天ノ川きららの母・天ノ川ステラの初登場話でした。
これまで、一度も出番がなかったにも関わらず、既に十二分の存在感を持っていたキャラでした。
その期待を裏切らない、個性的なキャラでした。
そして、娘の天ノ川きららの描写はもちろん、他のキャラも非常によく描かれていた話でした。
冒頭、母娘共演が決まった事を告げたあと、バレエの練習が一段落して、それを話題にしている春野はるかと海藤みなみの描写から始まります。
そこに、話題になった天ノ川きららが来るのですが、明日が夢の晴れ舞台だというのに、リハーサルもしないと宣言しつつ、バレエのポーズを取るなど、えらく余裕を見せています。
それに春野はるかは感心するのですが、その直後、二人に「下見」という名目で、会場に行くよう、誘います。
ここで既に、「本当は緊張しているのに、無理して余裕があるよう見せかけている」という天ノ川きららの心情を伝えている事に、まず感心しました。
そして、会場に行くと、天ノ川ステラとばったり出会います。
そこで、天ノ川きららが、プリキュア二人と妖精を紹介するのですが、妖精について「うちの寮で飼っているパフと、飼ってないけどいついているアロマ」と紹介します。
パフを「飼う」話は以前にもありましたが、アロマの位置づけは、これまで明示されていませんでした。それを、このような形で公言した、というのも非常に面白いと思いました。
そして、下見のはずが、ちょっとしたリハーサルとなります。ここで、天ノ川ステラと天ノ川きららの「差」を、裏方で動いているスタッフが「オーラ」を感じるかどうかで表していた、という描写も巧いと思いました。
続いて、天ノ川ステラの提案で、三人でマンションに泊まりに行く流れになります。
海藤みなみが外泊許可の話をするのですが、それを聞き終わる前に天ノ川ステラは携帯を取り出し、寮母の白金さんに電話して、当たり前のように許可を取り付けます。
ノーブル学園のOGである事は描かれていましたが、白金さんとここまでツーカーの仲だとは、娘の天ノ川きららも知らず、皆で驚いていました。
もっとも、アニメでは、白金さんが天ノ川ステラに言及した事はありませんでしたが、漫画版では、今月号で、「白金さんが天ノ川ステラとの想い出を語る」という描写がありました。
もしかして、漫画のあの一言は、この話を意識して描かれたのだろうか、などと思いました。
そして、帰りがけにまず、プリクラに寄ります。先ほど、母親との技量の差を痛感した事もあり、天ノ川きららは固い笑顔しか出せません。自ら、その「笑顔」を見て、改めて緊張している事を自覚するほどでした。すると、天ノ川ステラは、娘の頬を引っ張って「変顔」をさせます。
そして、家に着くのですが、室内はえらく散らかっています。さらに、天ノ川ステラがそれを隣の部屋に片付けようと扉を開けると、「雪崩」が発生します。どうやら、片付けが非常に苦手なようです。
続いて食事になりますが、天ノ川きららは、ほとんど箸をつけず、まだ皆が談笑しているにも関わらず、一人で部屋に戻ります。そして、明日の練習をしていました。このあたり、冒頭に見せた「余裕」とあわせ、彼女の心境を深く描いていると思いました。
しかし、そこに天ノ川ステラが、春野はるか・海藤みなみと一緒に入ってきます。さらに、天ノ川きららが何をやっているのか分かっているのに「アルバム見よう」などと言い出します。
すると、天ノ川きららは怒って、ついに自分が緊張している事まで言ってしまいます。さらに、「明日のステージ、失敗できないの、集中したいの。ママならわかるでしょ!」と言いました。
それに対し、天ノ川ステラは、あっけらかんとした表情で「わかんないわねぇ。だって私、天才だもの」と言い放ちました。
この一言は、自らの圧倒的な実力を、何の飾り立ても韜晦もせずに言い、さらには、それによって、娘の張り詰めていた緊張を ほぐす働きもしています。そういう事もあり、非常に印象に残りました。
もちろん、その真意に天ノ川きららは気づきません。その一言にキレてしまい、母親を部屋から追い出し、残った春野はるかと海藤みなみにグチをいい始めました。
その様子を、追い出された天ノ川ステラは、扉の外から聞いて嬉しそうな表情を浮かべていました。
そして翌日、ファッションショーの会場で、天ノ川きららはボアンヌと会話します。
すると、いきなり「昨日と違っていい笑顔に鳴りましたね」と言われます。それによって、昨日の、天才モデルかつ母親である天ノ川ステラならではの励ましが功を奏した事がわかりました。
ところが、開演前に、トワイライトとシャットが現れます。トワイライトを見た観客が「プリンセスみたい」と感嘆し、それに対し、「『みたい』ではないわ。私は真のプリンセス」と言う、などというやりとりもありました。
そして、二人を見とがめた天ノ川ステラからゼツボーグを作りだします。ここでの「天ノ川ステラの夢」は、「きららと一緒に同じステージに立ちたい」という本日中にでも実現しそうな「夢」でした。
そのため、一瞬、「?」と思ったのですが、これも後から理由が分かる仕組みになっていました。
そして、二体のゼツボーグが出現しました。これは、元となる人の夢の大きさによるものだそうで、その「夢の大きさ」にトワイラとも感心していました。
そのまま闘いになりますが、当初は苦戦します。しかし、ゼツボーグに踏みつけられそうになった天ノ川きららは、笑顔で「あたしが負けるはず無いじゃん。だって知っちゃったんだもん。ママの夢が私と共演する事だったって(中略)あたしとママ、一緒に夢をかなえるんだってー!」と言ってはねのけました。
すると、その直後、囚われている天ノ川ステラの胸が光り、そこから新たなキーが出現しました。そして、新技「ミーティア・ハミング」という流れ星が飛ぶ技が発動します。
見ていた七瀬ゆいが「きれい」という視覚的にも優れた技でした。また、攻撃範囲も広く、ゼツボーグのみならず、トワイライトやシャットにも飛んできます。ここで、シャットがまずトワイライトをかばおうとした、というのも印象に残る描写でした。
これで形勢逆転し、トリニティリュミエールで勝利しました。
闘いが終わり、ファッションショーも無事終了します。そして、天ノ川ステラは娘に抱きついて喜びます。すると、天ノ川きららは「でもどうする?ママの夢かなったんじゃない?」と言いました。
それに対し、一瞬、「なぜ知っているの?」というような表情を浮かべた天ノ川ステラですが、直後に、「でもまだまだ、私には次の夢があるから…きららと二人でトップモデルになること」と言います。それが、あの「本日中に実現する『夢』」の意味だったわけです。最後まで、緩むことなく、彼女のスケールの大きさが描かれていたと思いました。
そして、それに対し、天ノ川きららが「待ってて、すぐにかなえてあげるから」と言い、二人で笑いあうところで、話は終わりました。
とにもかくにも、天ノ川ステラというキャラの強烈な個性に圧倒された話でした。
モデルとしての能力、母親としての愛情、さらにはちょっと抜けたところまで、非常に丁寧かつしっかりと描かれていたと思いました。一連の言動に、ビシッと一本筋が通っており、感心させられました。
一方、その母親に圧倒される形になった天ノ川きららですが、その若さゆえの未熟さ・母親への想いと対抗心・そしてこの二日間での確かな成長が描かれていました。
あと、最後の部分で、プリキュアであるがゆえに知った「母親の夢」をバラす、ちょっとした「ルール違反」をやります。このあたり、「少しでも超えたところを誇りたい」みたいな心境を感じ、微笑ましく思いました。
同時に、それに対する天ノ川ステラの返しで、彼女のスケールの大きさを描いたことにも感心しました。
一方、春野はるかと海藤みなみについても、対照的な物腰や会話、反応などで、存在感が出ていました。さらに、七瀬ゆいのもしっかり出番が作られていました。
さらに、敵方の描写でも、敗れた直後のシャットの台詞が「トワイライト様、お怪我は」と、悔しさよりもまず主君の身の安全を優先していました。このあたりのキャラの立てぶりにも素晴らしいと思いました。
また、久々の登場となったボアンヌにおいても、前回のような英仏日の三ヶ国語混在のような不自然さがありませんでした。
そういう事もあり、今回の脚本には、非常に感心させられました。
ただ、今回の話と、前回、さらには14話を比べると、同じ「プリキュアの家族」なのに、天ノ川ステラの存在感が際立ちすぎています。バランスを取るためにも、春野家や海藤家についても、このような話を描いてほしいとも思いました。
次回は、春野はるかの夢の原点である絵本「花のプリンセス」の作者が登場する話です。絵本作家を目指している七瀬ゆいがどのように活躍するのか、気になります。また、トワイライトが直接闘う描写もあり、そちらもどうなるか、楽しみです。