、クラスの皆は、彼女の「大人っぽさ」に驚いていた、という感じでした。
そして、授業前も、おしゃべりなどせず、真面目に予習しています。
数学の授業では、その予習の成果を活かして正解を出すものの、なぜか図形を黒板にはみ出るほど大きく書いてしまいます。
この意味はよく分かりませんでしたが、魔法学校のほうが黒板が大きかった、という事なのだろうか、と思いました。
続いて理科では「春の大三角形」が問題となります。ここでは、秀才キャラと設定されていると思われる並木ゆうともわからなかった。「大三角形を構成する星の名前」をスラスラと答えました。
しかしながら、魔法界とは星の名前が違うので、「正解」にはなりません。ここでも十六夜リコは、失敗したと落ち込んでいましたが、周囲の評価はより一層上がった、という感じでした。
ちなみに、一瞬だけ背景に「魔法界の天体」が描かれました。その中には「BENZA」なる、トイレの形をした「星座」がありました。
これを見る限り、魔法界とナシマホウカイでは、星の名前のみならず、星座の定義も異なっているようです。ただ、見える星は同じ、という事なのだろうか、と思いました。
続いて、放課後となり、朝日奈みらいは長瀬まゆみたちとバレーボールをします。
十六夜リコはルールが分からないので「見学」しています。ところが、途中で朝日奈みらいにも言わず、一人で帰ってしまいました。
そして、バレーボールの入門書を買い、モフルン相手に練習を始めました。
「留学生」なのですから、知らない事があるのも当然です。にも関わらず、初心者扱いされたくないために、朝日奈みらいにも隠れて「特訓」をする、という彼女の描写が印象に残りました。
また、一方で、その気負い過ぎぶりを、ハーちゃんが顔マネで表現し、朝日奈みらいも納得します。このあたりの描き方も上手いと思いました。
そして、夕食の場面となります。十六夜リコは、ずっと家族であったかのように、朝日奈家の団欒にとけこんでいました。
そんななか、父親の朝日奈大吉幼少時に朝日奈みらいがキャンプで迷子になり、親が心配するなか発見された時に、ニコニコ笑っていた、という逸話が紹介されました。
それを朝日奈みらいは笑顔で聞いています。しかしながら、いつもの底抜けの明るい笑顔ではありませんでした。
食後、部屋に戻った十六夜リコは、今日の授業を復習していました。課題となった、「ナシマホウカイでの春の大三角形の呼び方」を早速習得していました。
すると、窓の外から、魔法学校の制服を着た朝日奈みらいが、「空の散歩」に誘いました。
一瞬、「勉強中だから」と躊躇しますが、すぐに同意し、二人でホウキに乗って空を飛びます。
どうやら、こちらの世界においては、魔法を使うときは魔法学校の制服を着る、という設定になっているようです。
そして、二人とモフルン・ハーちゃんだけになった時に、先ほどの迷子話の真相を語ります。
本当は怖くてずっと泣いていたのですが、モフルンの瞳に反射する星に気づき、その星空の美しさに感動するという「発想の転換」で怖さを忘れた、というのが実際だったとの事でした。
この、親にも言えないことを、十六夜リコにだけ言った、というのが興味深い描写だと思いました。
この時の対応を、親に褒められすぎて、本当の事を言えなかった、というのもあるのでしょう。そして、今日の学校での十六夜リコの悩みを知っているだけに、その「過去の自分」と比較して、十六夜リコがさらに考えすぎないように、という配慮もあったのでしょう。
同時に、これまで、明るく元気でポジティブなだけ、という感じで描かれていた彼女の、知られざる一面を描いた、というのも面白いと思いました。
そこから、戦闘に入ります。相手はスパルダです。今回はルビーモードでしたが、前回のように、その姿を褒める事はありませんでした。やはり、サファイヤモードがお好みなようです。
戦闘においても、雲の力を増して巨大化したヨクバールを、「発想の転換」で倒す、という本筋にそった描写がありました。
闘いが終わり、十六夜リコは改めて星空を見て、その美しさに純粋に感心します。それによって何か吹っ切れたようでした。
また、その後、ホウキに乗って帰宅する際に、勝木カナに見られる、というお約束的展開も用意されていました。
そして、翌日の登校において、十六夜リコは、長瀬まゆみや大野壮太に、名前で呼ぶように頼んだり、一緒にバレーボールをやろうと言うなど、昨日と大きく違う行動を見せる、という所で話は終わりました。
現時点で、このシリーズで一番印象に残っているのは、十六夜リコのキャラ設定です。異世界出身という条件もあるのですが、それを含めて、歴代シリーズのプリキュアと全く異質なキャラクター性を持っています。
その極端なまでの負けず嫌い・考えすぎ、という設定により、これまで、色々な逸話がありました。
それが今回も遺憾なく発揮されると同時に、変化の兆しを見ることができました。
一方、朝日奈みらいは、これまで、明るく積極的で、どんな困難や不思議なことでも、真正面から笑顔でぶつかっていく、という感じで描かれていました。
その明るさ・元気さは変わらずに、その奥にあるものが描かれていました。
また、その時の心境によって異なる、二人の多彩な笑顔の描き方が印象に残った話でもありました。
話が進むにつれ、キャラ描写の深みが増しています。また、話の筋立ても、だんだんと面白くなっていると感心させられました。
次回は、キャンプ話です。十六夜リコの姉・リズも魔法界からやってきます。また、今回初登場した、十六夜リコの学業におけるライバルと思われる、並木ゆうとも活躍するようです。
どのような話が描かれるか、大変楽しみです。