津成木第一中学校のクラスメートである、長瀬まゆみと勝木かながメインとなった話でした。
長瀬まゆみの恋と、それを応援する勝木かな、および一緒に応援するプリキュア三人の描写が非常に強く印象に残った話でした。
また、その「日常パート」をじっくり描いたために、変身シーン・戦闘シーンが大幅に簡略化されるという異例の話でもありました。
一目惚れした少年に長瀬まゆみが電柱の影に隠れて話しかけようとする、というある意味「お約束」な場面から始まります。
実際、今回の主題である「長瀬まゆみの恋」については、それも含め、極めてテンプレート的です。「偶然の出会いで一目惚れ」→「声をかけようにも勇気が出ない」→「みんなの応援もあってついにラブレターを渡すも、実は彼女がいて即失恋」というのは、半世紀以上描かれて続けている定番です。
しかし、今回の話は、その「定番」の周辺で描かれた、各キャラの応援や会話、そして最後の展開が、非常に巧く造られており、大変心に残りました。
まず、長瀬まゆみが恋をした人がどの学校の誰なのかを、十六夜リコの占いで調べる、という展開になります。
その準備で空を飛ぶ十六夜リコを、またまた勝木かなが目撃し、その流れで、「長瀬まゆみの恋を応援するチーム」の加わった、という流れが、いかにもな感じで楽しめました。
また、この占いの前後に置いて、十六夜リコが召喚されたら、無断で校長の元を去ったり、勝木かなの姿を見ると、即座にいなくなるなど、水晶の精が、非常にいい味を出していました。
そして、勝木かなは、かなりのハイテンションで、「恋の応援団」に加わります。日頃の「魔法つかい調査」で得た能力(?)で、想い人の学校を即座に判明させました。
その後、作戦会議を経て、夕方になると、長瀬まゆみと勝木かなが二人で帰ります。このとき、勝木かなは、チャレンジ精神が好きだと言いました。
恋にチャレンジしている姿が、自分の「魔法つかい発見にチャレンジしている事に通じて共感を持った、という事のようです。勝木かな自身、おそらく表層意識では本気でそう思っていたのでしょう。ただ、これだけ熱心に応援し、さらに、熱く語った事においては、本人も意識していない、別の感情があったのでは、と思いました。
その晩、朝日奈家では、三人で団欒をしていました。十六夜リコは数学の勉強をしており、朝日奈みらいは漫画を読んでいます。
その漫画の題名が「どんと恋」という、えらく含蓄の深いものである、という事に驚きました。ほんの一瞬しか出てこないのに、よくここまで描きこむものだと感心しました。
花海ことはは当然ですが、朝日奈みらいと十六夜リコも、「恋心」の意味が分かっていません。それだけに、十六夜リコは、自分達の「応援」について迷いを感じるような発言をしていました。
一方、朝日奈みらいは特に何も言っていませんでした。ただ、その漫画を積んでいたところを見ると、彼女なりに恋を研究して、応援に活かしたい、という意図があるのだろうな、と思いました。
その翌朝、長瀬まゆみは、早出してラブレターを書いています。そして、日直という事で、一人早く来た十六夜リコと二人での会話となりました。
そこで、実は、長瀬まゆみは、中学入学時に知っている人が誰もいなかった事が明かされます。そして、ヘアピンをなくして困っている時に、朝日奈みらいが自分の事にように真剣に探すのを手伝い、顔を泥だらけにして発見した、という逸話を語っていました。
それを聞いた十六夜リコは、改めて、朝日奈みらいの良さを理解していました。
今回は、長瀬まゆみと勝木かなの脇にまわる形になったプリキュア三人ですが、その位置で、このように良さが描かれていたあたりも、非常によく造られた話だと思いました。
そして、ついに「告白」となります。ここでも、勝木かなの力の入り方は一番で、完全に「応援団長」という感じでした。
そして、「実は彼女がいた」パターンで失恋し、長瀬まゆみは、一連の自分の想いや行動が無意味だったと悲しみます。
それに対して、勝木かなは、泣きながら「そんなことない!」と言います。そして、長瀬まゆみの勇気を讃えました。朝日奈みらいと十六夜リコも、目に涙をためて、それに同意していました。
ここでも、勝木かなの「応援団長」ぶりが非常に印象に残りました。
それに長瀬まゆみは感謝し、「二人で顔を洗いに行こ」といって、三人の前から去ります。
そのタイミングで、シャーキンスが襲撃してきます。しかし、ここで三人は普段と違い、「今はそれどころではない」と無視しようとします。
結局、ドンヨクバールが登場したので変身はしましたが、その変身シーンは非常に簡素化されていました。
そして、戦闘でも、シャーキンスが長瀬まゆみの恋を批判したのに対し、十六夜リコが正面から反論します。その後、あっさり必殺技を放ち、非常に短時間で戦闘を終えました。
戦闘が終わっても、三人は戻ってきません。そこで、長瀬まゆみと勝木かなが昨日に続き、二人で帰る事になります。
改めてお礼を言う長瀬まゆみに対し、勝木かなは、ちょっとためらったあと、「長瀬さんじゃなくて、まゆみって呼んでいい?」と言います。それに対し、長瀬まゆみは笑顔で、「もちろんだよ、かな」と返答しました。
その二人のもとに、イチゴメロンパンが空から降ってきます。驚いて見上げると、ホウキに乗ったリコが見えました。それにより、二人は、「名前で呼び合う仲」兼「魔法つかいを目撃した仲」になったわけです。
その仲良しぶりを、空から見た三人が喜ぶ、という所で話は終わりました。
長瀬まゆみと勝木かなのみならず、プリキュア三人の描き方も、いろいろ深く、強く印象に残った話でした。
もともと、勝木かなは、朝日奈みらい・長瀬まゆみとは特に親しくもない存在でした。
ところが、たまたまキャンプで隣同士になった事から、何かと縁ができました。二人で買い物に行き、夏には、一緒に朝日奈家の海水浴に呼ばれるようになったわけです。
それでも、二人は苗字で呼び合っていました。その辺の事情や心理は分かりませんが、少なくとも勝木かなとしては、以前から、もっと仲良くなりたかったと思っていたのでは、想像したりもしました。
プリキュア達での描き方も、随所で印象に残りました。最初に、長瀬まゆみが恋したことを話したとき、朝日奈みらいと十六夜リコが息の合ったポーズを決めて、「それって恋」と言い、一方で、意味が分かっていない花海ことはがいる、という場面などもよくできていると感心しました。
唯一残念だったのは、この話は魔法学校補習トリオが来た話より後にやった事でした。「魔法の目撃」も含め、そうしたほうが、全体的に整合性があったのでは、と思いました。まあ、些事ではあるのですが…。
それを除けば、様々な点において、非常に心に残った、本当にすごい話でした。
映画が近いというのに、質が落ちるどころかむしろ上がっているのですから、本当に感心させられます。
次回は、十六夜リコが並木ゆうとと生徒会長選挙を争う話です。今まではクラスメイトの中でもワンランク下で、東映のキャラ紹介ページにも出ていなかった並木ゆうとが、どのような活躍をするのでしょうか。
予告を見ると「生徒会長になる意義」みたいな事も出てくるようですが、できることなら、気軽に楽しめる話になることを願っています。